カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

2007-01-01から1年間の記事一覧

「ヨハネとパウロはビートルズ!」~名前の不思議②

アメリカの人とキリスト教の話を始めたのに、ジョンだのポールだのとビートルズのメンバーの名前が出てくるので面食らったという人がいます。聖ヨハネは英語でジョン、制パウロは英語でポールというのだということを知らないと、話がかみ合わなくなります。 …

「PTA作業ごくろうさま」~その歴史と意外なできごと

PTA作業、ご苦労様でした。短時間でしたが、大人が大勢で取り掛かるとあっという間に学校全体がきれいになります。びっくりしました。 ここのところ臭いのすっかり少なくなったトイレも、いっそうさわやかになりました。日々の清掃をしっかりやって、維持…

「道徳教育の行方」~どのような可能性があるのか

かつて道徳の授業はひどいワンパターンの中にはまり込んだことがあります。 それは〔資料の読み取り〕→〔自己の行為の振り返り〕→〔自分自身を見返しながらの反省〕→〔授業の感想〕といったものです。それを口の悪い人たちは、〔文章読解〕→〔内省〕→〔懺悔…

「なぜ、『さん』をつけて呼ばなくてはならないのか」~美しい言葉遣いのために

人の名前の下に「さん」や「くん」をつけると、その後に醜い言葉をつけることは困難になります。ためしに、「山田さん」に「バカヤロー」つけてみればいいのです。「山田さんの、バカヤロー!」なんと間が抜けた、お茶目な言い方でしょう。「バカヤロー!」…

「なぜ中学校は3年なのだろう?」~小学1年生と6年生が同じ学校でいいのだろうか?

なぜ小学校が6年、中学校は3年なのだろう? 義務教育9年はたぶん予算から割り出した最大の年数だろうが、それにしても5・4制とか4・5制という割り振りのよいものにはできなかったのか? 長く調べて来ましたがよく分からないところです。 結局たどり着…

「中学校は大人になるための学校」~大村はまの言葉より

義務教育が9年間で、しかも小学校と中学校に分かれていることに疑問を持たない人が多すぎます。中学校がなくて小学校だけで9年間やれば、グランドも体育館も校舎もひとつ、校長も教頭も一人で済みます。校舎施設はもちろん、校長・教頭の給料だけを考えて…

「ロシア人の名前」~名前の不思議①

まだ私が小学生だったころ「大学生の愛読書 ベスト10」とかいうのが新聞にあって、その第一位がドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」でした。幼心にも私は、大学生になったらこれだけは読もうと決心しました(そして実際に、学生時代に2回読みました)…

「我慢できる子 がんばる子」~高い価値のために、より低い価値の何かを捨てる

大沢先生が、 徳川家康は倹約が大好きだったというエピソードを社会科の時間に学習したら、子どもが「倹約」という言葉を知らなかった、 といって嘆いておられました。 私もあきれましたが、考えてみればいかにもありそうな話です。「倹約しましょう」などと…

「仕事の旬」そのときにやらなければたぶん絶対にやらない仕事

仕事には「旬」と言うものがあります。そのときにやらなければたぶん絶対にやらない仕事、それが「旬な仕事」です。 昨日の朝、1年生教室前のトイレの、足拭きマットに躓いて転びそうになりました。周りを留めていたガムテープがすっかり擦り切れて、用を成…

「貧乏という教師」~現代にはほとんどいない

樋口一葉というひとはたいへんな貧乏をした人ですが、かなり気丈だったらしく、担保もないのに金貸しの家につかつかと上がり込んだことがあるようです。「オレの妾になるなら貸してやる」と言われて激昂し、憤然と席を蹴って帰って来たりしています。明治の…

「子どもにとっての内と外」~内外を隔てるドアの位置がまったく違う

まったく世間に疎く、昨日になって初めて、世の中にはかかと部分のないスニーカーという摩訶不思議なものが存在することを知りました。 どうせ普通の靴を履かせてもかかとを踏んづけてしまうのだからかかと部分なんかいらない・・・合理的といえばその通りで…

「リンゴ」~なぜ欧米人はこだわるのか

いろいろ調べてみたものの結局分からず、いつか答えに出会うに違いないと思って放りっぱなしにしているテーマがいくつかあります。そのひとつが「リンゴ」です。どなたかご存知の方がおられたら、教えてください。問題は、欧米では、なぜリンゴに特別な地位…

「ペルソナ(仮面)」~パーソナリティとはいくつもの仮面をもつこと

ペルソナ(Persona)は、芝居で使う仮面のことを言います。ラテン語で、原義は「人」。パーソナリティはこれを語源としています。つまり、パーソナリティ(個性・人柄)というのは「仮面」のことであり、生の、本音の自分のあり方ではありません。 およそ本…

「全国学力テスト」~成績が良くても叩かれる!

全国学力学習状況調査の結果が発表され、今日の新聞各紙の紙面を飾っています。これまでのマスコミの報道と違って、意外に成績の良いこと、43年以前と同じ問題で1%~40%も正答率が高かったこと、生活習慣も驚くほどしっかりしていることなどで、驚き…

「よい話をしよう」~年間20時間の道徳講話

一日中児童に張り付いている小学校の先生と違い、中学校の先生は担任するクラスの生徒と触れ合う時間が極端に少なくなっています。特に美術や音楽の先生など、週に1回しか授業がない教科の先生方は、じっくり生徒を観察する暇がありません。ところが、これ…

「美しさの学習」~美しい行いは体験によってしか身につかない

道徳には二つの側面があります。 ひとつは「人に迷惑をかけない」で、もうひとつが「それは美しいか」です。 前者についてはたいていの人が口にしますし、その行為が「迷惑をかける」かどうかは、多くの場合、ほとんどのケースで一致することができます。例…

「教えなければ身につかないものがある」~教育は意図的な営みだという話

紅葉のシーズンが近づいてきました。山々が黄や赤や茶に彩られます。観光客の入込みも多くなりますから交通にも気をつけなくてはなりません。学校の木々の落ち葉の始末も気になります。 ところで紅葉の山々の美しさを、子どもたちは本当に分かるのでしょうか…

「挨拶は早い者勝ち」~どうせやるなら度量を見せよう

以前にもお話しましたが、挨拶の言葉のほとんどは原義としては無意味です。 たとえば「おはよう」は、直接的には「(朝)早いですね」というだけで何の意味もありません。けれどその含むところは非常に大きく、言葉の中に「今日も一緒にがんばろう」とか「元…

「9歳・10歳の、壁の前の読み聞かせ」~たくさんの言葉を浴びせておくべき時期の話

先日、ひょんなことから1年生の児童に読み聞かせをしてあげることになり、本当に楽しい思いをしました。どんな場合であれ(相手が一人であれ多数であれ、自分の子であれ他人の子であれ)楽しくない読み聞かせというものはありません。 「9歳・10歳の壁」…

「体育会系の人々」~彼らはどうやって悪がきを止めたのか

1980年前後の荒れた学校を建て直したのは、「体育会系」と呼ばれる人たちが暴力で押さえ込んだからだ、と、一部の人たちは信じています。 三分の一くらいはあたっています。体力に自信のある、強面の連中が前面に出て事態を収拾したのは事実です。しかし…

「死んではいけない」~教師は死ぬのが仕事・・・ではない!

9日の朝日新聞に「夢見た教壇2カ月 彼女は命を絶った 23歳教諭の苦悩」という記事が載っていました。 東京新宿区の、各学年単級の学校に新卒教員として赴任してきた女性が、仕事に追われ、保護者の苦情に悩んだ末にわずか2ヶ月で自殺したという内容の記…

「総合的な学習のことを世間に説明する」~成果が見えないと非難されています

総合的な学習に冬の時代が訪れています。 総合的な学習の時間が悪いというわけではないのです。それによって削られた算数や国語の時間に対して「総合的な学習の時間」の成果があまりにも見えないではないか、というのが本旨です。社会はなかなか性急で、成果…

「遠足、ご苦労様でした」~キャラ弁にびっくり!

秋の遠足、ご苦労様でした。好天に恵まれ、なかなか歩きがいのある遠足でした。 今回、びっくりしたのはキャラ弁(キャラクター弁当)というものです。スヌーピーや真っ黒・クロスケのおにぎり、ピカチュウの炊き込みご飯やクマのハンバーグといったものです…

「今日は遠足」~子どもたちの頭を良くする日(かもしれない)

S小学校区のK地区の子どもたちはこぞって頭がいい、という話を聞いたことがあります。学校から遠いので、とにかくよく歩いている、地区の保育園などでは就学の日を目指して、散歩ばかりしている、それが頭のよくなる原因だと言うのです。真偽の程はわかりま…

「1964年」~かつての体育の日に思い出したこと

今日、10月10日はかつての体育の日、東京オリンピックの開会式のあった記念日です。晴れの特異日として知られています。 東京オリンピックの開かれた1964年を調べてみるといろいろのことが分かります。 この年、日本は経済協力開発機構(OECD)に初加盟…

「この国のかたちの基礎」~膨大な特別活動がつくりあげるこの国の人間

先日、ある人と話していたら、「日本の先生は、授業の時間は世界一少ないのに、雑用とかがたくさんあって本当に大変なんですよね」と言われてびっくりしました。 それで思い出したのですが、数ヶ月前、どこかの新聞に「日本の教科指導にかける時間は、先進国…

「研ぎ澄まされたもの」~美しい指導案はそれだけでいい。

私は、指導案というもの、そのものが非常に好きです。 特に研ぎ澄まされたようにぴんと筋の通った指導案は、その論理を読んでいるだけで美しいと思うときがあります。 そうした指導案に出会ったときは、たとえ授業がうまく行かなくても、私は絶対に応援しよ…

「道を知っていることと、歩くことは違う」~映画『マトリックス』より

「マトリックス」は私の最も好きな映画のひとつですが、その中で主人公の一人、モーフィアスの語るこの台詞には一定の力があります。それは、「道を知っていることと、歩くことは違う」 かけ算の仕組みを知っていることと、かけ算九九ができることは同じでは…

「良いところを誉めましょうと言うけれど」~誉めるところを見せてくれない子の誉め方

いいところが見つからないんです・・・といった相談を受けることがあります。 世の中にはやたら良い子で、「いいところ」をたくさん見せてくれるので親も教師も誉め易く、誉められるからまた良くなっていくようなとても運の良い子もいます。しかしその一方で…

「愛情貯金の話」~子どもとの、いざというときの関係悪化に備えて、積んでおくべき愛情

たった一言の不用意な言葉で傷ついた、不登校になった、自殺した、殺人事件に発展したといった話が次々と出てくると、怖くて話ができなくなります。一言ひと言、吟味しながら少しでも傷つけそうな言葉は回避して、当たり障りのないものだけを選ばなければな…