「日本の逆襲」〜賢い教育消費者の話⑦

 私は若いころ、世界平和のためなら日本一国滅んでもかまわないと思うような極端なコスモポリタンでしたが、長じてかなり頑固な民族主義者となりました。かつて駐日大使を務めた詩人のポール・クローデルは「日本人は貧しい。しかし高貴だ。世界でただひとつ、どうしても生き残ってほしい民族を挙げるとしたら、それは日本人だ」と発言したそうですが(昭和18年、パリ)、極端に言えば「日本という民族(国家ではない)を守るためなら世界が滅んでもかまわない」、そう考えるのが民族主義者の立場です。

 また私は極端な攘夷論者であって、文化的侵略に対抗するために下関に砲台を設置してもかまわないとさえ思っています(これは冗談)。
 過剰な英語教育と特別活動の縮小に反対するのはそのためで、アメリカを拡張して日本を縮小するようなやり方は納得ができません。いずれにしろ私は、この国の文化・伝統・民族性を守るためならたいていのことはしようと思う現代の吉田松陰です(ただし口先のみですから松陰というよりは竹陰か梅陰です)。と、冗談はさておき。

 私は長いことこんなふうに考えてきました。
 日本の文化・伝統・民族性(その中には当然、日本人の高い道徳性も含めます)は学校教育が支え、学校が守護神として守ってきたが、今、危機に瀕している。それを崩そうとしているのはアメリカン・グローバリズムに乗っかった政府と社会で、学校はやがてこれに屈服しなければならなくなる、ただしそのときは遅ければ遅いほどよい、と。
 ところが最近、違った思いにとらわれるようになってきたのです。それは「案外、私たちはうまくやれるのかもしれない」というものです。

 バイオリニストの葉加瀬太郎の夫人でタレントの高田万由子さんは1年の三分の二をイギリスで暮らす人ですが、お子さんを現地の学校に入れるに際してとても心配されたそうです。うまく溶け込めるか不安だったのです。しかしいざ入学してみるとそれはまったくの杞憂で、現在イギリスの学校では日本人だというだけでヒーローあつかいなのだそうです。現在、イギリスは空前のラーメンブームで次々と日本式ラーメン店が開業しています。
 フランスは言わずとしれた親日国で、盆栽や武道から現代のサブカルチャーまで、ジャポニズムは花盛りです。昨年のジャパンエキスポの入場者は24万人、今年の入場予想は24万5千人となっています。
 ニューヨークのラーメン人気はすでに報道されて久しくなりますが、最近ブルックリンには緑茶専門店が開業したそうです。緑茶の専門店など日本国内でも聞いたことがありません。
 そのアメリカと国交を回復しようとしているキューバは、地球の反対側の共産主義国なので日本の影響は極端に少ないと思っていたのですが、多くのコスプレーヤーが目を輝かせて日本に熱い視線を送っています。
「もったいない」や「おもてなし」はいまや国際語になりつつあります。

(この稿、続く)