ボイジャー

 昨日のロイター通信の記事に「ボイジャー1号が太陽系の境界に到達、打ち上げから35年で」というのがありました。

それによると、

 米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所は、1977年に打ち上げた無人探査機ボイジャー1号が太陽系の境界付近に到達したと明らかにした。太陽系外への脱出も間近だという。

 同研究所の発表によると、ボイジャーから地球に送信されるデータで、太陽系外からもたらされる荷電粒子の量がこの数カ月で急増していることが判明。NASAは声明で、「人類が恒星間空間に放った最初の使者が太陽系の端に達した」との見方を示した。

 姉妹機の2号とともに35年前に打ち上げられたボイジャー1号は現在、太陽から約180億キロ離れた位置を時速6万キロ超で飛行中。ボイジャーからのデータが地球に届くまでには16時間38分かかる。

 プルトニウムを使用した電源は2025年まで使用できるという」

のだそうです。

 ボイジャーは人類が生み出した最速の装置です。拳銃の弾丸の方が速そうな気もしますが、もっとも強力なマグナム銃でも初速で秒速400mほど、時速に直すと1440kmくらいにしかなりません。さらに強力なライフル銃だと秒速1000m近いものありますが、それとて時速3600kmです。ボイジャーの時速6万kmがいかにすごいかは、自ずと知れます。

 そのボイジャーをもってしても太陽系離脱に35年もかかるのですから、その大きさは測りしれません(銀河系の直径は10万光年。太陽系の5700万倍ほどになります)。

 ボイジャーは1977年、惑星探査のために2個、ほぼ同時に打ち上げられました。

 ちょうどそのころ「1982年に太陽系の主な惑星が一列に並ぶ『惑星直列』が起き、地球に天変地異をもたらす」といったしょうもない予言が出回っていましたが、その惑星直列を利用して1回の飛行でより多くの惑星を探査しようというのがボイジャー計画です。2個というのは、千載一遇のチャンスを逃したくなかったためのバックアップだったと思われます。

 そのボイジャー1・2号機のおかげで、私たちは木星の近景や土星の環の構造を詳しく知ることができました。木星天王星及び海王星に環があることや、イオ(木星の衛星)の火山の様子やトリトン海王星の衛星)に大気があることも分かりました。

 役目を終えたボイジャーは、その後もただひたすら飛び続けています。映画「スター・トレック」には、この『人類に見捨てられたボイジャー』が地球に復讐するというストーリーがありましたが、そういった意味でもロマンをかきたてる衛星です。

(付記)

 太陽系というのは、太陽から飛び出す様々な粒子(太陽風)が太陽系外から来る有害な宇宙線銀河宇宙線)を跳ね返すことのできる範囲だそうです。「太陽系外からもたらされる荷電粒子の量がこの数カ月で急増」というのはつまり、太陽風の届かない範囲にボイジャーが突入しつつある(太陽系を離脱しようとしている)という意味のようです。