ジャパン・エキスポ

 7月5日から8日までの4日間、フランスのパリ郊外で『第13回 ジャパン・エキスポ2012』というイベントがありました。もうニュースなどでご覧になった方も多いと思いますが、日本のポップカルチャーを中心とした祭典で、入場者20万人といいますからこの種のイベントとしては最大級のものです。フランス人のオタクやゲームマニア、アニメ・ファンやJポップファン、コスプレーヤーに武道マニアと、ありとあらゆる日本文化の信奉者がこぞってやってくるのです。中でもフランス人のコスプレーヤーというのは日本人の目から見るとあまりにも“ハマリ”過ぎていて、アニメそのものみたいです。また、日本から行った「ももいろクローバーZ」のコンサートも、日本と全く同じ“ノリ”でやっているのにはあきれました。

 さて、その『ジャパン・エキスポ』に関するニュースの中に、Jポップが大好きというフランス人の女の子が出てきてこんなことを言っていました。

「例えば浜崎あゆみの『Together when…』の中に『ありがとうって言いたかった/ありがとうって言えなかった』という歌詞があるけど、この感覚はフランスにはない。フランス人は別れたらそれっきり。私はむしろ自分の中に日本人を感じる」

 これは日本人の繊細な感性が―といった話ではないでしょう。フランス人とひとことで言っても様々な感性があるわけで、そこには母国語ではうまく表現できないものだって少なくないはずです。それはちょうど私たちがいまだに「愛している」とか「君はきれいだ」などというのが苦手なのと同じです。その「フランス語ではうまく表現できない」部分を、Jポップが補おうとしているのです。

 また日本のアニメやマンガはインターナショナルなものではありませんから、日本の学園風景や恋愛、家族関係のあり方や考え方をたっぷり含んで海外に出ていきます。その受益者は、日本文化を学ぶのではなく、アニメやマンガを通していわば“体験”するわけですから浸透力は“学習”の比ではありません。いつの間にか浸透していくはずです。

 そのほかにも茶道や華道、書道に折り紙、和食やファッション、すでに俳句や盆栽の愛好家は日本国内を圧倒しています。

 昭和の最初の20年は武力で世界を席巻しようとして失敗しました。次の40年間は工業力で世界に君臨しようとしてほぼ成功しましたが、次第に限界が見えてきました。平成の長い休みを経て、もしかしたら今後は“文化”で世界を圧倒するのかもしれません。

(面白いことに「ジャパン・エキスポ」の主催者はフランスの企業です。13年間に培ったノウハウや人脈を利用して、来年はアメリカでも同様のイベントを開催するそうです。成功を祈りましょう)