矜持


 DVDを借りてきて「武士の一分(いちぶん)」を見ました。

 「一分」というのは辞書によれば「面目」「体裁」のことだそうです。この場合は「面目」の方がいいでしょう。

 主人公の盲目の武士は、目が見えなくとも、殺されると分かっていても、仇を討たないと「武士の一分」が立たないのです。

 そのついでというわけではないのですが、本屋で立ち読みして目次が気に入ったので、今評判の「女性の品格」も買ってきました。

内容は、

「礼状が書ける」

「約束をきちんと守る」

「型どおりの挨拶ができる」

「姿勢を正しく保つ」

「贅肉をつけない」

「人に擦り寄らない」

「よいことは隠れてする」

「得意料理をもつ」

「恋をすぐに打ち明けない」

と、女性でなくとも男性にも言える、極めて常識的な品位の話題が淡々と羅列されます。

「一分」も「品格」も、ともに生き方の美しさの問題なのです。正確に言えば醜さを回避することへの異常な熱意、それが一分を立てることだったり、品格を高く保持することなのだと、ふたつの作品から思いました。

 友だちが掃除をしているときにサボっているのは、卑しいことなのだ。

 宿題をまったくしないで学校に来るのは、みっともないことなのだ。

 自分より弱いものをイジメるのは卑怯者の行為であって、それは恥ずかしいことなのだ。

 自動販売機の硬貨の返却口に指をつっこみ、10円玉を手に入れたと喜ぶのはさもしいことなのだ。

と、

そうした醜いことをしないだけでなく、「してみようか」と少しでも頭をかすめただけで切腹しなければならない・・・。

 そこまでとは言わないまでも、品性の美しい、一分を立てることのできる、普通の大人を育てたいものです。