「金(ゴールド)の話」~なぜヒスイやダイヤモンドではなく、金が貨幣になったのか

 先日、実家に帰ったら母が「金が高いそうなので、これを売ってきて欲しい」と言われ、指輪やら金杯やらを少々渡されました。しかしその翌日新聞を見たら「金は値下がり」と書いてあったので、気持ちが躓いてしまいました。

 ところで、金の値段、今いくらだと思います?

 

 東京のある貴金属店のサイトで調べたら、金1gの昨日の買い取り価格は、4623円でした。最近一ヶ月で一番高かったのは8月23日の4878円ですから250円も下がったことになります。しかし一ヶ月前の7月29日は4202円でしたからまだまだ「売り」でしょう。

 

 とにかく最近の金の値上がりは尋常ではなく、どのくらいすごいかというと「天皇即位記念」の10万円金貨、そのまま使えば10万円ですが潰して(潰さなくてもいいかもしれません)売れば13万9710円にもなるというのです(「昭和天皇在位60周年記念」は金の含有量が少ないので10万円に満たない)。持っていたら迷うところですね。

 

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 もうひとつ具体的な話をすると、金地金(きんじがね)のインゴット、実際には5g、10gといったものもあるようですが、私たちがよく映像で見るのは1kgのもので、今売ると1本462万3千円ということになります。そんなことを思い浮かべると、映像の見方も変わってきます。

 

 金は歴史のかなり早い段階から、人類の手元にありました。鉄などとは違って精錬の必要がなく、そのままの形で地中から出てきたからです。その輝きには何とも言えない魅力がありましたし、柔らかく、延性や展性に優れていますから加工しやすかったのです(例えば1gの金は数平方メートルに広げられますし、金糸にして伸ばせば3kmにも伸びると言われています)。

 

 金が早くから通貨として用いられたのは、もちろん希少性が第一ですが、この柔らかく加工しやすいという性質にも拠っています。何しろ10万円分の金はちぎって等分にすればそれぞれ5万円の価値を持ちます。それを再び合わせてくっつければ10万円の金に戻ります。しかしダイヤモンドではそうはならないでしょう。大きなダイヤは二つに割れば価値は落ちますし、合わせて元に戻すことはできません。

 

 錆びない、腐らない、持ち運びに便利、そういった性質もあって、金は世界中で通貨として使われ続けました。

 

 以前にもお話ししましたが、有史以来人類が掘り出した金の総量は、オリンピックの50m公認プールで3杯分(14万〜15万トン)。今後掘り出し得る金の地下埋蔵量は6〜7万トン(オリンピックプールもう一杯分)です。そして都市鉱山に眠る金は4万3000トン。そのうち6800トン(世界の16%)が日本にあります。

 

 今後、都市鉱山の発掘(法制化された都市鉱山資源の回収)が始まります。使わなくなった携帯電話、デジカメ、電卓、充電器等、大切に取っておきましょう。売っていい値段になるわけではありませんが、貴重な日本の資源です。