アップル社の前CEO(最高経営責任者)のスティーブ・ジョブズが亡くなりました。
私がこの人について知っていることはあまり多くありません。
アップルという会社の共同の創業者で、アップルⅡというコンピュータで大もうけをしたこと、
のちにパソコン界のポルシェと呼ばれるマッキントッシュでさらに大当たりを当てたということ。
その独断専行の性格が祟ってアップルを追放されたが、その後、凋落傾向の激しかったアップル社に呼び戻され、そこでおとぎの国の宝石箱みたいなiMacを開発し復活させたこと。
iPod、iPhone、iPadと次から次へとヒット商品を生み出し、IT世界を一変させたこと。
CEOとしては年収として1ドルしか受け取らず、世界でもっとも安いCEOと評されたことなど、ごくありふれた普通の話だけです。
ただ彼が常に時代の先を進んだ天才のように言われることについて、私は少し疑問を持っています。
アップルⅡは彼の開発したものではありませんし、良く言われるマウスの発明も彼のものではありません。
マッキントッシュはコンピュータ界のポルシェと呼ばれるほど高性能でしたが同時にポルシェのように値段も高く、いまから思えばあれほどの高価格ならたいていのことはできたよな、といった気もします。
iPodの独創性や先進性はSonyのカセット・ウォークマンに比べれば大したものではありません。iPhoneだって、今やガラパゴス・ケータイと揶揄される日本の携帯電話を「アメリカの大男の手のひらサイズ合わせる」という発想さえあれば、手の届く範囲にあったはずです(iPadに至っては?です)。
ただし、ジョブズには誰の目に分かるような優れた資質が二つあります。ひとつはプレゼンテーションです。とにかくカッコイイ。
黒いシャツにジーンズという姿で出てきて、新製品を持って語り始めるだけで、その商品は世界を変えると思わせるだけの凄さがあります。
もうひとつは彼のつくる製品がとにかく美しいということです。iPodもiPhoneもiPadもみんな美しい。
特にiMacは本当におとぎの国の宝石箱でした。
「ジョブズは、Macintoshにはシンプルな美しさが必要だと考え、基板パターンが美しくないという理由で、設計案を幾度となく却下した。また、同じく美しくないという理由で、拡張スロットの採用を拒否したり、みすぼらしいフロッピードライブのイジェクトボタンをなくさせ、オートイジェクトを導入させることも行わせた」(Wikipedia)
この点で私はジョブズに完全に一致できます。
美しくないものは良くないものなのです。