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「9歳・10歳の、壁の前の読み聞かせ」~たくさんの言葉を浴びせておくべき時期の話

 先日、ひょんなことから1年生の児童に読み聞かせをしてあげることになり、本当に楽しい思いをしました。どんな場合であれ(相手が一人であれ多数であれ、自分の子であれ他人の子であれ)楽しくない読み聞かせというものはありません。

 「9歳・10歳の壁」ということに最初に気づいたのは聾学校の教師たちでした。それは9歳・10歳を挟んで、それ以前から耳の不自由だった人と、それ以後に耳が不自由になった人との間には何かしら決定的な違いがあり、ことに抽象的な思考において差がある、という意味です。
 私たちの日常においても「9歳・10歳の壁」というのは、さまざまに意識されます。
 たとえば、小学校の1・2年生の絵には、いかにも児童画らしい輝きがありますが、5・6年生となると、もうこれは完全に大人の絵を志向しています。
 道徳観についても、1・2年生は完全に大人の道徳律に乗っかっていて「だって先生が(お母さんが)そう言ったんだモン」が正義です。しかし5・6年生は独自の道徳観を持ち始め、大人の道徳より仲間の意思を重要視したりします(ちなみに、その狭間にある3・4年生の道徳観は人生の中で最低最悪で、だからギャング・エイジなどと言われます)。

 さて、話を読み聞かせに戻しますが、だからこそ小学校の1・2年生くらいまでは、大量の読み聞かせをしなくてはならないのです。もちろん目で読めるようになることも大切ですから黙読の練習もしますが、この時期にこそ、大量の美しい言葉を耳に流し込み、言葉の抽象に慣れさせなくてはなりません。日本人である私たちは日本語でものを考えますから、日本語力の強さが、その子の情緒や頭の良さに直結してしまうからです。読み聞かせ、たくさんしてあげてくださいね。