カイト・カフェ

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「シーナ、三人目を授かる」~娘が無痛分娩で三人目の赤ん坊を産んだ話①

 娘が3人目の子を産んだ。
 最初の子は長時間の微細陣痛と新生児仮死、
 二人目は破水からの難産。
 それで三人目をよく決意したものだ。
 という話。
(写真:SuperT)

【シーナの出産】

 娘のシーナ(仮名)が三人目の子どもを生みました。男、男と続いて、今度は女の子です。3044g、母子ともに健やか。

 この「母子ともに健やか」という8文字、最初の出産のときも2度目の時も使うことはできませんでした。私にとっては孫にあたりますので、孫1号、孫2号、孫3号としておきますが、孫1号のハーヴは新生児仮死の状態で生まれ、ほぼ5分余り、心臓が動いていなかったのです。もちろん私は分娩室に入れませんからドアの前に立っていたのですが、タオルにくるまれた真っ赤な赤ン坊を抱いた看護師が出てきて、そのままそそくさとガラス張りの新生児室にはいり、保育器に入れるとたくさんの管やコードを付けるのを遠くから見ていました。ハーヴ誕生の顛末は、「いのちのこと」という題名で14回に分けてここにも書きました。

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 金曜日の夜10時から翌週の火曜日の午前10時まで、計84時間にも及ぶ微弱陣痛の末、促進剤を使ったあとの本格的な4時間の陣痛にも耐えて産んだ子の、心臓が動いていない――。のちにその時の気持ちを「怖かった」とシーナは振り返ります。嬉しかるべき初めての出産が「怖かった」ではかわいそうだな、とその時も思いました。もちろん生まれた子は可愛く、そのあと何年も、あれこれ“できること”と“できないこと”の差が大きくて心配させる子でしたが、なんとか間もなく10歳の誕生日です。

【第二の出産】

 二人目のイーツは4年後に生まれています。現代は晩婚化のために初産の年齢も高くなっているので、第二子を設けることは以前よりもずっと急がれるようになっています。2歳差~3歳差の姉妹兄弟が一般的で、昔のように4歳差というのは珍しい部類に入っているのです。シーナの場合は間に一度流産が入ったこともあり、また、もともと25歳の初産で余裕があったこともあって、4年後の第二子ということになりました。

 最初の出産が総計88時間という陣痛に苦しんだこともあって、二回目は無痛分娩の専門医を選び、静かにその時を待ちました。ところが予定日の一か月も前に破水。通院していた病院では対応できないということで、救急車を要請。あちこち探してもらった挙句、自宅よりかなり遠い病院に入ることになりました。

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 破水の場合は、通常1日~2日後に出産することになるようです。シーナの場合も二日後に陣痛が始まったのですが子宮口がなかなか開かず、二回目もたいへんでした。経産婦は安産と聞いていましたが結局12時間半、ようやく生まれた次男坊のイーツは体重がわずか2300g。感染症の疑もあってそのまま保育器へはいることになりました。シーナは4日で退院しましたが、イーツはさらに一週間も入院が続き、ミルク運び(自宅で搾った母乳を凍らせて運ぶ)等、病院が遠かったこともあってなかなか大変でした。
 シーナは切り替えの早い子なので「私にしては安産」と笑っていましたが内心、「お産はもういいや」と思ったのかもしれません。三人はほしいと言っていたのが、以来、こちらが水を向けても全く乗ってきません。もうその気はなくなってしまったようでした。

【予想外の三人目】

 シーナに三人目ができたと知ったのは去年11月のことでした。LINEを通しての会話の中で、
「いつお伝えしようか迷ったんだけど3人目の子供がお腹に出来ました。今回思いがけない形で妊娠がわかり、最初の数週間はすごく戸惑いましたが、今は仕事の調整など進めています。
まだ心拍確認(7週)できたくらいで全く安定しておらず、年齢のせいなのか、つわりが、ひたすら酷くて、三連休も、ほとんど横になっていました。無事に進んだらまたいろいろお世話になると思います、よろしくお願いします」

 もう一度赤ン坊の子育てに関われると思うと、私たち夫婦は天にも昇る心地でしたが、あれほどの苦しいお産を2度もしたシーナが、よくも受け入れたものです。おそらく予定外の妊娠でしょうが、その腹据わりには驚かされました。
 のちに”今の気持ちは?”と問うと。
「楽しみだよ」
 一番よい答えをもらった思いでした。楽しみに待たれる子は幸せです。
(この稿、続く)