カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「しておけばよかった」~青春に思いを遣る

 昔しんどかったこともあって若い時代に戻りたいとは思いませんし、自分の人生にそこそこ満足しているのでどこなの時点に戻ってやり直したいという気持ちがあるわけでもありません。しかし今度生まれ変わったら、と思うこともないわけではないのです。
 それは卒業したK高校ではではなく、隣の学区のS高校に進んでヨット部に入ればよかったとか、漁師を目指しても良かったなとか、あるいは現在が予測できたらウナギの研究などといったものも面白かったかな、といったことです。

 年を取るにつれて、自然に勉強させられたことの中にはかなり魅力的なものがいくつもありました。
 18歳の時には経済学など何が面白いのかと思っていましたが、40歳過ぎたころからしばらく取りつかれたように勉強しました。もちろん大したことはできなかったのですが、調べ始めると面白くてなぜ経済学部に進まなかったのかとほんとうに後悔しました。
 子どものころから心理学には興味がありましたが人の心を考える臨床心理より認識だの知覚だのに関わる認知心理学の方が面白かったかなとか、キリコやマグリットに夢中な時期もあったけど結局印象派かなとか、音楽も高校生くらいの時にプロコフィエフショスタコービッチとかにもっと触れておけばいろいろ違っていただろうにとか――。

 一方、自分はやはり仕事は向かないと不埒なことを考えることもあります。気が向いたら海に行って釣り糸を垂れ、釣れても釣れなくても半日そこで過ごす、そういう生活が実は向いているのではないか(そんなことが許されるならかなりの人がそうなってしまうのではないか――といったことはとりあえず頭に浮かびません)。だとしたら若いうちにもっと釣りの技術を磨いておけば人生はさらに豊かになっていたのかもしれません。

 スキーも下手なまま終わってしまいました。酒を極めるとかコーヒーの通になるといったこともせず、何でもおいしく飲食できる代わりに、食に何の薀蓄もない人間のまま終わりそうです。

 しかし今の私が最も後悔するのは、そうした私自身の後悔を反映した教育を、十分にして来なかったのではないかということです。
 社会科の教員でしたから経済の面白さをもっとも伝え易い立場にありました。だったら中学生の段階から、「将来は経済学部へ進もう」と決心するような子どもを大勢生み出すこともできたはずです。しかしそうはなりませんでした。
 釣りでもスキーでもヨットでもボートでも、やってみたいことには何でも挑戦し、しばらく熱中するような子どもをたくさん育てておけばよかったものを、それも十分できた気がしません。
 何かほんとうに中途半端だったなあと思いながら、自分の後半生をどう過ごして行こうか、ビールでも飲みながらじっくり考えていきたいと思います。

 ふと気がつけば世間は夏休み。私もお盆過ぎくらいまでブログを休んで、英気を養いたいと思います。