カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「子どもの発見(ピンク・レディ革命)」~歌謡曲考③

「子どもの発見」はフランスの歴史家フィリップ・アリエスの造語で、18世紀までは「子ども」は存在せず、小さな大人としか意識されなかった、それが大人になるための学習期間が延びることによって《誕生》し、発見されるに至ったというものです。 日本でも…

「昭和歌謡の歌舞伎化」~歌謡曲考②

江戸期、歌舞伎は時代の最先端にいました。時間的なラグは大きいものの、「仮名手本忠臣蔵」も「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」も実際の事件に取材した再現ドラマの要素を持っています。ところが、明治に入って西洋の演劇が流入すると進歩を止…

「マドロスはなぜ愛しながら別れたのか」~歌謡曲考①

88歳の母が歌番組を見る関係で、私もしばしば歌謡曲を聞くことがあります。しかしこの世界、昭和生まれの私にもよくわからないところがあります。 つい先日聞いた曲は、『遠い異国の酒場で一人、男がグラスを傾けている すがりつく女を振り捨ててきたが、…

「息子の肩を、自分の肩で静かに押しながら、行き先を変える」~寄り添う③

できることは、息子さんの進む道をゆっくりと曲げていくことです。それしかありません。それが1度でも右に曲がったら心の中で大喜びに喜び(顔に出してはいけませんよ)、次の1度を目指します。次の1度ができたらまた次の1度を、とそんなことを30回繰…

「基本的には手遅れの、いま」~寄り添う②

だから以前にも申し上げた通り、すでに手遅れの面があるのです。今から問題を180度変化させることはできません。できるかもしれませんが、できないと思ってことを始めないと喜ぶべき小さな変化を見逃してしまいます。今はその“喜ぶべき小さな変化”を大切…

「目の前に広がる扇形の人生」~寄り添う①

若い頃は、自分ができるかどうかは別として、世の中、努力さえすればなんでも可能だと思っていました。ところが年齢を重ねるにしたがって、次第にそうではないことが分かってきました。 どんなに努力をしたところで私が100mを9秒9で走ることはないし、…

「別荘の民」〜運の強国④

1274年の11月と1281年の6月に暴風雨がなくても、モンゴル軍が北九州を制圧して瀬戸内海から東海道を経由し鎌倉まで攻め上がるとことはなかったはずです。なんといっても武士の時代で全国総武装、しかも百戦錬磨の戦士ばかり。一方敵はモンゴル軍…

「明治維新の絶妙」〜運の強国③

1853年ペリーが来航し「日米和親条約」(1854)「日米修好通商条約」(1858)と二つの重要な条約が締結されたあと、明治の維新史から突然アメリカが消えます。なぜあれほど熱心だったアメリカが消えてしまうのか、答えは簡単で南北戦争(1861-1865)が起…

「江戸の成熟」〜運の強国②

明治維新の1867年、立役者のうち古老の印象のある岩倉具視でさえ42歳、西郷隆盛が39歳ですからいかにこの革命が子どもっぽい人々によって行われたか想像がつきます。大久保利通37歳、木戸孝允34歳、板垣退助30歳、伊藤博文に至っては26歳で…

「幕末勤王の軽薄な人々」〜運の強国①

NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」がめっぽう不人気で視聴率も二ケタを割ったとかで話題というか問題になっています。しかしそもそも時代劇自体が不人気なのであって、視聴率を気にするなら民放が「水戸黄門」や「遠山の金さん」を諦めたときに一緒にやめてしま…

「葬儀の流儀」~地域によって異なる洋式に戸惑った話

結婚式というのは参列者にとって大枠においてほぼ同じで、男性の場合はダブルの礼服を着て行けばまず間違いありません(たぶん)。それがキリスト教式でも神式でも仏式でも(たぶん)。ところが通夜・葬儀はそういうわけにはいきません。特に通夜に何を着て…

「白鳥の歌」〜美しい死に際だった娘の恩人の話

だいぶ以前の話ですが、とてもお世話になった方が亡くなったのを知らずに半年もたってしまい、とても切なく残念な思いをしたことがあります。以来毎朝、新聞の死亡広告、いわゆるお悔やみ欄を必ず読むようにしています。 そのお悔やみ欄、先日の日曜日の朝、…

「真に賢い消費者たち」〜賢い教育消費者の話⑨

教育をサービス業と考えると当然そこに市場原理は働き、市場規範に従う人々が出てくる。教育サービスの受け手はいわば“消費者”だから、「より少ない支出でより高いサービスを目指す」という消費者心理によって彼らは動かされる。 PTA活動や家庭訪問と言っ…

「日本教の伝道師たち」〜賢い教育消費者の話⑧

文化は高い方から低い方に流れます。これは鉄則です。しかし部分的には逆流もします。日本について言えば「クール・ジャパン」で総称されるものがそれです。しかも文化は単独では出て行きません。たとえば“和食”が海外に出ていく時、外国の人々が触れるのは…

「日本の逆襲」〜賢い教育消費者の話⑦

私は若いころ、世界平和のためなら日本一国滅んでもかまわないと思うような極端なコスモポリタンでしたが、長じてかなり頑固な民族主義者となりました。かつて駐日大使を務めた詩人のポール・クローデルは「日本人は貧しい。しかし高貴だ。世界でただひとつ…

「アメリカに抗う」〜賢い教育消費者の話⑥

文化は高いところから低い方へ流れます。古代においてはナイル川河口から中流域・シナイ半島へ、ギリシャからオリエントへ、ローマからイスラエルエジプトへ、スペイン・ポルトガルから中南米・アフリカへ、そしてイギリス・フランスから全世界へ。19世紀…

「棄教」〜賢い教育消費者の話⑤

ネパールの被災地における避難民の態度が評判になっています。(『略奪・暴動みられず 日本と同じ「助け合いの精神」』 産経新聞5月5日) 食糧事情の悪化が懸念されているが、目立った暴動は起きていない。無人の商店街では略奪も見られず、テント暮らしの…

「世の中は変わっていく」〜賢い教育消費者の話④

かつての同僚に街の小さな本屋さんの娘さんがいて、とても親近感がわきました。というのはその書店は私が通った中学校のすぐ近くにあり、大昔、何度も訪れたことがあったからです。まだその同僚が生まれるずっと前のことです。本の選択が私の性に合っていて…