「高畑淳子の憂鬱」~芸能人の値段」②

 芸能人の高すぎる収入と置かれている環境について書こうと思っていたら、とても興味深いニュースが入ってきました。“興味深い”は不謹慎ですが、他に言葉が見つからないのでそう書いておきますが、それは『高畑淳子さん長男逮捕「欲求が抑えきれなかった」』 という見出しで配信されたニュースです(毎日新聞)。

 記事によると
 前橋市内のホテルで女性従業員に暴行したとして、群馬県警は23日、俳優の高畑裕太容疑者(22)=東京都渋谷区大山町=を強姦(ごうかん)致傷容疑で逮捕した。
 容疑は、23日午前2時〜同25分ごろ、前橋市内のビジネスホテル客室内で、40代の女性従業員の手足を押さえつけて性的暴行を加え、右手首打撲などの軽傷を負わせたとしている。
とのことですが、裕太容疑者は映画撮影のためにそのホテルに泊まっており、事件のあおりを受けて撮影もストップ、テレビドラマのいくつかは裕太容疑者の出演場面に代役を立てて撮りなおし、再放送ドラマは中止、CMのいくつかは差し替えとかで、経済的損失は数千万円から一億円にもなりそうだということです。

 バラエティ番組のコメンテータはその自覚のなさに呆れかえり、周りの人々の気持ちに思いの行かない愚かさに腹を立て、人格者で努力家の母親のために心配をし不安にもなっています。
 高畑淳子は私も好きな女優さんですから気の毒で、しかしコメンテータとは違った意味でも、不安になったり思い迷ったりしています。

 高畑裕太は、先日このブログで取り上げた2012年4月のNHK土曜ドラマスペシャル〜あっこと僕らが生きた夏」でデビューした俳優で、昨年は朝の連ドラ「まれ」にも出演し、二世タレントとしては最も注目される一人でした。
 母親もこの子を売り出すのには非常に熱心で、トーク番組でも繰り返し息子について話題にし、「よろしくお願いします」と付け加えるのを忘れませんでした。けれど普通の母親がやるようにひたすら「お願いします」と頭を下げるのではなく、とても難しかった中学校時代の親子関係を語ったり親子そろっての変人ぶりを暴露したりして番組を盛り上げるとともに“こんな息子ですがどうかよろしく”と手の内を晒して他人に頼るふうも(今から思えば)あったような気がします。

 母親に言わせると、
「(裕太は)とても変わった子で、かなりすっとんきょう。将来どうするのかずっと心配でした」日刊スポーツ

「まれ」で共演した清水富美加は裕太がまったく苦手だったようで、母親の高畑淳子と共演したトーク番組の中でさえ、「リアルに共演NGです」と突き放し、「高畑くんは人との距離を測るメーターが壊れてますよね」「距離感が近い」と明け透けに言って高畑淳子をたじろがせたようです。(Daily suporys on line

 また母親の長年の友人である池畑慎之介(ピーター)は 、
 裕太容疑者が小学校4年生の頃、母親と一緒に舞台に出ていたピーターの楽屋を訪れ「ピーター、よかったよ」と、呼び捨てで肩をたたかれたエピソードを明かした。 (Daily suporys on line) と言います。

とても変わった子
人との距離を測るメーターが壊れてます
「ピーター、よかったよ」と、呼び捨てで肩をたたかれた

 こう並べた部分を見ると、教育の現場、特に小学校の現場で働く先生たちの中から、
「ああ、その子、私、知ってる」
と言い出す人がたくさん出てくるに違いありません。
 そうです。
 学校に来た業者さんなどの来客に何の脈絡もなくいきなり、
「おじさん面白い帽子かぶってるね、どこで買ったの?」 などと訊いて面食らわせる子。
 教室で作業中、ノリだとかマジックだとかが必要だと思うと人間がまったく見えなくなり、肩をぶつけながら友だちを押しのけて棚まで直進してしまう子、だから喧嘩の絶えない子、しょっちゅうあちこちにけがをしてくる子――。
 高畑裕太はそういう子です。

 トーク番組で繰り返し「息子をよろしく」と頼み、芸能界の仕事が増えたといって喜んだり心配したりする高畑淳子の姿も、そうした観点から見直すと別の姿が見えてきます。
 ほんとうに苦労したことでしょう。コメンテータの「甘やかしすぎましたかね?」はあまりにも気の毒です。

 裕太容疑者は日ごろから「自分は性欲が強い」と言っていたようですが普通の22歳はそんなものです。問題は「欲求が抑えきれなかった」――その衝動性です。
 だったら母親に何ができたのか。会社やマネージャはどうすればよかったのか。本人は?
 もちろん高畑裕太容疑者は今後被告として刑事罰を受け、芸能界には二度と戻れないという形で社会的制裁を受けます。それしかありませんし、それで構いません。
 けれど第二・第三の高畑淳子・裕太母子を出さないようにするにはどうしたらよいのか、それを考えるのは私たちの仕事です。

(この稿、続く)