子どもは階段を上る


 私はダメでしたが、英会話の堪能な人に聞くと、日常会話のリスニングは「ある日突然、、できるようになる」のだそうです。「アラ、私、分かるじゃん」と、そんな感じらしいのです。

 長年付き合ってくると分かるのですが、子どもの成長は身長がそうであるような緩やかな上昇の流れではありません。それは言わば不規則な階段みたいなもので、長い(時には短い)停滞と大きな飛躍の繰り返しです。 

 たとえば乳児の時期、子がいつまでも寝返りを打たないので「ウチの子は遅いのかなあ」と思っていると、ある日突然できるようになる。できるようになって二度と失敗しないようになる、そういう経験は日常茶飯です。ハイハイの時期があまりに長いとやはり障害でもあるのかと心配になりますが、「ある日突然」立って歩くようになり、二度ともとには戻りません。ハイハイの方が絶対早くて便利なはずなのに、不便な二足歩行を獲得すると二度と手放さない、それが人間の不思議です。

 学校でも、逆上がりや跳び箱、走り高跳びといった競技で、こうした現象が鮮やかに見られます。私たちは、子どもが2〜3回逆上がりができるようになったのを見ると、それで指導が終わったと感じます。それは基本的に二度と「できない子」に戻ることはないと、経験的に知っているからです。

 頑張っても頑張っても成績の上がらない子、何度挑戦しても記録の出せない子、あるいはそうした子を持つ保護者の方には、そうした話をしてあげるといいのかもしれません。

 子どもの成長を願うなら、何度やってもうまく行かない停滞の時期に、それでもなお頑張れるような子にしておかないと損です。逆に言えば、そう時期の子をうまく励ますのが優秀な親であり教師なのです。

 ただし、言うまでもなく間違ったやり方を果てしなく繰り返しても、それは決して飛躍にはつながりません。そこは教師の腕の見せ所です。