カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

2012-01-01から1年間の記事一覧

「『純愛』が難しくなかった時代の話」~夏休みに家で考えたこと③

ドストエフスキーの「罪と罰」のソーニャ、三浦哲郎の「忍ぶ川」の志乃、古井由吉の「杳子」の杳子、この三人が、私が愛した文学上の三人の女性です。中でも「忍ぶ川」の志乃は清楚で控えめで、日本の男性なら誰が読んでも好きにならずにはいられないキャラ…

「国家を越えたものに支配される」~夏休みに家で考えたこと②

ロンドンで平和の祭典が行われている間じゅう、中東のシリアでは内戦が続いていました。たくさんの市民が殺されましたが、今も戦闘は終了しません。 なぜ終わらないのかというと、政権と反政府勢力の双方を支援する存在があるからです。 経済的にはシリアに…

「夏休み中に考えたこと」~後期研修会も始まります

短い夏休みでしたが、どのようにお過ごしでしたか? 私はオリンピックを見、法事を行い、長く手をつけていなかった家の片づけ(子どもいないモードへの変更)をしているうちに終わってしまいました。 その間に考えることも様々だったわけですが、そのひとつ…

「ブログでご覧の皆さま、しばらくお休みします」~一学期の終了

今日から夏休みです。 8月3日まで、職員は前期研修日となり、それぞれの場で研修を受けることになります。5日以降は強制ではありませんので、個々研修会に出たり年休を取ったり・・・。 後期研修会は8月20日からで、「デイ・バイ・デイ」もそこから再…

「通知票の話」~書くときの心得

長い一学期ご苦労様でした。今朝はどんな気分で登校されましたか? 疲れていません? まだ担任を持っていた時代、終業式は常に疲労困憊の中で迎えていました。通知票のためです。もともと仕事を早く仕上げて当日を待つというタイプではなく、「フェンス際の…

「江戸時代の岡っ引きから考える”子どもの情報”の取り方」~手下を育てる

町奉行所というのは現在の東京都庁・警察庁・警視庁・検事局・最高裁判所をひとまとめにしたようなものです。管轄は江戸市内全域です。南町奉行所・北町奉行所というので、江戸の町を南北に分けて管轄したように思われがちですがそうではありません。南北は…

「教師や親は子どものことを何でも知っているはずだという擬制」~錯誤はどこにあったのか④

「教師というのは恐ろしく真面目で誠実な人たちだ」ということを前提にすると、「一度、先生は注意したけれどその後は一緒になって笑っていた」という話も別の色彩を帯びてきます。私の知るところではこの時行われていた暴力は加害者が被害者にヘッドロック…

「大津いじめ自殺事件で見落とされた視点」~錯誤はどこにあったのか③

かつて「埼玉業者テスト問題」という事件がありました。 埼玉県の中学校では平成4年まで、およそ半世紀に渡って全県一斉の業者テストが行われ、その成績で受験校が割り振られていたのです。その事実を知ったマスコミがこれを問題とし、東京の本社から大量の…

「過去のいじめ自殺事件との類似性」~錯誤はどこにあったのか②

18年前に起こった「大河内清輝君いじめ自殺事件(愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件)」、そしてその8年前に起こった「中野富士見中学校いじめ自殺事件(いわゆる『葬式ごっこ』自殺事件)」、そして今問題となっている大津市の自殺事件、この三つにはき…

「大津いじめ自殺事件における教師の罪深さについて」~錯誤はどこにあったのか①

「デイ・バイ・デイ」も本校に来てからの分が今日で500号記念なのだし、陰惨な話は一息つかないと胸が苦しいのでいったん別の話にしようと思ったのですが、三連休、テレビを見ても新聞を開いてもネットを広げてもどこもかしこも大津のいじめ事件、しかも…

「瑞浪いじめ事件の教訓」~ネット社会における学校のいじめ問題②

2006年の岐阜県瑞浪市における、いわゆるいじめ自殺事件では情報化時代の学校問題の幕開けにふさわしいものでした。女子中学生の葬儀の夜、生徒の家を訪れた校長と学年主任(教務主任?)を遺族が問い詰める場面が隠し撮りされていたのです。 校長は苦渋…

「捜査や裁判の始まる前に勝負が決まる」~ネット社会における学校のいじめ問題①

このブログはほとんど前日の夜に書いています。ですから朝起きて新聞に目を通したりしたとき「ああ、こっちの方がいい筋だったなあ」とほぞを噛むことも少なくありません。昨日もそうでした。10日夜から11日にかけて、例の大津の自殺事件に様々な進展が…

「必罰の世界」~正しい処罰をしないと、とんでもない過剰罰が課される

昨年10月、滋賀県大津市の中学2年生が自宅マンションから飛び降りて自殺しました。学校は最初“いじめ”の存在を否定していましたが、生徒へのアンケートの結果次々と事実が出てきて翌11月、「いじめはあった。しかし自殺との因果関係は不明」というかた…

「ジャパン・エキスポ」~日本のサブ・カルチャーが世界を席巻する夢

7月5日から8日までの4日間、フランスのパリ郊外で『第13回 ジャパン・エキスポ2012』というイベントがありました。もうニュースなどでご覧になった方も多いと思いますが、日本のポップカルチャーを中心とした祭典で、入場者20万人といいますからこの…

「誰か教えてくれる人はいないのか」~懲戒処分を受けたあの人は、なぜ犯罪に手を染めたのか

子どものころ、スティ−ブ・マックイーンの「華麗なる賭け」という映画を見て犯罪者に憧れました(あまり誉められたことじゃないな)。 しかしそれ以降注意して見ていても、現実世界に華麗な犯罪などなく、たいていは食い詰め者が大した計画性もなく始めて、…

「連歌しける教師」~今日のサラダ記念日で思い出したこと

今日、7月6日は何記念日かご存知ですか? サラダ記念日です。「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日 名歌です。 俵万智の歌集「サラダ記念日」が発売されたのは1987年、もう四半世紀も前のことですが、現在の位置づけはどうなので…

「これからの教育:避難所では並ぶのではなく、他人を突き飛ばしても早く食料を手に入れる能力を高める」~日本はどうなっていくのだろう④

昨日は、最近の教育改革の流れには、グローバル社会の「知」の競争に打ち勝つために国際的に通用する人材を育成する必要があり、そのために初等中等教育段階で「世界トップ」の学力と英語力を身に付けさせる、という方向があると書きました。 しかし現実の社…

「日本の子ども全員に『敵を打ち負かすための学力』をつけることでエリートの戦闘能力を高める施策」~日本はどうなっていくのだろう③

今日、7月4日はアメリカ独立記念日です(1776年)。合衆国では「独立記念日(Independence Day)」と呼ばれるのが一般的ですが、単に「7月4日」("Fourth of July")と言うことも多いのだそうです。 ところでこのindependence、「独立」以外に「(精神…

「反原発に舵を切り切れない人間の弱さ」~日本はどうなっていくのだろう②

私が物事を考える基礎にしていることの一つは、「人間は弱い」ということです。日本人は非常に高潔な民族ですがそれでもほかの人々と同様に、“弱い”のです。環境保護とか温暖化防止とか、世界平和とか人権擁護だとか、そうした高邁な思想のためにいくらでも…

「『トイレのないマンション』は原発に限ったことではない」~日本はどうなっていくのだろう①

大飯原発3・4号機が再稼働を始めました。その是非については良く分からないのですが、この再稼働問題の渦中で出てきた「トイレのないマンション」という考え方に少し違和感があります。「トイレのないマンション」というのは原子力発電をすれば当然放射性…

「教職課程6年制の愚行」~教職は、それほどまでの犠牲を払っても就くべき仕事か?

火曜日のニュースに、「教員養成は『6年制』、修士レベル必要…中教審」というのがありました。それによると、「教員の質を上げる方策の検討を進めてきた中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会は25日、現在4年の教員養成期間を延長し、大学院…

「波平の友」~昭和の54歳はあんなにジジイだったの?

先々週だと思うのですが、テレビをつけたら偶然「サザエさん」をやっていて、カツオがお小遣いをもらう場面でした。画面に大写しになった百円玉を見たらなんとそこには「平成23年」と書いてあってびっくりしました。なんとなく昭和40年代くらいの話だと…

「私たちがケリをつけなければならない」~政治家とは、選挙のためなら何でも言う生き物だ

昨日のトップニュースは「消費税率引き上げを柱とする社会保障・税一体改革関連法案が衆院通過」、採決の際、民主党から57人の造反者が出たというものです。 教員は政治的に中立であるべきという思いもあってこのブログでもできるだけ政治については書かな…

「身も蓋もない三つの物語」~そりゃあ正しいけど・・・

【その1】 マット・デイモンという役者は、父は株式仲買人、母親は大学教授、兄は彫刻家という家柄で本人はハーバード大学に進み在学中から映画に出演していた、そんな人です。そのころから友達と書き始めていた脚本『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち…

「人生の基本設計」~子どもに人生の大枠を示しておく

あと一カ月で35歳になるという時に結婚し、最初の子どもが生まれたのが37歳でした。2番目の子が40歳のときです。妻はあと3日で31歳という日に結婚し、33歳で第1子、36歳で第2子を産んでいます。2回とも計画出産みたいなものでしたが、苦労…

「学校はどこまでをめざすのか」~果てしなく増え続ける学習内容

「中高合わせて6年も勉強しながら、結局身につかないような日本の英語教育は間違っている」という言い方があります。 これに対する最初の反論は「小中高と12年間も学びながら、微分も積分もベクトルもみんなできなくなってしまう日本の算数数学教育は間違…

「ジャイナ教の人々」~完全な不殺生を希求する人たちから学ぶ

伝承によると人生の無常を知ったシャカ(ゴータマ・シッダールタ)は29歳で出家すると、六師外道(りくしげどう:仏教から見て“道を外した”6人の師)と呼ばれる当時のインドの思想家たちから教えを受け、それらすべてに失望して一人苦行に入ったとされて…

「台風一家」~子どもの頃の我が家の話

台風4号が通り過ぎて行きました。日本ではあまり使用しませんが、4号には「グチョル」という名前がついていて、日本以外ではけっこう使われているみたいです。「グチョル」はミクロネシアの言葉で「うこん」のことです(注意! 読み方、間違えないように)…

「ボイジャーが太陽系を離脱します」~そのウンチク

昨日のロイター通信の記事に「ボイジャー1号が太陽系の境界に到達、打ち上げから35年で」というのがありました。 それによると、 米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所は、1977年に打ち上げた無人探査機ボイジャー1号が太陽系の境界付近に到達…

「ペーパークラフト」5時間半かけてピカチュウをつくって思い出したこと

先週の木曜日のことですが、よんどころなき事情によってインターネットからダウンロードしたペーパークラフトの、ピカチュウをつくる羽目になりました(緊急に用意するものがピカチュウというのも変な話ですが、説明し始めると長くなりますので省略します)。…