芸術・音楽・映画・演劇
「一芸に秀でる者は多芸に通ず」と言われて、 何かで他人を圧倒するような人になろうと努力を重ねてきた しかしこの言葉には別の意味もあるのではないか。 それはまったく身も蓋もないことなのだが。という話。 (写真:フォトAC) 【一芸に秀でる者は・・・…
ふとしたことから、むかし好きだったジャズの名曲を思い出した。 ジョン・コルトレーンの“My Favorite Things”だ。 それとともにいくつかの別の“My Favorite Things”にも出会った。 今日はその総ざらい――という話。(ジョン・コルトレーン“My Favorite Thing…
長く美術館巡りをしてきて、さまざまに調べてきたこともあったのに、 たったひとつの知識がなかったばかり、行き届いていないことがあった。 今からでも遅くはないが、 人生に、もっと勉強しておくべきことがたくさんあった。という話。 (エドゥアール・マ…
葛飾北斎の富岳三十六景に関するテレビ番組を見た。 そして心が沸き立つような思いに浸った。 「凱風快晴(赤富士)」「山下白雨(黒富士)」そして「神奈川沖浪裏」。 すごいぞ、ちょっと聞いてくれ。 という話。(写真:フォトAC) 【NHK「歴史探偵」…
世の中には自分の領域を厳しく限定し、 その中で完璧を期すプロフェッショナルがたくさんいる。 彼らすべてが一流であるわけではないが、 すべてが誇りをもって仕事にあたっている。という話。 (写真:フォトAC) 【肉体労働者:生頼範義】 昨日、イラス…
私が青春を送った1970年代、 高度成長の終わった73年以降は曖昧で不安で先の見えない暗黒の時代だった。 そんな中で私たちは宇宙やオカルトや古代文明に逃げていたのかもしれない、特に私は。 それを思い出させたのが、アリアナ・グランデの「God is a…
何という気もなしに聞き始めたアリアナ・グランデの「7rings」 見始めたライブ映像。 しかしじっくり向き合ったら、 とてつもなく深い才能が、複雑に絡み合っていることが分かった。 アメリカ恐るべし。 という話。 (写真:フォトAC) 【7rings(七つの…
学問も芸術も暇でないとできない。 40年あまりも仕事と家庭に夢中になって、 新しい音楽や芸術に出会うこともなく過ごしてきた私は、 ある日、とんでもなく意にかなう音楽と出会ったのだ。 という話。 (写真:フォトAC) 【学問と芸術は暇でないとでき…
「赤毛のアン」を原作とする海外ドラマが始まった。 これまで知らなかったが、ほんとうに魅力のある主人公だ。 もっと子どものころに、本の中でこの子に出会っておきたかった。 今からでは遅い面がある。 という話。 (写真:フォトAC) 【「赤毛のアン」…
ひょんなことから上野の森美術館の「ゴッホ展」に行ってきた。 ゴッホは何度も見てきたが、行けばやはりそれなりの学びはある。 それにしても、都会の子の、都会で子育てができる親の なんと羨ましいことか。 という話。 (上野の森美術館「ゴッホ展」) 【…
東京都美術館にマネを観に行ってきた。 以前から気になっていた「フォリー・ベルジェールのバー」に会うためだ。 今はデジタル画像がいくらでも手に入る時代だが、 実物を観て初めて分かることも多い。 という話。 (マネ「フォリー・ベルジェールのバー」)…
宮沢賢治と聞くと まず胸が苦しくなる 「決別の朝」に関する苦い思い出があるからだ そのことを思い出しながら 「宮沢賢治記念館」と「宮沢賢治童話村」を回ったというお話。(「宮沢賢治記念館」玄関にて) 【「永訣の朝」のこと】 宮沢賢治については手痛…
国立西洋美術館に「松方コレクション展」を観に行ってきた そこで自分がいかに芸術の分からない人間か痛感してきた しかしそんな私でも 役立っていることがあるに違いないというお話。 【国立西洋美術館「松方コレクション展」に滑り込む】 国立西洋美術館に…
今日は音階「ドレミ」の誕生日 そこでドレミのウンチクと その周辺について語ろう というお話。 (ローレンス・アルマ=タデマ 「サッポーとアルカイオス」) 【ドレミの誕生日】 今日、6月23日は「ドレミの誕生日」だそうです。 「今日は何の日?? カレ…
クリムトの生涯は ウィーンの再開発とともにあった ウィーンの興隆がモダニズムを支えた そしてウィーンが終わるとき ウィーンモダンもクリムトも エゴン・シーレも終わってしまった というお話。 (グスタフ・クリムト「ベートーヴェン・フリーズ」《左側》…
国立新美術館の「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」は クリムトが時代と社会からどういう要請を受けて生まれてきたかを提示する そこには悲劇の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世が生み出した新生ウィーンの たくましく発展する姿が重なる という…
シェイクスピアが現代の若者にとってどういう存在か そのあたりはよくわからないが 絶対に勉強しておくべきだ 特に英語を学ぶなら シェイクスピアは必須 なにしろシェイクスピアは偉いのだから という話。 ジョン・エヴァレット・ミレー 「オフィーリア」 (…
世間では3連休の方も少なくないこの三日間、 たまたま小春日和のような暖かな日が続いたので果樹の剪定に働きづめでした。 一心不乱に何も考えず働いたので月曜日(成人の日)の夕方、「明日のブログに何を書こうか」と考えてハタと困ってしまいまいました…
(マティス『千一夜物語』) 今日で退職後のブログも1001日目です。 【憧れのイスラム世界】 イスラムという言葉を聞くと、人は何を連想するのでしょう? 現代でしたらさしずめ「過激派」だとか「IS」だとか「テロ」といった流れ、あるいは「特別な食習慣…
(オノレ・フラゴナール「かんぬき(閂)」) 以前にも申し上げましたが、世の中の重要な事件は金曜日に起こることが多いので、翌週はじめの記事はしばしば時期遅れのとぼけたものになりがちです。 そうは言ってもしかたないので、2〜3日、そうした時期遅…
【生頼範頼を知っていますか】 イラストレーターの生頼範義についてどれほどの人が記憶に留めているか、いまでもものすごく有名な人なのか、知る人ぞ知る伝説の人なのか、ちょと想像のつかないところです。 しかし知らない人のために説明すると、彼は「スタ…
日曜日(19日)に行った国立西洋美術館の「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」と東京国立博物館の特別展「運慶」について書いています。 続いて北斎。 【ジャポニズムとは何か】 ジャポニズムとは何かというと、「19世紀後半、写真の発明な…
国立西洋美術館の「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」と東京国立博物館の特別展「運慶」を観てきました。 北斎を先に、運慶は後から回ったのですが特別展「運慶」の最終日(11月26日《日》)が迫っており、検索か何かでこのブログに来られ…
「ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し」と書いたのは荻原朔太郎です(1925年《大正14》刊行「純情小曲集」)。 その40年ほど前、当のフランスに、熱烈に日本に憧れるひとりの画家がいました。 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。オランダから…
先週木曜日(11月9日)、突然のことがあって東京に行ってきました。ところがせっかく泊りがけで行ったのに用件そのものは木曜日中に終わってしまい、そこで丸々空いてしまった金曜日を美術館巡りに当てました。本当は今度の日曜日(19日)に予定していたのを…
箱根へ行ってきました。 一日目は箱根ラリック美術館の見学、それから箱根湯本の温泉宿に一泊して、二日目は彫刻の森美術館という簡単な日程です。 【箱根ラリック美術館】 箱根ラリック美術館というのは、アール・ヌーヴォー、アール・デコの時代に生きたフ…
ジュゼッペ・アルチンボルドの生きた時代(1526年―1593年)は日本で言えば戦国時代の真っ盛り、織田信長はジュゼッペの7歳ほど年下に当たりますし、その没年である1593年は文禄の役(第一回朝鮮出兵)の終わった年です。 そう考えるとヨーロッパに“人権”の…
今日6月30日は51年前、ビートルズが最初で最後の来日をし、第一回の日本公演を行った日です(6/30・7/1・7/2の3日5公演)。 記録によるとブルーコメッツやブルージーンズが前座を務めたのはいいとしても、ザ・ドリフターズも出演したということになっ…
東京都美術館にブリューゲルの「バベルの塔」を見に行ってきました。 この絵自体は子どものころから知っていて、当時は画集か何かでドキドキしてみたものですが、大人になってからは印象派以降の絵画に心惹かれるところがあって、ルネッサンスだのバロックだ…
ドルトン・トランボ監督の「ジョニーは戦場へ行った」は私がこれまで見た中で最も後味の悪い映画のひとつです。作品のできがよくないのではなく、最高級の反戦映画なのですが、多くの名作が心に切々と訴えて来るのに対し、「ジョニーは〜」はじかに内臓に訴…