モックリ・コックリ

 給食のクイズにときどき「○○の原産地は?」というのが出てきて、そのたびにあれこれ考えたりフムフムと感心したりしています。

 最近で言えばカボデャの原産地が中南米というのがありましたが、以前あったトマトがアンデス山脈、トウモロコシもジャガイモも中南米となると、すべての野菜は中南米に端を発しているような感じになってしまいます。

 もしかしたら大根やゴボウなど日本で栽培可能な、そしてユーラシア大陸やアフリカ大陸などアジアと地続きが原産の作物は、平安時代くらいまでの間に日本に入ってきてしまい、日本人には土着の食材のように思われていたのかもしれません。

 ヨーロッパとの交易が始まって(16世紀)、それ以降入って来た作物はみな珍しいから産地が話題になる。「え? どこから来たのだい?」「なんかカンボジアらしいよ(=カボチャ)」「ジャガタラ国から来たイモだ(=ジャガイモ)」、そんなふうになったのではないでしょうか。

 トウモロコシが16世紀に日本に入ってきたとき、すでに1世紀ほど前に入っていたそれとよく似た植物=モロコシがあったので「唐(中国)から来たモロコシ」ということでそうと呼ばれるようになったようです。しかしその元となったモロコシも、漢字で書けば「唐土」。つまり中国(から来たもの)という意味です。もともと「越(えつ)の国の諸州」という意味だった「諸越(もろこし)」がいつしか中国全体を現すようになっていたのです。ですから「トウモロコシ」は「中国・中国」だとも言えます。

 ただ、実際の「唐」は10世紀に滅びていますから、15〜16世紀の日本人には国名というよりは「あっちの国」くらいの意味だったのかもしれません(そう言えば「漢」などという国がとっくに滅んでからか入ってきた文字も、「漢字」と言います)。

「あっちの国」が中国だとすると「こっちの国」はいつまでも「高句麗(こうくり:7世紀に滅亡したのに)」でした。

 歴史の教科書には13世紀にモンゴルの兵が2度に渡って日本を攻めたことが書かれています。元寇(またはモンゴル来襲)です。

 特に蒙古とその属国だった高麗よって編制された第一回の元寇文永の役)は、日本人にとって過酷でしたので、とてつもなく大きな恐怖として人々の心に残ったようです。現在でも日本海側の各地には「モックリ・コックリ(またはコックリ・モックリあるいはモクリコ・コクリコ)」という怪物の伝説がありますが、これは「蒙古・高句麗」に由来するといわれています。

 しばらく昔、子どもが言うことをきかないと「そんなことをしているとモックリ・コックリが来るよ」とか「コックリさんが来るよ」とか言われたそうです。これが「コックリさん」の語源(のひとつ)だと言われています。