カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「本の愉しみ」~単に読むだけが本の愉しみではない

最近はそうでもないのですが、若いころは本そのものが好きで、文庫本ですらとても大切にしていました。 買ってくるとまず表紙を外して後ろの方から2ページずつ、全体の三分の二くらいのところまで折り開いて行きます。いきなり最初から読み始めると、最終的…

「生徒指導の現場ですべきこと」~罪深さを知らせる②

事情聴取において丁寧でねちっこい事実確認をする中で、犯罪者は自己の言動を細かく語ることを通して、次第に自分を客体化し、様々な事情や言い訳をそぎ落とし、やがて自らの罪深さを思い知る。そして敢えて命まで捨てる覚悟をし、正直な供述を始めるという…

「なぜ殺人者は死刑になると分かっていながら自白するのか」~罪深さを知らせる①

日本の裁判で3人以上を殺して死刑にならなかった例はないと思います。もちろん1人の殺人で死刑になることもあります。ですから人を殺した人間は絶対に警察にしゃべりたくないし、3人以上殺したとなるとしゃべることはと死ぬことは一緒ですから、決して口を…

「穂積隆信という男」②

1982年に出版された「積木くずし―親と子の二百日戦争」は読む者にとって非常に有益な本です。しかし出版によって日本中に名を馳せてしまった主人公の娘にとっては、あまりにも過酷なものでした。 本の出版、テレビドラマ化、映画化と、「積み木くずし」…

「穂積隆信という男」①

先週の金曜土曜と二日間、フジテレビ系列で「積み木くずし最終章」というドラマをやっていました。非常にイライラしながら二晩とも見てしまいました。私は非常に複雑な思いを持っています。 一連の「積み木くずし」シリーズ(穂積隆信・著)の発端となった「…

「明日は勤労感謝の日」~子どもに意味を教えておこう

明日は勤労感謝の日です。子どもたちは休日の意味などどうでもよく、「三連休、ラッキー」といったものでしょうが、意 味も分からずただ休んでいるというのも芸がありません。その意味を知ったところでどうなるというものでもないかもしれませんが、一応話し…

「教師はどんなときも、子どもに寄り添い続ける」~学校を災害が襲うとき③

子どもの躾けやマナーが問題になるとき、あるいは万引きをした生徒を学校が引き取りに行ったというような話が出たとき、しばしば「それは家庭の問題だろう」とか「学校がやることではない」といった議論が起こります。「学校は勉強を教えるところであって、…

「市の計画では場所を貸すだけだが」~学校を災害が襲うとき②

私は前々から「いざというとき、災害対策の重要なパートを学校が受け待つだろう」と言ってきましたが、東日本大震災の現場では実際にその通りになったようです。その重要なパートというのは避難所の運営です。 本校も避難所に指定されていますが、その運営は…

「『学校を災害が襲うとき―教師たちの3.11』から学ぶこと」~学校を災害が襲うとき①

「学校を災害が襲うとき―教師たちの3・11」(田端 健人 著、文芸春秋社 2012/10/25)を読みました。 2011年3月11日とそれに続く日々を、宮城県内の教員たちがどう生き、何を感じたかというルポルタージュです。小中高の10人の匿名の教師と2名の…

「子どもに本を紹介することについて」~子どもにどんな本を薦めるか

(前置き) 読書旬間の「先生による本の紹介」を任されました。さんざん迷ったあげく最後はヤケクソで、20分も使って紹介したのは次の10冊でした。ヴァン・ダイン「僧正殺人事件」スタニスワフ・レム「ソラリスの陽のもとに」ミヒャエル・エンデ「はての…

「何のための旅行かに誤解がある」~修学旅行について②

(原稿はあったのに出すチャンスを失っていましたが、) 先週の金曜日の「デイ・バイ・デイ」に、修学旅行はまず軍事教練として始まり、すぐに軍事色は衰え、太平洋戦争が近づいて再び軍事色が強まるまで今日と大差のない旅行として続いた、と書きました。な…

「血液型の話」~A型・B型・AB型、残るひとつはなぜC型じゃないんだ?

カレンダーを見ていたら、今日はオーストリアの病理学者ランドシュタイナーという人が血液型を発見した日だそうです。(1900年)。 このときランドシュタイナーは3つの血液型を発見し、これにA型、B型、C型と名付けます。翌々年、今度は別の学者が第…

「学校の仕組み」~クロス業務とマトリクス社会について

昨日、クロス業務とマトリクス社会について書きました。これについてもう少し説明しておきます。 まずクロス業務ですが、これは一人の人間が同時に異なる職種をこなすことを言います。マルチタスクとも言います。 具体的に言えば、担任・教科担任・部活顧問…

「説明不足のこと」~社会が学校を理解しない理由

(ちょっと事情があって先週金曜日の続き「修学旅行について②」が出せないので、一回飛ばして別のお話をします) 先月31日、厚生労働省は大学卒業後3年以内に離職した人々について、初めて産業別の割合を発表しました。それによると、離職率が最も高かっ…

「修学旅行はいつから始まったのか」~修学旅行について①

現在のような小中学校の修学旅行がいつから始まったのか、調べたことがあるのですがよく分からないところです。 旧制中学については明治18年に森有礼文部大臣が「体操(体育)の一部を文部省の管轄から離して軍隊の中で行うべき」という通達を出し、そこか…

「職人」~日本に残る文化の伝統

生頼 範義(おうらい のりよし、1935年―)は私の好きなイラストレーターで、「スターウォーズ〜帝国の逆襲」の国際ポスターを作成したことで世界的に有名になった人です。 画集も持っているのですが、その中で印象深く述べられているのは「私は画家ではなく…

「双子は優先的に東大中等教育学校に入れるらしい」~双生児研究の話②

運動能力はどうやら遺伝的な要素が強いような気がする、音楽や絵画はどうだろう、いやそもそも国語も数学も、理科も社会科も、そういった教科すべてにいて、遺伝的な“頭の良さ”“頭の悪さ”といったものはあるのだろうか? この問いに対する答えは実はあります…

「『鉄仮面』や『王子と乞食』の世界」~双生児研究の話①

姪のところに双子が生まれたことをあれこれ考えているうちに、ふと思い出したことがあるので記録にしておきます。 近世以前の世界では双子はあまり喜ばれなかった様子があります。それは低体重で生まれてくるため医学の進んでいない時代には片方あるいは双方…

「双生紀」~どんなに様子が違っても、双子も年子も、全く平等に育てなくてはいけない

姪のところに双子が生まれたのでお祝いに行ってきました。二卵性で二人とも女の子です。体重がずいぶん違い、姉に当たる方が2500gなのに対して妹の方は1500gしかなく、“妹”は一人で保育器に入れられてしまいました。おかげで私たちが会えたのも片…

「聖なる人々」~先生たちって、ほんとうに偉いんだよ。

中学校2年生の時だったと思います。友だちの口コミ情報でどうやら同級生の一人が万引きをして指導を受けているらしいということを知った私は、よせばいいのにトイレでその生徒とすれ違った際、「オイ、悪いことすんなよ(オレ、お前のこと聞いて知ってんだ…

「袈裟掛けの11月」~私のつまらないこだわり

江戸川柳に「伊達男 粋な薄着で 風邪をひき」というのがあります。ここから得られる教訓は二つ。ひとつは薄着でないと粋ではないということ、もうひとつは薄着をすると風邪をひくということです。 子どもの頃はともかく、大人になってからは股引またはタイツ…