カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「子どもは階段を上る」~子どもはしばしば停滞する

私はダメでしたが、英会話の堪能な人に聞くと、日常会話のリスニングは「ある日突然、、できるようになる」のだそうです。「アラ、私、分かるじゃん」と、そんな感じらしいのです。 長年付き合ってくると分かるのですが、子どもの成長は身長がそうであるよう…

「昨日の答え・・・」~月はどっちに出ているの?

昨日の月の問題 太陽は夏高く、冬低い、これは誰でも知っていますが、月はどうでしょう? 答えは「②太陽とは逆で,夏低く,冬高い」でした。 この問題は、西林克彦 著「間違いだらけの学習論〜なぜ勉強が身につかないか」(新曜社 1994)の中にあったもので…

「見えていないものを見せる」~見ているようで案外見ていない子どもたちに

まだ私が運転免許取りたてのころですから、大昔のことです。 ひとりで丘陵の田園地帯をドライブしていたところ、小さな集落の近くで、一団の子どもたちが遊んでいるのに合いました。道路の真ん中で全員が顔を寄せ、何かを覗き込んでいるのです。クラクション…

「見る目の育て方」~道徳的な善い行いばかりを見てきた子の目に、悪徳は吐き気を伴って映る

織田先生はしばしば、東京まで出かけ、一流の美術展などを見てこられるようです。素養・教養という点で見習いたいところです。 しかしそうは言っても、ミロだのマチスだのピカソだのといったわけの分からない絵を見に行くのは、なかなかしんどいことです。で…

「新しい学期が始まります」~今日からがんばろうという子たちが、たくさんいます

民間の不登校支援の専門家である富田富士也は、子どもたちが気持ちを切り替え、もう一度やり直そうとするチャンスは5回あるといいます。 3回の新学期、誕生日、そして節分です(節分というのはちょっと意外ですが「豆をまき、邪を払ってやり直し」というこ…

「結局、何がいいのか分からない」~子どものためにしたことの当たりはずれ

【第一話】 読み聞かせが好きで、二人の子どもにはそれぞれ2歳のころから、小学校の5年生になるまで、毎晩必ず布団の中で本の読み聞かせをしていました。 その結果、姉の方は大変な読書家になり、最近は東野圭吾に傾倒して、受験勉強の合間にもせっせと読…

「あれは、どうなんだろう・・・」~普通の親は、家族のために意にそわぬ仕事に耐えているだけなのか

テレビドラマなんかを見てると、「お父さんはお前たちのために必死にがんばってるんだ!」といった台詞の出てくることがありますが、あれというのはどうなのでしょう? 意に沿わない仕事を家族のために必死に耐えているというのが、世の中のお父さんの一般的…

「教員採用試験特別免許枠の話」~教育原理や児童心理を学ばなくても、教科の専門知識があれば教師になれる

教員の特別免許というのは、正規の教員養成カリキュラムを経ないまま、理科や社会科の専門知識・技能を持っているという理由で渡される免許です。 もともとは高校の看護科に看護師を教員として迎え入れたり、農業科に農業指導員を、工業科にその筋の専門家を…

「暑いですね」~3コンセットのない学校で、子どもがいつまで耐えられるのか

長く暑い一週間がようやく終わります。さすがに昨晩は家に帰るとバタン・キュー(←これも死語かな?)で、今朝も起きられませんでした。 今週は主として電力需給の関係から「クールビズを徹底し、室温を28度程度に上げて・・・」などというふざけた話が繰…

「雨ニモアテズ 風ニモアテズ」~このごろ巷(ちまた)に流行るもの

この一ヶ月あまり、ネットの世界では「雨ニモアテズ」という宮沢賢治のパロディが流行しています。 7月12日付の産経新聞で紹介されたのだそうですが、作者は不詳。どこかの校長先生だという話です。 雨にもあてず 風にもあてず 雪にも 夏の暑さにもあてず…

「路上生活者にもなれない」~とにかく子どもを集団の中で育てる

私が会った最初の不登校の子は小学校3年生の女の子でした。1978年の春のことだったと思います。 幼稚園の途中から登園しなくなり、学校も数日行っただけで、あとは毎日、公園で年下の子と遊んでいると、そんな話だったように記憶しています。 勉強をま…

「矜持・品格」~掃除をサボったら子どもの一分(いちぶん)が立たないだろう!

DVDを借りてきて「武士の一分(いちぶん)」を見ました。 「一分」というのは辞書によれば「面目」「体裁」のことだそうです。この場合は「面目」の方がいいでしょう。 主人公の盲目の武士は、目が見えなくとも、殺されると分かっていても、仇を討たない…

「育てにくい子は最初からいる」~そんな子をうまく育てられなくても親の責任ではない

親の育て方と無関係に、「最初から育てにくい子」というものが世の中に存在する、このことは案外意識されていません。 正確な数字ではありませんし日本の研究でもありませんが、確かアメリカでは2~3割の赤ん坊が「育てるのが難しい子」と分類されていたよ…

「アメリカ、アメリカ・・・」~教育に関しては格下の国から、なぜ教育を学ばなくてはならないのか

10年ほど以前、日本の子どもは知識ばかりで(学力が足りないといわれる今とは雲泥の差だ)議論となるとまるでできない、とかで、盛んにディベート学習といったものが行われました。しかしその後、あっという間に廃れてしまいました。「ああ言えば上祐」と…

「歴史は繰り返される」~教師を叩けばもっといい教育が行われるという神話の再現

葬式ごっこで有名な富士見中学校いじめ自殺事件が1986年です。 現職の教員が葬式ごっこに加担していたことで、学校批判はピークに達しました。 本当はこのとき、葬式ごっこという不見識なゲームに教員が唯々諾々と巻き込まれていくシステムについて検証…

男の子 女の子

教員になったばかりのころ、先輩からもらったアドバイス、「中学校では、とにかく女の子を育てなさい。 女の子さえまじめで頑張り屋に育てておけば、男の子はすぐにピシッとしてしまう。 女の子が不真面目で『チンピラみたいたいな男の子がいい』と言えば、…

「懐かしい時代」~バカを言って授業を盛り上げていた日々

昔、ヨーロッパから見るとウラル山脈の向こう側は未開の地、未知の大地でした。そこをロシアと言います。ロシアの東はずれがどこなのか、たいていの人は知りません。 この巨大大陸は、ユーロとロシアから成り立っていましたから、ユーロ・ロシア。そこからユ…

「長い名前の話」~ちょっと思い出したので・・・

日本人でもっとも名前の長いのは、たぶん次の人だと思います(実在の人ではありませんが)。 寿限無、寿限無 、五劫の擦り切れ 海砂利水魚の 水行末 雲来末 風来末 食う寝る処に住む処 やぶら小路の藪柑子 パイポパイポ パイポのシューリンガン シューリンガ…

「どんだけ〜」~現代若者言葉の憂鬱

一昨年、娘が中学校3年生で、私がまだ単身赴任を続けていた時期のことです。 受験生の父親として、校内テストや模試があるたびに一応「どうだった?」と聞くのですが、答えはたいていはかばかしくない口調で「ビミョー」。 ああ「いいとも悪いともいえない…

「子育てを楽しめる社会」~大人が大人である社会

太宰治がどこかで「三歳児とじっくりつき合える男こそ一人前の男である」みたいなことを言っていました。 私はそれを読んだ当時、子どもと果てしなく遊べるのは子どもだけだと思っていましたし、太宰はとても子どもっぽい人なので、自分のことを「これこそ大…

「心理学を信じない」~不登校ひとつ治せないじゃないかという観点

私は心理学を信じません。信じるとしたら、世の中の心理学者、カウンセラーが不登校や引きこもりの子の80%以上を、一ヶ月以内に直せるようになったときです。 不登校が治るというのはとても簡単な概念です。それは「不登校の子が、生き生きと学校に通うよ…

「特別教員免許枠の教員が50%の時代」~教育は学ばなくても、各分野の専門家なら教師にします・・・

半年ほど前、教育再生会議が「特別教員免許を持った教員のための採用枠を20%~50%用意する」といった提案をしていましたが、あれはどうなったのでしょう? とても気になるところです。 ここ10年以上に渡って、教員採用は非常に限られた人数の中で行…

「学力の国際比較の問題性とこれからの日本の教育」~教育をほんとうに殺してしまわないために

【教育のベースが違うものを比較することにどういう意味があるのか】 学力の国際比較について言えば、私は大きく三つの問題点があると思います。 ひとつは教育のベースが違うものを比較することにどういう意味があるのか、ということです。 例えば、日本は世…

「子どもの将来については定見を持て」~持ったところでその通りにはならないから

よく「子どもの将来を親が決めてはいけない」といったりしますが、そのために横峰さくらの父親や宮里藍の父親が世間の非難の集中砲火を浴びたという話は聞いたことがありません。五嶋みどり・龍という世界的バイオリニストだって、木村拓哉を始めとするジャ…

「イジメについての論考」~なぜ十把一絡げにイジメはイジメなのか

私はすべての教育談義が事実の検証を前提としないことが不思議で仕方ありません。 例えば、学力問題でも、本当に学力が落ちているのか、落ちているとしたらそれは教師の指導力低下のせいか、といったことは一切検証されません。 不登校について言えば、それ…

「子どもが人間関係を自然に学べない時代」~意図的な教育しか残っていない

今の子どものもっとも心配な点は、人間関係のやりくりがとても下手になったという点にあるように感じています。 理不尽に耐えるとか、小異を捨てて大同につくとか、しばしば長いものに巻かれるとか、二つ譲って三つ通すとか、場の空気を読むとか、あるいはま…

「教師の教育力」~落ちたと考える理由がない

公平に見て、私はそんなにダメな教師ではないと思います。しかし、真面目に本気でスーパーティーチャーを名乗っていいほど優秀でないことも、よく承知しています。 よくある普通の教員ですが、経験の長い分、平均よりはもう少し良い仕事ができているのかもし…

「科学の話をしたい」~世界はあまりにも非科学だ

私は反エコロジストではないのですが、あまり繰り返し正義を押し付けられると、天邪鬼の虫がムクムクと目を覚まします。 昔から思っていたことは、地球の温暖化が進むとシベリアが穀倉地帯になるといったことはないのか、ということです。カナダの内陸部もか…

「子どもに勉強をさせ成績を上げるには」~不得意科目克服が合わない子がいる

子どもに勉強をさせ成績を上げるには、作戦と方策が必要になります。例えば苦手科目克服と言ったりしますが、それが向く子とそうでない子がいます。苦手科目克服が成績アップにつながらない場合もあるのです。 煩雑を避けるために3科目だけで考えますが、3…

「PTAはやがて滅びるかもしれない」~文明人は汗を流さない

文明というのはもともと人間が自分でやっていたことを機械や社会システムにやってもらおうとするものです。したがって文明人は機械や社会システムに対してどんどん依存的になって行きます。依存的であるということは子ども的であるということですから、現代…