昨年、東京都の新任教員の、20人にひとりが1年以内に退職したという
教員ばかりでなく、社会のあちこちで若者が神経をすり減らし、
叩かれ、潰されている。
いったい何が起こっているのだろう。
という話。(写真:フォトAC)
【新任教員の20人にひとりが1年以内に退職した】
昨日付の朝日新聞デジタルに「東京都の新任教諭、4.9%が1年以内に離職 過去10年で最多」という記事がありました。
それによると昨年度に東京都が採用した新任教員のうち、169人が1年以内に退職しているのだそうです。割合にして4.9%。過去10年間で最多。ほとんどが自己都合による退職だったといいます――。
ここまでだったら、
「ああ、いきなりの担任、教育の最前線で、ほんとうにつらくて、気持ちが保てなかったのだろうな」
で済みますが、さらに先まで読んで、
「自己都合の159人を理由別でみると、約半数が病気で、多くが精神疾患だという。
という部分までくると、暗澹たる気持ちになります。
私にとっては孫にもあたろうという世代の若者たちが、大学を出てわずか一年足らずで心を病み、精神を破壊されて家に帰って行ったのです。親御さんたちはどんな気持ちで迎え入れたのでしょう、このあと子はどうやって生き、親は支え行くのでしょう。
【たくさんの若者が消えていく】
教員での話ではないし10年以上も前のことですが、友人の一人の息子は就職2年目でボロボロになって自宅に戻り、そこから10年も引き籠って一昨年ようやく、何かの勉強をすると東京に戻って行ったようです。微妙な話なので詳しく訊くことはありません。
昨年の伯母の葬儀の際に200kmの遠方から駆けつけた従弟は、一泊した翌日、逆さ正三角形の外周を回るようにまた200kmの道のりを走り、妻の妹の子、つまり甥の葬儀に向かいました。23歳の就職1年目でしたが、パワハラによる自殺だと聞かされたみたいです。
もはや親たちは子を卒業・就職させれば安心という訳には行かず、そこでどんな目に遭っているのかも気にして、引くときは早目に引かせなくてはなりません。東京都で1年以内の早期退職をした159人のおよそ半分は無事に逃げ切れて、残り半分は脱出に失敗したということでしょうか?
人によってはまだまだ不足というかもしれませんが、これだけコンプライアンスが行き届いて昭和に比べたらずっと優しくなっているはずの世の中で、いったい何が起こっているのでしょう?
(この稿、続く)