子どもに勉強をさせ成績を上げるには


 子どもに勉強をさせ成績を上げるには、作戦と方策が必要になります。例えば苦手科目克服と言ったりしますが、それが向く子とそうでない子がいます。苦手科目克服が成績アップにつながらない場合もあるのです。

 煩雑を避けるために3科目だけで考えますが、3科目の成績が70点、90点、90点というような子は、これはもちろん70点の教科に力を入れるべきです。

 なぜかというと、90点の科目はどんなに頑張ってもあと10点しか上げることができないのに、70点の科目にはあと30点も上げる余地があるからです。

 それに対して、30点、50点、70点というような子はまったく違います。30点の教科に対して「70点も上げる余地があるぞ!」というのは無理で、ここまで苦手な科目は努力してもそんなに伸びるものではありません。さらに、学習を進めてもあっちもこっちも分からないわけですから、勉強が本当にいやになってしまいます。苦手科目ばかりやって、勉強を好きになれといっても無理なのです。

 こういう子には、まず得意科目を誰にも負けないほどに頑張らせます。70点の教科を常時90点以上取れるようにするのです。すると不思議なごとに、他の教科もズルズルっと引き上げられてきます。もちろん30点の教科が80点と言うわけには行きませんが三科目が40点、70点、90点くらいにはなっていきます。

 私はかつて中学校の新担任として、小学校の算数が苦手で心がズタズタになった女の子の対応をしたことがあります。そのとき、4月の家庭訪問で「算数、あきらめましょう」という話をしました。

「入試は5科目。5戦全勝で戦わなければいけないというものではありません。

3勝1敗1分けなら上出来、

2勝1敗2分けでいい勝負、

2勝2敗1分けだって十分戦えます。

数学なんかできなくたってどうということがありません」

そう言ったのです。

「熟し柿は落ちる」という言い方があります。小学校の先生だって同じことを言ったと思うのですが、機が熟さないと心に落ちません。しかしこのときは、中学校に入ってやり直そうというときでしたので、お母さんの気持ちにストンと入っていたのですね。以後、数学についてはほとんど触らず3年間をすごしました。そして最後には、その子としては望外の高校へ進学していきました。数学もちょっぴり上がりました。

 そう考えると、中学校生活全体についても同じことが言えます。

 中学校は勉強、部活、生徒会が三本柱です(これ以外に、校内に生徒の生きる場がない、ということが中学校の苦しい所ですが)。

 これも3戦全勝である必要はなく、全敗でさえなければOKです。自信を持って取り組める1勝があれば、あとは自然とついてきます。

 親として部活動を十分に支えて行けば、残った時間で勉強だって一生懸命やります。その成果が親のの望むレベルよりずっと低くても、それが現在のその子の望みうる、最高の成果だと思い定めるしかありません。生徒会活動に夢中ならそれも素晴しいことです。

 保障できることは、現在夢中になっていることをやめても、その空いた時間を勉強に振り向けることは絶対にない、ということです。これだけは絶対です。