NHK紅白歌合戦の出場者が発表されたが、
初出場歌手のひとりも知らない。
新語・流行語大賞の候補も、半分は分からない。
多様性の時代というのは、何も分からない時代なのだ。
という話。(写真:フォトAC)
【紅白歌合戦の出場歌手が決まる】
年末のNHK紅白歌合戦の出場歌手が決まりました*1。
<紅組>が、
aiko(15)、あいみょん(6)、ILLIT(初)、石川さゆり(47)、イルカ(2)、HY(3)、坂本冬美(36)、櫻坂46(4)、椎名林檎(9)、Superfly(8)、髙橋真梨子(6)、tuki.(初)、天童よしみ(29)、TWICE(5)、乃木坂46(10)、ME:I(初)、MISIA(9)、水森かおり(22)、緑黄色社会(3)、LE SSERAFIM(3)
<白組>は、
Omoinotake(初)、Creepy Nuts(初)、GLAY(4)、郷ひろみ(37)、こっちのけんと(初)、THE ALFEE(2)、JO1(3)、純烈(7)、Da-iCE(初)、TOMORROW X TOGETHER(初)、Number_i(初)、新浜レオン(初)、Vaundy(2)、BE:FIRST(3)、福山雅治(17)、藤井 風(3)、星野 源(10)、Mrs. GREEN APPLE(2)、南こうせつ(6)、三山ひろし(10)、山内惠介(10)
だそうです。(カッコ内は出場回数)
初出場の9人(グループ)は見事に一人も知りません。そもそも読めない名前がいくつかあって、個人名かグループ名かもわからないので「9人(グループ)」みたいな妙な表現になります。*2
ちなみに、昨年は出ていたのに今年は選ばれなかった歌手(グループ)は以下の通り。
<紅組>
新しい学校のリーダーズ、Ado、ano、伊藤蘭、JUJU、NiziU、Perfume、MISAMO、milet、YOASOBI、(ただしMISAMOは今年TWICEとして出場)
<白組>
エレファントカシマシ、大泉洋、Official髭男dism、キタニタツヤ、さだまさし、鈴木雅之、
すとぷり、Stray Kids、SEVENTEEN、10-FEET、藤井フミヤ、MAN WITH A MISSION、ゆず
韓国の5人組グループのNewJeansは昨年特別企画での出場だったために、今年、選ばれなくても落選あつかいにはならないようです。YOYAOBIの「アイドル」で共演した様子がとてもかわいかったので、韓流にはまったく興味のなかった私もこころ動きかけたのですが、不出場と聞いてがっかりです。しかしそのYOASOBIが落選したことは大きなガッカリで、芸能界の栄枯盛衰いかばかりと驚くばかりです。
*1:紅白歌合戦2024出場歌手一覧 初出場は tuki. ME:I Creepy Nuts こっちのけんと Da-iCE Number_i など10組 | NHK | 音楽
*2:一人ひとりの簡単なプロフィールを知りたい人のために、オリコンの記事を張っておきました。私は熱心に読みました。↓
紅白歌合戦2024 出演者を発表【一覧】 初出場歌手はNumber i、こっちのけんと、Creepy Nuts、ME:Iなど計10組『第75回NHK紅白歌合戦』 | ORICON NEWS
【多様性:紅白から消えても最前線にいる人たち】
NHKは今回、出場歌手の選考基準として、
① 今年の活躍
② 世論の支持
③ 番組の企画・演出
の三つを示してきました*3。
ネット情報ではYOASOBIは昨年以上に活躍しており、落選理由としてはユニットの一方、Ayaseのタトゥーが大幅に増えたためではないかと言われています。大昔、グループ・サウンズ全盛の時代、サラリーマン風の出で立ちのブルー・コメッツは出場させたのに髪の長いザ・スパイダーズを最後まで紅白に出さなかったNHKの面目躍如といったところでしょう。
YOASOBIはそれでいいとして、AdoやJUJU、NiziU、milet、エレファントカシマシやOfficial髭男dism*4の2024年はどうだったのでしょう?
私が子どものころは毎週、テレビで「歌謡ベストテン」を見てラジオで「ポップス・ベスト10」を聞けば国内外の音楽事情は間違いなく把握できたのに、最近は何が流行っていて何が廃れたのか、まったく分からなくなっています。どこに行けばそれが分かるのかも分かりません。
先ほどのAdoだのmiletだの、あるいはSEVENTEEN、10-FEETなども紅白で知った名前で紅白以外では見たことも聞いたことなく、今回、紅白からいなくなったことでやや影響力が薄れたのかなあと推察できる人たちです。しかしだからと言ってまったく人気がなくなったかというとたぶんそうではありません。
今も数万人規模のコンサートを何ステージもこなせる人がたくさんいるだろうし。伊藤蘭さんや鈴木雅之さん、藤井フミヤさんといった重鎮たちは、一席数万円もするディナーショーを何本でもこなせる人です。
さらに今日現在、何万人もの固定ファンを持ってコンサートも大盛況なのに、マスコミ的には無名という人たちもたくさんいます。昨年来私が夢中になっている「水曜日のカンパネラ」も「ちゃんみな」も、紅白には呼ばれませんが知る人ぞ知る人気アーティストです。その「知る人」の規模は、おそらく数十万人を軽く越えています。
考えてみたら「三山ひろし」だって「山内惠介」だって、私にとっては10年ほど前に紅白で初めて知った人でした。
多様性の時代、芸能界を広く俯瞰するなどといったことも、まったくできなくなっています。「多様性」とは、一部しか見えなくなるということだと、痛感することが多くなっています。
*3:選考について | 第75回NHK紅白歌合戦
*4:面倒くさいな、ここは若い人の真似をしてエレカシだの髭男だの言っておく方が楽だな
【新語・流行語大賞の方は・・・】
紅白初出場歌手についてはまったくわかりませんが、流行語大賞の方は少しマシです。
つい先日、大賞候補として30の言葉がノミネートされましたが、知っているものも少なくありません。
「アサイーボウル」「アザラシ幼稚園」「インバウン丼」「裏金問題」「界隈」「カスハラ」「コンビニ富士山」「侍タイムスリッパー」「初老ジャパン」「新紙幣」「新NISA」「ソフト老害」「トクリュウ」「南海トラフ地震臨時情報」「猫ミーム」「はいよろこんで」「8番出口」「はて?」「BeReal」「被団協」「50-50」「ふてほど」「Bling-Bang-Bang-Born」「ブレイキン」「ホワイト案件」「マイナ保険証一本化」「名言が残せなかった」「もうええでしょう」「やばい、かっこよすぎる俺」「令和の米騒動」*5
青く色のついている言葉が知っているもの、他が知らない言葉ですが、30個中17個、半数以上が分かるのですがから、よしとしましょう。
紅白同様、おそらくこちらも特殊な職業や特別な生活をしている人でないと「9割以上は答えられる」ということにはならないと思います。あちらを知っているとこちらの知識がおろそかになる、そういうことは往々にしてあるもので、私はなんとなく「もうええでしょう」を知っている人は「被団協」を知らないと思っています。情報の入り口が違うのです。
多様性の時代、広大な土地、しかし耕せるのは目の前の場所だけ――、そうなるともう、何が幸せなのか分からなくなってきます。最近では「不登校35万人」とか聞いても、何が問題なのかピンと来ないときがあります。
*5:ノミネートされた流行語・新語の詳しい説明を知りたい人はコチラへ。これも私は熱心に読みました↓
【30語を全解説】新語・流行語大賞2024「界隈」「カスハラ」「新NISA」「はて?」「BeReal」「マイナ保険証一本化」「もうええでしょう」などノミネート語発表 | マイナビニュース