今日、10月10日はかつての体育の日、東京オリンピックの開会式のあった記念日です。晴れの特異日として知られています。
東京オリンピックの開かれた1964年を調べてみるといろいろのことが分かります。
この年、日本は経済協力開発機構(OECD)に初加盟し、日本人の海外渡航も自由となって敗戦国からいかにも「普通の国」らくしなります。
オリンピックに合わせて東京モノレールと東海道新幹線が開通しますが、世界最高速の新幹線はその後長く世界一の座を占め続けます。
海外では- マルコムXがアフロアメリカン統一機構(OAAU)を結成。 パレスチナではPLOが結成されます。マーチン・ルーサー・キング牧師にノーベル賞が送られたのはオリンピック会期中の10月14日のことでした。
閉会式の翌日、所得倍増の池田隼人首相が退陣し、ソ連ではフルシチョフに代わってブレジネフが第一書記の座に着きます。
東京オリンピックでは、走る哲人アベベ・ビキラがオリンピック初のマラソン二連覇を果たしたほか、チェコのチャスラフスカ、男子百メートル走のボブ・ヘイズ、水泳のドーン・フレーザーといったキラ星のような人々が活躍しました。本当に魔女みたいに怖い顔だった女子バレーボールの「東洋の魔女」チームも、金メダルを取りました。最終日のマラソンで3位に入った円谷幸吉はその3年後自殺します。
競馬ではシンザンが史上2頭目の三冠馬となり、大相撲では年6場所のうち4場所で大鵬幸喜が優勝しました。この年のプロ野球セ・リーグは阪神タイガースが優勝しましたが、翌1965年からは読売ジャイアンツが破竹の9連覇を果たします。ON(王・長島)時代の幕開けです。
音楽ではビートルズが初の渡米を果たし、世界のビートルズとなります。日本で美空ひばりが「柔」を歌い、坂本九は「明日があるさ」をヒットさせ、それは今日ウルフルズの持ち歌となってリバイバルされています。
テレビでは初の大河ドラマ「赤穂浪士」が放映され「ひょっこりひょうたん島」がヒットします。映画でゴジラとモスラという二大怪獣が戦ったのもこの年ですし、オバケのQ太郎、ビックXもこの年始まっています。
すべての英雄が英雄らしく、すべてものごとがよい方向に進み、勉強さえすれば豊かな生活が保障され、がんばれば幸せになれると単純に信じられた時代です。やがてそれは裏切られるのですが、しかしその時々、結構私たちは幸せにがんばれたのです。
それに比べると、本当に今の子どもたちは・・・。
本当に気の毒な子たちです。