カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

2015-01-01から1年間の記事一覧

「再開します」~このブログ

夏休みも終盤に入って学校の先生たちも新学期の準備を始める時期です(早い地域ではすでに2学期も始まっています)。 しかし先生たちは、この時期何をして日々を過ごしているのでしょう。現場を離れてしばらくたつと、経験者の私ですら分からなくなります。…

「しておけばよかった」~青春に思いを遣る

昔しんどかったこともあって若い時代に戻りたいとは思いませんし、自分の人生にそこそこ満足しているのでどこなの時点に戻ってやり直したいという気持ちがあるわけでもありません。しかし今度生まれ変わったら、と思うこともないわけではないのです。 それは…

「私はそう信じて疑いません」~美しい日本人は私たちが育ててきた

総合病院の受付で会計の順番を待っている時、ひとりの2〜3歳くらいの女の子がこちらに走って来て、私の横にあった飲み物の分別ボックスにジュースの紙パックを投げ込みました。 私は「あっ」と思いました。残念なことに空き缶の入れ物に紙パックを投げ込ん…

「ストレス・トマト」

トマトやミニトマトというのは、苗を買ってきて植えてそのままにしておくと、四方八方に枝を伸ばして小さな藪のようになってしまうものです。そのくせ実は小さく数も少ないのが常です。ですから枝が広がらないように脇芽(葉の付け根から出て来る新しい枝の…

「後拾遺」〜岩手いじめ自殺事件の違和感Ⅶ

3 人は何によって死ぬのか だいぶ昔のことですが、新作の小説に立て続けに二回、“歯が痛くて自殺した男”の話が出てきたことがあります。あまりにも突飛な話ですから一方が他方の剽窃ということはないでしょう。小説家の心を駆り立てるそうした事実があった…

「拾遺」〜岩手いじめ自殺事件の違和感Ⅵ

いくつか書き遺したものがありますので拾っておきます。 1 なぜ担任は保護者との連携を取ろうとしなかったのか。 ひとつ考えられるのは、そのくらい事態を甘く見ていたということです。自殺はほのめかしていても訴えてくるいじめの内容は大したものではなく…

「事態の見積もり」②〜岩手いじめ自殺事件の違和感 Ⅴ

もしかしたら今後、村松君が数百万円の恐喝にあっていた、あるいは激しい暴力にさらされていたというような事実が出て来るかもしれません。しかし現在のところは「しつこく砂をかけられていたとか」「悪口を言われた」とか、あるいは「部活動の際、すれ違う…

「事態の見積もり」①〜岩手いじめ自殺事件の違和感 Ⅳ

村松君が最後まで信頼を寄せ感謝のことばを忘れなかった担任教師、おそらく彼女はすべき対応をしていた。にもかかわらず自殺を防げなかった――彼女は何を見誤ったのでしょう? ここから先は憶測でしかないのですが、私は事実の重大性の見積もりが違っていたの…

「素っ気ないノートはいかにしてつくられたか」②〜岩手いじめ自殺事件の違和感 Ⅲ

「ボクはほんとうにイヤになった。死のうと思います」 そのとき学級担任としてどんな返事をするのか――このとき最も愚かな対応はきちんとした返事を書こうとすることです。 私は文章を書くことが好きですし原稿用紙1〜2枚分の文章はほとんど苦にしません。…

「素っ気ないノートはいかにしてつくられたか」①〜岩手いじめ自殺事件の違和感 Ⅱ

「ボクがいつ消えるかはわかりません」に対して「明日からの研修たのしみましょうね」、「なぐられたり、けられたり、首しめられたり」に対して「それは大変、いつ?? 解決したの?」、こうした素っ気ないトボけた生活記録ノートはいかにしてつくられたか――…

「岩手いじめ自殺事件の違和感」①

世の中、ありえないようなことは実際には「ない」のが普通です。「現象には訳がある」のです。ありえないような事態に出会ったら、それを理解できる形に解きほぐさなくてはなりません。それがプロの仕事というものです。 岩手県でイジメ=自殺をうかがわせる…

「世界が日本になる」〜東京1位、京都1位

イギリスの「モノクル」という情報誌の世界住みやすさランキングで東京が1位になったというニュースがありました(6月13日 日経新聞)。 世界の都市ランキングというのは何種類もあって、東京は最も安全な町(治安)でも世界一なら、最も危険な町(自然…

「無法地帯に生きる」~国際的には世の中は無法地帯だ

中国と北朝鮮の趨勢に興味があると書きました。 どういうことかというと社会主義を標榜しながら貧富の差が極限まで開いてしまった中国、そして自国民の困苦にほとんど頓着せず、スキー場やら遊園地をつくる一方で原爆やミサイルを開発してきわどい外交チキン…

「ゲスの世界の終わり」~ゲスが好き、ポルノが好きと平気で言える時代

年を取って辛いことのひとつは“取り残され感”です。子どもや孫は次第に親を相手にしなくなり、親はやがて“必要のない人”になって行きます。 仕事上でつき合っていた人は職を辞すとともに一気にいなくなります。友だちと呼べる人や兄弟が、ひとりふたりと亡く…

「今、思うこと」~死ぬのはイヤではないが、少し注文がある

18年前に大病をして「これはダメかもしれない」と思ったとき、同時に感じたのは「死ぬのって案外、怖くないな」というものです。 間もなく88歳になる母はなどを見ていると、逆に長生きもそれほどいいものではないという気がしてきます。とにかく一日中や…

「世の中は完璧でなければならない、私のために」~依存心の塊みたいな人々

今回の東海道新幹線の事件に際してマスコミの一部は「崩れた安全神話」といった表題で報じています。そのあつかいに首を傾げる人も多いのではないでしょうか。 明確な悪意を持ってガソリン10リットルを持ち込んで放火する、そうした犯罪に対してもJRは対…

「情報のいい加減さについて」~東海道新幹線内の火災自死事件

東海道新幹線で大きな事件がありました。 被害者の方々にはお気の毒ですが、私は年齢的に近いこともあって71歳の容疑者の方に気持ちが動きます。同情と言う意味ではなく、この人の人生とその瞬間について興味があるのです。 歌手志望で東京に出てきて飲み…

「昭和の風景」⑦

「文明というのは自分で行っていたこと自分が背負っていたものを、他人や機会に代わってもらうことです。したがって文明人は必然的に幼児化する」 二十年以上前の講演会で聞いた話ですが、たしかにその通りだと思います。 時折、「学校ではもっと躾をしっか…

「昭和の風景」⑥

私はもちろん戦前の生活は知りませんが、“第二次世界大戦が終わって生活は一変した”というのは政治や社会制度の変化であって国民の意識自体はそう変わってはいなかったのではないかと思っています。 確かに軍国主義や国家主義は瞬く間に霧消しましたが、そん…

「昭和の風景」⑤

朝ご飯が終わって家族が仕事や幼稚園に行ってしまうと、母は洗濯に取り掛かりました。「桃太郎」に「お婆さんは川へ洗濯に・・・」という部分がありますが本当に川に洗濯に行くのです。洗濯物を小脇に挟んで「たらい」と洗濯板を持って堤防の向こうの河原に…

「昭和の風景」④

高度経済成長は私が生まれた翌年に始まり、高校を卒業して間もなく終了しました。前にも言った通り、ですから私はまさに“高度経済成長の子”です。他の人たちとは違う景色を見て育ってきたのです。 とにかく父のボーナスが出るたびに生活のガラッと変わる。全…

「昭和の風景」③

ケンちゃんは何でも知っていましたからさまざまなことを教えてもらいました。メンコの遊び方だとかコマ回しだとか、かくれんぼうでもカンけりでも何をやってもうまいのです。 小学生になるとケンちゃんはお父さんの自転車を引っ張り出して、それを乗りこなし…

「昭和の風景」②

私が生まれ育ったのは地方都市の郊外、一級河川の堤防下に作られた、市営住宅の一軒でした。 コンクリートブロックモルタル造りといい、ブロックを積み上げた建物にセメントを吹き付けただけの簡単なもので、二軒が繋がって一棟になっていていました。中は6…

「昭和の風景」①

私は1953年に生まれて1973年に二十歳になりました。この53年に生まれて73年に二十歳になったというのは非常に重い意味を持ちます。なぜならそれは日本の高度成長期にほぼ匹敵するからです。「日本経済が飛躍的に成長を遂げた時期は、1954年(昭…

「愛着障害研修会」~御礼

愛着障害に関するミニ講演会に主催者側として参加し、「お礼のあいさつ」というのをやらされてきたので紹介します。短い話です。 ◯◯先生、本日はたいへん貴重なお話をありがとうございました。学んだことと感想を簡単に述べさせていただき、お礼のあいさつと…

「子どもの人生の設計図」②

娘のシーナに描いた人生に設計図は何ひとつ達成されなかった、どこに間違いがあったのか、というお話をしました。 その原因をずいぶん長い間、高校入試の段階でシーナが意外に頑張ってしまったこと、そうした性格を見抜けなかったこと、そこにあるのだと思っ…

「子どもの人生の設計図」①

娘のシーナが生まれる以前、というよりは結婚するはるか以前から、私は女の子が生まれたら看護師にしようと思っていました。教員もいいですが、もっと直接的に人の役に立ち成果の見えるものをと考えたからです。幸い女の子に恵まれ、素直な子でしたので本人…

「子を持つ覚悟について」~どうせ、いわゆる健常児に生まれたって健全に育つわけではない

まだ職員文集(学校の先生たちが寄稿して毎年一冊の文集をつくる)というものがあった時代、私はその中にひとつ、とても気になる文章を見つけました。それは初めて子どもを持つ若い、男性の教師の出産体験記です。こんなことが書いてありました。「はじめて…

「男の子の育て方」③

二十歳の女の子と男の子を見比べると、これはどうしたって女性の勝ちです。 女の子はほぼ完成が見られ、良いにつけ悪しきにつけ手が入らない感じになります。ところが二十歳の男なんて、いくらでも手の入れがいがある感じです。と言うよりはまだまだ手を入れ…

「男の子の育て方」②

母は口うるさい人で、私は子どものころからあれこれ細かく世話を焼かれ、指示や指導を受けてきました。 大人になってもその様子は変わらなかったのですが私が40歳をだいぶ過ぎてから、ふと気がつくと何も言われなくなっていた、そう気づいたのです。 いつか…