カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

2011-01-01から1年間の記事一覧

「アクセル・ブレーキ」~同時に踏んではいけないのに、子育てでは要求される矛盾

その子を誉め、意欲を掻き立て、能力を最大限に引き出そうとする教師や親の活動は、いわば車のアクセルを踏むようなものです。それに対して子どもの好ましくない動きを抑えようとするのは、ブレーキを踏むのと同じでしょう。教育はいわばこのアクセルとブレ…

「失うものがない人間は強いが、守るべき大切な人がいない人生は意味がない」~映画『悪人』を見ているうちに考えたこと

たいていの場合、月曜日の「デイ・バイ・デイ」は前の週の金曜日に書いているので時期を逸することがあります。先週の日曜日に見た映画「悪人」について、少し調べて書こうと思っていたのが、時間がかかって今日になりました。 何を調べたかったかというと、…

「十干十二支(じっかんじゅうにし)の話」~やたら使っているのに意味を知らない言葉

今日、2011年11月11日は並べてみると20のうしろに1が6個もつく日です(だからどうということもありませんが)。 西暦というのはイエス・キリストが生まれた(と信じられた)年を元年として、延々と受け継がれた年の数え方です。日本では明治初頭…

「服装の乱れは心の乱れ」は間違って理解されている

私が教員になったころ、勤務先の中学校の男子はすべて詰襟の学生服でかつ丸坊主でした。私服を捨て、断髪をして中学校に入るというのはなかなか気合の入るもので、小学生が中学生に生まれ変わる重要な契機となるものと当時は思っていました。 しかしほどなく…

「そもそも”幕府を開く”ってどういう意味?」~ほんとうはここまでやっておきたい歴史教育

「1603年、徳川家康は征夷大将軍になって江戸に幕府を開きました」 小学校6年生以上を経験した人ならだれでも知っていることです。しかし「幕府を開く」ということに、子どもたちはどういうイメージを持っているのでしょう。私自身も子どもだった時はあ…

「キャリア教育で息子がモテた話」~私が唯一信頼する追加教育

私が教員になったころはエイズ教育なんていうものはありませんでした。金銭教育もなければコンピュータ教育もなく、交流教育も環境教育もあとから追加されたものです。小学校の生活科も外国語活動もなく、総合的な学習の時間だってなかったのです。性教育や…

「敢えてPCを壊す」~教員の子どもだけが立派に育つ時代の予感

先日、田澤先生とお話をしていたら、息子さんの通知票に書かれていた宿題の提出状況が悪く、怒り狂った田澤父親は息子の前でゲーム機を叩き壊した、という話が出てきました(勢いでソフトもぶち割ろうとしたら硬くて壊せなかった、そこが少々カッコウ悪かっ…

「お経の話」~ちょっとかじるとけっこう面白い世界

義理でお葬式に出たり法事に参加したりすると、長い長い読経の時間が苦痛です。足の痛みに耐えてわけの分からないものを聞き続けるのは容易ではありません。せめて何を言っているのか分かったらなあと思ったこと、ありません? 幸いなことに私の場合、20代…

「文化の日」~お休み

文化の日

「あの人ならどう考えるか」~父が死んだ

日曜日に、父が死にました。 子どものころ、父は非常に遠い人でした。市役所の職員でしたが38歳で課長、48歳で部長と異例の出世をした人です。しかしそのことは私にとっては少しも幸せなことではなく、土日も含めて年中仕事ばかりで、一緒に遊んでもらっ…

「親孝行考」~体を毀損することについて

伊達政宗というのは相当な奇人であって、秀吉に疑惑を持たれた際には白の死装束に金箔を塗った磔柱(十字架)を背負った姿で出頭したとか、健康にいいからといって冬は炬燵の一方を必ず開けさせたとかいった面白い逸話をたくさんもっています。料理に長け、…

「世界人口70億人の時代」~飢餓を発展途上国に押し付けても、先進国は生きていく

国連の人口統計によると本日10月31日、世界の人口は70億人を越えるそうです。世界人口が60億人に達したのは1999年だそうですから、わずか12年で16%も増えてしまいました。これからの世界を考える上で重要な要素でしょう。 人口がそれだけ増…

「遠くて近いトルコ」~信じられないほどの親日国の話

一昨日の産経新聞に、「『日本人を見習いたい』被災者らが助け合い 略奪も発生せず」という記事が出ていました。それによると、 多数の死傷者を出したトルコ東部の地震被災地では避難生活を送る人々がお互いに助け合い、落ち着いた行動を呼び掛け合っている…

「交通事故対応のこと」~やはり訓練がものをいう

近隣の小学校の児童が交通事故にあったようです。新聞には重傷とありましたが、内容を読むとそこまでひどいケガではないようで、ひとまず安心です。 児童生徒の交通事故というと私には忘れられない思い出があります。それは山間地の小学校に勤務していたとき…

「よい環境とよい状況」~誰にとっての話か吟味する必要がある

庭先に積み上げられた生ごみ(というものがあればの話ですが)、これは良い環境と言えるでしょうか。 そう問うとすぐに分かるのですが、“環境”というのは「○○にとって」という言葉が頭につかないと、良いか悪いか区別がつきません。「庭先に積み上げられた生…

「学校の流れ」~楽しことが満載! ただし最後の数カ月はきつい

文化祭、ご苦労様でした。大きな行事がひとつ、無事に終わりました。 日本の学校は大型テーマパークのように楽しかったりやりがいのあったりする素晴らしいアトラクションを次々と用意しています。 入学式にはじまって1年生を迎える会、児童・生徒会、遠足…

「お休み」

振り替え休業のため、本日の更新はありません。

「文化祭の”文化”て何なんだ?」~”文化”のウンチク

「文化」のつく言葉は多々あります。 「文化遺産」「文化勲章」「文化功労者」「文化財」「文化人」「文化人類学」。 これらはすべて「文化」の本来の意味、 「(1) 世の中が開け生活が便利になること. (2) 人間の営みによってつくりだされたもの. *…

「人口ピラミッドの見方」~自分の恋人になる可能性のある子は何人いるか

18歳で東京に出た時、東京都の男女比は1:1.25と聞いて舞い上がってしまいました。統計上、私は右手で女性一人をしっかり抱き、左手でもう一人の女性の手ぐらい握ることが可能だからです。 しかし私は三つの意味で間違っていました。 まず第一に端数の…

「”グローバル社会を生きる力”とは何か」~結局、エリートの話

「グローバル社会を生きる力」という言葉がいつごろから教育の世界に入り込んで来たのか、ちょっと記憶がないので調べたら、近いところでは新指導要領の基盤となった中央教育審議会の「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」(平成19年)に、“満載…

「個性・個性教育(その2)」~”特殊”教育用語について④

「何でもかんでも先生の言うとおり、ハイハイとやっているような子どもじゃダメだ」 そういう言い方があります。なんとなく聞き流してしまいそうですが、よく考えると大変なことです。 これを言った人は意識していないかもしれませんが、エリートは斯くあれ…

「曲学阿世」~真理を曲げても大衆におもねる人々

昨日テレビを見ていたら、放射線についてこんな話をしていました。 「放射線にはアルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線といった種類があり、アルファ線は紙一枚程度で遮ることができ、ベータ線はアルミ板で押さえることができる。ただしガンマ線はそれら…

「理由はない」~ある不登校児の冷静な自己認識

冗談ですが、「誰かに追いつめられて自殺するときは、遺書に『○○さんを恨みます』とだけ書いて死ぬのがいい」という話があります。 理由を書かないことが人々の妄想を掻きたてる。何か分からないがよほどの事情があったに違いないと、みんなが思ってくれる。…

「個性・個性教育」〜”特殊”教育用語について③

個性とか個性教育・個性を伸ばす教育とかいったもの、分かるようで分からないところがあります。 とりあえず世の中で個性的な人といえばたいていは“変わり者”です。悪くはありませんが日本中があんなもので満たされてはかないませんし、あまり積極的に育てた…

「マニュアル社会とバカにされても」~やっぱりマニュアルは必要だ

先週木曜日、早く帰れたので何の気なしにテレビをつけたら「セカイで日本go」(NHK)という番組をやっていました。その日のタイトルは「ニホンのソウジはスゴイ!?」というもので内容は以下の通りです。 サウジアラビアでは「ハワーティル(改善)」という…

「心して運転しましょう」~”免許通り消し”って、あんがい目の前です

そこは南北2キロ東西1キロに渡って見晴らしの良い河岸段丘の底で、夜などどんなに遠くても走ってくる車のライトを見落とすことのないような場所です。そんなド田舎の畑の真ん中の、赤の点滅信号をきちんと一旦停止して安全確認をする人っていますか?(………

「地上の神」~特別支援学校の子どもたち

先週の土曜日にK養護学校の体育祭に行ってきました。事情があって以前から関わっている子がいるので様子を見に行ったのです。 K養護学校には様々な人たちがいます。基本的には小学部・中学部・高等部・◯◯部(重度心身障害)の4部からなっているのですが、…

「ジョブズ」~美しくないものは良くないものと考えた人

アップル社の前CEO(最高経営責任者)のスティーブ・ジョブズが亡くなりました。 私がこの人について知っていることはあまり多くありません。 アップルという会社の共同の創業者で、アップルⅡというコンピュータで大もうけをしたこと、 のちにパソコン界…

「30人31脚のこと」~すばらしい試みだが簡単に真似はできない

かつて安倍内閣の教育再生会議の席上、小谷実可子という人が「『30人31脚』はテレビで見て、非常に感動した。30人が息を合わせないと進めない、ここから助け合うことを学べるので、学校でもすぐ取り入れたらいいのでは」と発言したことがあります(第…

「モックリ・コックリ」~西から来る怪物と野菜の話

給食のクイズにときどき「◯◯の原産地は?」というのが出てきて、そのたびにあれこれ考えたりフムフムと感心したりしています。 最近で言えばカボデャの原産地が中南米というのがありましたが、以前あったトマトがアンデス山脈、トウモロコシもジャガイモも中…