カイト・カフェ

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「人生の基本設計」~子どもに人生の大枠を示しておく

 あと一カ月で35歳になるという時に結婚し、最初の子どもが生まれたのが37歳でした。2番目の子が40歳のときです。妻はあと3日で31歳という日に結婚し、33歳で第1子、36歳で第2子を産んでいます。2回とも計画出産みたいなものでしたが、苦労せずに妊娠することができました。
と、こんな話をしたのは教員生活の最終段階に来て、今まで考えなかったこと、分かっていながら目を背けていたことがいちいち現実化してきたからです。

 とりあえず私の定年と息子の成人式が一緒です。つまり退職後も生活を保障してやらなければならないのです。上の子だって、その時きちんと飯が食えているかどうか分かりません。
 退職と同時に年金がもらえる―漠然とですが、そういう計画でやってきたのが「年金の基礎部分が65歳から」となって、共済部分も順次遅らされていきます。年金そのものもグンと減らされてしまいました。私の父も公務員でしたが退職後は左うちわでした。私は父のようにはいきません。

 もっと早く結婚して子を産んでおけばこういう慮りもなかったはずです。定年退職の前にお祖父ちゃんお祖母ちゃんになっている人はいくらでもいるのですから。
 昔の“結婚適齢期”男性28歳、女性24歳で計算してみると第1子が31歳(妻27歳)、第2子が34歳(妻30歳)、下の子の成人式は夫54歳(妻50歳)のときということになります。定年後は、昔ほどではないにしても悠々自適の中で迎えられます。
「一般的な結婚適齢期なんてない、結婚を決意した時が適齢期だ」という言い方がありましたが、“あまり面倒なく楽に生きていく”ということを考えると、昔の“結婚適齢期”はなかなかうまくできています(というより、昔の平均的結婚年齢を基礎にしてできている社会の仕組みが、いくつかあるということです)。

 土曜日の夜、NHKスペシャル『産みたいのに 産めない〜卵子老化の衝撃〜』という番組をやっていたようです。私は見ませんでしたが、それまでのニュース番組で予告めいたことを何度もやっていましたし、2月の「クローズアップ現代」でも同じことを扱っていたので内容は分かります。これもいかにも現代的な問題です。

 不妊の検査や治療を受けたことのある夫婦は、6組に1組。 不妊治療専門のクリニックが世界一多く、体外受精の実施数も世界一になっている。/女性の社会進出を進める一方で、いつ産むのかという視点を見過ごしてきた日本のひずみが現れている。/(中略)不妊の原因の半分は男性側にあるが、夫が不妊の検査に行きたがらず、ようやく治療が始まった時には、妻の卵子が老化しているというケースが後を絶たない。/専門家は「早くに気付いて治療すれば、自然妊娠が見込めるケースも多い」と指摘する。

 そうは言っても4年制大学を出れば最短で22歳。運に恵まれてすぐに就職できてもなんとか仕事ができるようになるまで3年、そこから真剣に結婚相手を探して3年、もう28歳です。今は採用試験もなかなか受かりませんから、1年2年はすぐに遅くなっていきます。

 そう考えると猫も杓子も4年制大学というのではなく、大学へ進まないことや短大を利用することも考えておかなければなりません。ここでの2〜4年の短縮は後の人生に大きくかかわります。

 こういうことは誰も教えてくれませんでしたし、私自身が教師として、親としても子どもたちに伝えてきませんでした。知っていて違う道を選ぶのはいっこうにかまいませんが、知らずに“選んだこと”になってしまうのはやはり辛い場合があります。

 こうした人生の基本設計にしても、やはり教えておく必要があるかと思いました。