カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

2011-01-01から1年間の記事一覧

「なぜだろう」~予告しただけで事態が変わってしまうことがある

むかし勤めていた小学校にウコッケイがいたのですが、まさに「尾羽打ち枯らした」という形容がぴったりの年寄りで、子どもたちがいくら世話をしたところでタマゴなど産むはずのない鶏でした。ほんとうは若い鶏を追加したいのですが、鶏というのは縄張り意識…

「結局、いい仕事なのだ」~朝日新聞の調査から見る教職

ちょうど一週間前、9月26日の朝日新聞に「ベテラン教員 すり減る意欲」という記事が出ていました。それによると、 「今の仕事が楽しい」かどうかを尋ねたところ、教員で「そう思う」と答えたのは、30歳未満80%、30代75%に対し、40代67%、…

「特殊教育用語について」②〜そのままのキミでいい

不登校への指導の過程で「子どもには『そのままのキミでいい。死にたいくらい嫌なところへは行かなくてもいい』そう言ってくれる人がいることが大切だ」とか「変わらなくてもいい。今のままのキミで十分に愛されているんだと伝えてあげなければいけない」と…

「縄文時代のガラパゴス」~日本人は古代より”最高級”を選び続けた

「ガラケー」という言葉をご存知ですか? 「ガラパゴス・ケータイ」−日本で極度に進化した携帯電話で、性能としては外国を圧倒しているにも関わらずまったく世界に出て行かない(売れない)携帯電話をそう呼んで揶揄するのだそうです。 日本のやることは万事…

「一字も晒さない」~私のワープロ・パソコン人生

自筆の文字を誰にも見られたくないという強い欲望があります。本当に嫌なのです。ですから教員としては最も早くワープロ専用機を買った一人でした。「SHARP 書院 WD−A100」という機械で、画面が40字×5行しか表示できず、レイアウトは頭の中の…

「越後屋、おぬしもワルよのう」~越後屋さんはどんな悪事を働いたのか

ちょっとした用があって2年生の教室に入ったら、その前の時間の社会科の板書がそのまま残っていました。テーマは田沼時代と寛政の改革です。1時間の授業でこの二つをあつかうのはいかにもたいへんで、覚えなければならない歴史用語だけでも10以上ありま…

「選択肢のないことの強み」~津波被害をまぬがれた村となでしこジャパン

先月号の雑誌「文芸春秋」に岩手・宮城・福島の三県でたった二つだけ、死者・行方不明者が実質的にゼロの自治体があるという記事が出ていました。 ひとつは岩手県普代(ふだい)村、もう一つは同県洋野(ひろの)村です(実際は普代村で船を見に行った人が一…

「秋分の日はなぜ休みなの?」~夏至や冬至は休みじゃないのに

明日、23日は秋分の日でお休みです。春分の日も秋分の日も休日なのに、夏至や冬至がお休みでないのはなぜか、これは当然疑問になってよさそうなのにこれまで一人の児童生徒にも尋ねられたことはありません。とにかく休めればいいのだからということなので…

「プリントゴッコの話」~教師を助けようとした、企業の危機を救った機器

膨大なインターネットニュースの片隅に「RISO、『プリントゴッコ』事業を完全終了」という記事が出ていました。 RISO(理想科学工業)は、同社が1977年より展開してきた家庭用印刷機器「プリントゴッコ」の関連事業を、2012年12月28日をもって、全て終…

「見て良きもの」~濱先生の結婚式に招かれて思ったこと

招かれて濱先生の結婚式に出席してきました。 式に出席するときはたいてい「結婚式といっても幸せなのは二人くらいで、招かれた人のいったい誰が幸せ?」とかブーたれて出かけるのですが、なぜかいつもそここその幸せ気分で帰ってきます。それは新郎新婦の幸…

「江戸の耐火建築」~なまこ壁の話

昨日、出勤の際、◯◯の集落の入り口でりっぱな土蔵造りの建物に気づきました。もう一年半も通い続けた道なのに、案外見ていないものです。 土蔵造りというのは日本の伝統的な建築様式のひとつで、外壁を土壁として漆喰などで仕上げているところが共通の特徴で…

「白いチョークと黄色いチョーク」~記録に夢中で授業に参加しない子のための対策

黒板にチョークで文字や図を書くこと、または書いた内容を「板書(ばんしょ)」と言います。 研究授業に参加する時、私たちはたいてい教師の発問や児童・生徒の発言を細大漏らさず丁寧に記録しようとします。講演会に行っても、聴衆の一部(特に教員)は一心…

「統括指導主事とは何か」~校長を統括する人々

明日は統括指導主事の学校訪問です。 少し緊張しましょう(私も緊張します)。 私たちは教育を学んで教員になります。それと同時に校長を頂点とする学校組織に組み込まれ、学校のことには詳しくなります。しかしその背後にある教育委員会や行政については(…

「世間の人たちは知らないが、教師とは、ほんとうに大したものだ」~本校の運動会の感想

天気にも恵まれ、素晴らしい運動会が行われました。組体操などでは来賓の方が涙を浮かべておられるなど、随所に感動があふれる、思い出深いイベントとなりました。 学校で行われるすべての行事は、児童生徒の自主的な活動という擬制をとります。こんなところ…

「振り替え休業のご連絡」

本日、運動会の振り替え休業です。

「今日は運動会」~一日、楽しくやりましょう!

日本の運動会の起源は1878(明治11)年6月に札幌農学校で開催された遊技会だと言われています。遊技会はわずか数年で北海道内の小中学校に広がり、それを初代文部大臣・森有礼が推進し、全国の学校で行うようになったそうです。 徒競争などの個人競技…

「教師の悪行について、ここでは判断は下せない」~外部の会合で、ひとことブッてきた②

人権啓発協議会で、学校におけるいじめ問題の難しさについて話したところ、続けてこんな質問が出ました。「ほかの学校のことだけれど、最近こんな話を聞きました。ある小学校にアトピーで苦しむ子がいて、顔や体が痒いのでしょちゅう身体を動かして掻いてい…

「いじめについて、世間は分かってくれない」~外部の会合で、ひとことブッてきた①

係として地区の「人権啓発協議会総会」というのに出席してきました。要するに地域の社会人権教育の中心となる組織です。今ごろ本年度の事業計画を話し合うというなんとものんきな協議会で、特に紛糾することもなく30分足らずで終わりかけたとき委員の一人…

「現代の教師」~優秀でない、わけがないじゃん!

土曜日に近所の寄り合いあって、そのあと会食ということになりました。もちろん酒席です。そのとき隣りに座った区長さんからこんな話がありました。「やはり最近の先生は、昔に比べると子どもの指導ができなくなってるんですかねえ」 私にとっては待ってまし…

「道徳はもういらないという考え方」~子どもたちが楽しく来てくれるなら

不登校が明らかに見過ごせない社会事象となってから、もう40年近くなります。そうなるともう、劇的に不登校をなくすことなど不可能だという気がしてきます(おそらくそれは正しいのでしょう)。そこでここ数年強く指摘されているのが、「新たな不登校を出…

「特殊教育用語について」①〜寄り添う

学校や教育について使われる言葉の中に、かなり空疎だったり誤解され易かったり、時には有害だったりものがあります。例えば「子どもの目の高さで」とか「受け入れる」とか、「同じ人間として」とか、「寄り添う」とか、あるいは「そのままのキミでいい」と…

「”人間”がわからなくなる時」~どこまで強く、どこまで弱いのだろう

俳優の窪塚洋介という人は自宅マンションの9階から落ちて、しかも9mも離れたところに着地したというのに、今も元気で仕事を続けています。 ロック歌手のジョニー大倉もホテルの7階で、ベランダ手すりを使って懸垂運動をしているうちに落下して全治6ヶ月…

「勉強に関する三つの覚書」~無体な非難を繰り返す世間に反撃するために

【その1】 「6年も学びながら、日常会話すらもできるようにならない日本の英語教育はどうかしている」という言い方があります。しかしいかがなものでしょう? [これに対する反論1] 私は小学校1年生から高校の3年生まで、算数数学を9年間もやりながら…

「昔の教師は偉かった――ワケじゃない」~呆れた教師(私)の三題

【第一話】 昨日、「昭和天皇在位60周年記念金貨」(正確には「天皇陛下御在位六十年記念硬貨」)のことを書いて思い出したことがあります。それはもう20年以上前のことです。 当時勤めていた中学校である日4時間目あたりの授業をしていた時、珍しく教…

「金(ゴールド)の話」~なぜヒスイやダイヤモンドではなく、金が貨幣になったのか

先日、実家に帰ったら母が「金が高いそうなので、これを売ってきて欲しい」と言われ、指輪やら金杯やらを少々渡されました。しかしその翌日新聞を見たら「金は値下がり」と書いてあったので、気持ちが躓いてしまいました。 ところで、金の値段、今いくらだと…

「新しい学校中心主義」~学社連携について⑤

学社連携について4回に渡って考えてきましたがこれが最後です。 学社連携―「子供たちの教育は、単に学校だけでなく、学校・家庭・地域社会が、それぞれ適切な役割分担を果たしつつ、相互に連携して行われることが重要である」―という理念は高邁すぎる夢でし…

「学校を多忙化する学社連携」~学社連携について④

1995年の中教審答申によって示された「子供たちの教育は、単に学校だけでなく、学校・家庭・地域社会が、それぞれ適切な役割分担を果たしつつ、相互に連携して行われることが重要である」の理念を、「学社連携」といいます。その中心的課題は「開かれた…

「開かれた学校とスリム化」~学社連携について③

いみじくも安倍元首相が「ゆとり教育は、理念は正しかったが先生たちが理解できなかった」と言ったように、「ゆとり教育」はあまりにも高邁な理想でした。それを可能とする教師もたくさんいましたが、普通の教員が日常の努力でなしうるものではなかったのか…

「ゆとり教育と学校のスリム化」~学社連携について②

アメリカから強く要求されてきた企業の週休二日制促進のため、当時の自民党は今で言う「政治主導」によって強引に学校五日制を始めてしまいました。しかし制度として定着させるためには正当化が図られなければなりません。そこで持ち出されたのが「ゆとり教…

「学校五日制の話」~学社連携について①

学校週五日制がいつどんなふうに始まったか、私も忘れてしまったので調べたら1992年(平成4年)の9月12日でした。この日が9月の第二土曜日で、以後しばらく月の第2土曜日だけが休みの変則的な学校五日制が始まりました。年度の途中から始まってい…