カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

2014-01-01から1年間の記事一覧

「USBが使えない。ではどうするか」〜上に政策あれば下に対策あり

新しいシステムは、専用USBで暗号化された情報を持ち出すことのできるものでした。もちろん校長の許可は受けなければなりません。ただしそうして持ち出した情報はUSBから個人用コンピュータには移動できないのです。家ではUSB内部だけでデータを書…

「市の学校で勤務中に作成した教材は市の財産だ。転勤時に持ち出すな」~暗黒のクラウド③

今日のクラウドコンピューティングと異なるのは、「一度入れた情報は二度と引き出せない」というどうしようもない閉鎖性です。生涯A市の教員として過ごすならまだしも、転勤で別の市町村に異動すると多くの資産が使えなくなる、そんなことが我慢できるはず…

「教師の仕事ぶりは絶対に理解されない」~暗黒のクラウド②

まず問題となったのは、自宅で仕事をしようとする場合、市のプロバイダと契約して月々2500円の料金を払わなければならないということです。2500円という金額も金額ですが、「お金を払って仕事をさせていただく」という卑屈さが我慢ならない、教員と…

「教師は仕事がしたければ市に金を払え」~暗黒のクラウド①

勤務時間内に成績処理などの時間を確保しない限り、教員による情報の持ち出しはなくならないだろう。そして授業時間の確保、業務の拡大という現状を考えるとそうした時間の確保はできない。したがってUSBの紛失をはじめとする情報の持ち出しの問題は絶対にな…

「USBはなぜ失われるのか」~教員がUSBを持ち出す理由

ベネッセから最大2070万件の個人情報が流出したと大問題になっています。日本の人口のおよそ六分の一という大変な量です。流出した内容は「郵便番号」「顧客(子供とその保護者)の名前(漢字およびフリガナ)」「住所」「電話番号(固定または携帯)」「子供の生…

「カクテルパーティー効果の話」~最近やっと理解できたこと

昔、ある性格診断をしたところ、私の第一の特徴は「調べる人」なのだそうです。確かにその通りです。 若いころは一度調べ始めると答えが見つかるまで諦めがつかず、辞書や書籍の上には付箋の束が広がりました。Aを説明する文章のBという言葉が分からず、Bを…

「お母さんの好きなこと」~生徒指導の現場で母親に話したこと

申し訳ありません、ふたたびお呼び立てして。先日お話ししたとき、「ウチの子は、自分がやられたことについてはものすごく詳しく覚えているのです。やったことについてはほとんど話しませんが・・・」 そんなふうにおっしゃいましたよね。あのとき私は、子ど…

「ワールドカップサッカーと松本サリン」~マスメディアのいい加減さについて

ワールドカップサッカーも決勝トーナメントに入って、今日はコロンビアが快勝。「もしかしたら今日のこの位置に日本がいたかもしれない」 気持ちの奥にまだ2週間前の雰囲気が残っていて、「コロンビアもウルグアイも敵じゃない」とそんな錯覚がチラつきます…

「男性にもまれまれながら」~なぎなた読みと男性の乳がん

妻が「リセット・ポール」という健康用具を購入しました。直径20㎝、長さ1m20㎝ほどの円筒で、この上に横たわって背骨を伸ばしながら軽く運動をするというものです。なかなか気持ちのよいもので、気分よく運動しながらあちこちの筋肉を揉みほぐしていた…

「爽快!」~日本のサッカーが世界に教えていること

日曜日は午前4時過ぎから心臓をパクパクさせ、10時16分には興奮の極みにいて、12時15分には暗澹たる気持ちでいました。もちろんワールドカップ・サッカー、コートジボアール戦です。珍しく夕方まで尾を引きました。 私は熱烈なサッカーファンではあ…

「デイ・バイ・デイ(このブログ)のこと」③

学校の教務日報の内容をそのままブログに載せるようになってから、日報としての文章は具体性を失っていきました。具体的な、たとえば勤務校独自の行事や個人について書いていると、次第に外堀が埋められ、やがて身元が明らかになってしまうような気がして恐…

「デイ・バイ・デイ(このブログ)のこと」②

検索等でブログから入られた方の中にはご存じない方もおられるかもしれませんが、「デイ・バイ・デイ」は私が15年前から運営しているウェブサイトの一部です。「ああ言えばこう言う辞典」と言います。 テキストばかりの大部なサイトですが、10年前、その…

「デイ・バイ・デイ(このブログ)のこと」①

6月8日の書き込みにコメントをつけていただきました。そこに「3月に退職し、(それで)ブログも終わったと思っていた」という内容がありました。そこで説明しておきたいと思います。 今から11年前、私は管理職の端くれとして田舎の小さな学校に赴任しま…

「傷ついたちっぽけな心」~それを鍛えるのが大人の仕事なのだが――

一昨日の新聞記事に、 暴言:被爆者に「死に損ない」 長崎修学旅行で横浜の中3 というのがありました。 修学旅行で長崎を訪れた横浜の公立中学校の生徒が、爆心地の案内をしていた被爆者に「死に損ないのくそじじい」と暴言を吐いたというのです。被害者が手…

「2カ月余」~更新を休んでいた時期のこと

学校を去ってから2か月余となりました。驚いたことに何の未練もこだわりもありません。教員として仕事をやり遂げた達成感というのでも、辞めてせいせいしているのでもなく、とにかく時間が切断されたように“あっちの方”に行ってしまったという感じなのです…

「ありがとうございました」~本日、退職しました

本日3月31日付で退職しました。 「デイ・バイ・デイ」は基本的に校内で発行していたものですから、毎日更新という形でのアップロードはできなくなります。 今後このブログをどうするかはまだ決めていませんが、しばらく休んで、それから考えたいと思います。…

「最終回」~30年間の思い

「200万円の資金と一部屋をご用意ください。塾経営で月々60万円の収入」 三十数年前、私が勤めていたフランチャイズの塾経営会社のキャッチコピーです。そんなチラシをあちこちで配りました。ウソとは言い切れません。 資金の一部を使って一部屋(8畳)に机…

「春休み」~告知

春休みになりました。 授業のある日は毎日更新している「デイ・バイ・デイ」ですが、しばらくお休みします。 次回の更新は登校日の3月31日です。 (もしかして、気が向いたらその前に更新するかもしれませんが)

「卒業」~今こそ、別れめ

一年間、ご苦労様でした。そしておめでとうございます。 例年のこととはいえやはり卒業式は特別の日、何となく華やぎ、同時に引き締まった気持ちになります。特に初めての担任学級を卒業させるお二人の先生には、格別の感慨がおありでしょう。 先日、あるテ…

「徂徠訓」~荻生徂徠に教えられた子どもの見方・育て方

「デイ・バイ・デイ」*1も今日で860号*2。毎日こんなふうに書くようになってから9年目ですので、総計で1900回余りになります。*3 その間、三つの学校を渡り歩きましたが、歳時などで同じ内容を扱うことはあっても、全文をコピペということは一度もなく、今日…

「キミたちに」~卒業文集に寄稿したこと

卒業学年の文集に寄稿を頼まれ、先日それを渡しました。 学年の文集なので他の先生方の目に触れにくいものです。ですからこちらにも写しておこうと思います。せっかく書いたものですから。 「キミたちに」 キミたちに話すべきことはすべて話してしまったよう…

「好むと好まざるとに関わらず、大災害の後の避難所は学校が運営することになるだろう」~明日の覚悟②

東日本大震災の記録を読んでいくと、実際の現場に行かなければ分からないことが山ほどあることが分かります。例えば一定期間が過ぎると避難所はトイレの匂いに悩まされるといったことです。 ハリケーン・カトリーナに襲われた時のニューオーリンズのアストロ…

「大災害があっても、子どもたちとともに私たちは生き残る」~明日の覚悟①

2011年3月11日の夕方、私は前々から予定していた用事のため学校を早く出ました。東北地方で起きた地震のことはあまり気にしていませんでした。その時点では東京の九段会館で天井が崩落して死傷者が出たとか、千葉方面のビルから火の手が上がっているといった…

「津波のあとの第一講」~東日本大震災の経験から何を学んで、何を子どもたちに伝えたいのか

3月11日です。あれから3年。私にとってはあっという間の月日でしたが、東北の方々の中には、苦難の長い長い月日と感じる方もおられるかもしれません。時は必ずしも公平に流れるものではありません。 今日は半旗を掲げ、地震の発生した午後2時46分に黙祷をさ…

「印象派から日本人が学んだこと」~印象派の人々②

“印象派”というのは誤解されやすい言葉で、「事物というよりは、その印象を描いた絵」と思い込んでいる人もいますが、そうではありません。その出発点となった記念碑的作品がマネの「印象、日の出(Impression, soleil levant)」だったということ、そしてそ…

「日本の美術教育に最も影響を与えた人々」~印象派の人々①

私は図工や美術の専門家ではありませんが図工・美術教育についていろいろ調べ、考えたことがあります。以前にも申し上げましたが、小中学生のころ、絵にかなりの自信を持っていたのに全く評価されなかった恨みがあるからです。なぜ評価されないのか、その訳…

「思い出の教師たち」②〜わがままで好き勝手で、しかし生徒からよくモテたK先生のこと

K先生は私より7歳ほど年下で、出会ったときは新卒2年目、初めての担任を持とうというときでした。仕事の遅い人で、というより面倒なことを後回しにする性質で、そのためしょっちゅう叱られたり起こられたりしています。しかしそれにもかかわらず学年主任…

「繰り返し英語教育について」~英語・仏語ともにペラペラなお坊さんに触発されて

「Youは何しに日本へ」という番組が好きでときどき見ています。月曜日6時半からの放送です。 少し以前ですが2月3日の放送に、ベルギーから芸能活動をめざして来日したという18歳と19歳のカップルが出ていました。本国の音楽市場はあまりにも狭いので日本…

「不審者もどきの話」~不審者と見まごう人々、不審者と間違えられそうな私

先日の担当者会で警察の方から、「そろそろ防犯教室も校舎への不審者侵入から路上の声かけ事案にシフトしていきたい」といったお話がありました。全くその通りだと思います。池田小学校のような事件はあれ以来起っていませんし、声かけ事案や路上での痴漢被…

「桃の節句」~男雛・女雛問題に決着をつける

3月3日、桃の節句です。 節句というのは季節の節目を祝う日で、その代表的なものとして五節句(人日、上巳、端午、七夕、重陽)が定められています。案外歴史は浅く、江戸時代に決められたそうです。 人日(じんじつ)の節句は1月7日、七草粥を食べて祝う日…