「議員報酬を減らして定数を増やせば、議員の女性比率は必然的に上がる(?)」~フィンランドの女性議員の話

 ウクライナ戦争の報道を見ていて、
 女性の取り上げられる場面が非常に多いことに驚かされる。
 大統領にも首相にも、大臣にも軍人にも、やたら女性が目立つ。
 どうしたら日本もあのようになれるのだろう。

という話。

(写真:フォトAC)


【アゾフ大隊の女性兵士と東欧・北欧の女性政治家たち】 

 ウクライナのアゾフスタリ製鉄所に立て籠もっていたアゾフ大隊1700名あまりが投降し、マウリポリは事実上、陥落したと言われています。その投降の様子を映す映像の中に、少なくとも2名の女性兵士がいて驚かされました。数十名の投降グループの中の2名ですから、実際にはもっと多くの女性兵士が、男たちに混じって2カ月半も戦っていたのでしょう。
 ロシアの下院議長は全員を犯罪者として裁判所に送ると言っていますが、通常の捕虜として扱われることを心から願っています。
 私はジェンダー平等に抵抗する者ではありませんが、こうしたことも“平等”の側面だということは心しておかなくてはなりません。

 ところで今回のウクライナ戦争を通して、ニュースの中にやたら女性の姿が見えることに私は驚いています。
 ウクライナの第一副首相が女性、モルドバの大統領が女性、スウェーデンの首相が女性、フィンランドの首相が女性。ロシアでは国営テレビで反戦を訴えた局員が女性、プーチン政権を財政面から支える中央銀行総裁が女性、上院議長が女性。

 もともとが社会主義国だったり社会主義的政策を取ってきた国々ですので、そのあたりから男女平等は行き届いていたと思うのですが、それにしても圧巻のフィンランドは、政府を支える五つの連立与党の党首が全員が女性、しかも政権発足当時は5人中4人が35歳以下、全員が美人というのには絶句しました(最後の“美人”は撤回します)。発足当時の閣僚19人中12人が女性だった(現在は11人)、議会議員の助成率も46%を上回るそうです。


フィンランドが女性議員を生み出す仕組み】

 なぜかくもフィンランドは女性の政治家が多いのか。
 あるテレビ番組(番組名は忘れてしまいました)では、
フィンランドは人口550万人と規模が小さいので、女性の手も借りないと国が動いて行かないのです」
と説明していましたが、何とも釈然としない話です。

 しかし選挙の様子を聞くと次第に分かってくることもあります。
「(議会の)規模感も小さいですからね。人口によって最低の議員数が決められているのですが、地方議会でいうと、一番議席数が多いのは、人口65万人のヘルシンキで85議席、都市の大きな自治体だと60人〜70人、中規模の都市だと40人〜50人の議員数で、最小議席数は13人です。中規模都市だと、大学の一クラスの人数とほぼ同じくらいですね」
ちなみに日本で議員数が最も少ない自治体は鳥取県の35人、最も多いのは東京都の124人だ。

seikeidenron.jp
 しかしこの部分は正しくありません。
 市のヘルシンキ都道府県である東京を比べるのはフェアではないでしょう。比べるべきは、例えば日本の最大の市である横浜市です。そこで調べると横浜市議会の議員定数は86、ヘルシンキの85とほぼ同じです。ただし人口はまったく違います。ヘルシンキの65万人に対して横浜は人口378万人、5・8倍もあるのです。逆に言えばヘルシンキ市議会には横浜の5・8倍もの議員がいることになります。

 同じように中規模の都市も調べたいのですが、日本の中規模都市というのはどう考えたらよいのでしょう。仕方ないので人口ランキングのほぼ中央にあたる埼玉県北本市(人口6・6万人)で議員定数を調べると20名。フィンランド中規模の都市だと40人〜50人の議員数の半分以下です。
 ちなみに日本で最も人口の少ない市は北海道の歌志内市(人口2900人ほど)で議員定数は8人、ファインランドの最小の13人よりかなり少なくなります。
 フィンランドの地方議会は規模感も小さいどころか、国中が議員だらけなのです。

 面白いことにフィンランドの国会は一院制で定数は200しかありません。日本は二院制で710ですからかなり多いと言えます。しかし日本の人口はフィンランドの23倍もあって、そうなると計算上、4600人もの国会議員がいてはじめてフィンランドと同等ということになります。
 なるほど、これでは女性の手も借りないと国が動いて行かないわけです。


【議員報酬を減らして定数を増やせば議員の女性割合は上がる!?】

 国じゅうが議員だらけですから当然、議員報酬も少なくなります。
フィンランドの地方政治においては、政治家はほとんどが兼業です。たいていは自分の仕事がほかにあって、自分たちの住んでいる地域をより良くしたいから政治に参加しているのです。政治家の報酬は高くありません。会議手当が主で、自治体の規模によっても額は違いますが、1回3千円〜3万円くらいまでで、決して大きな額ではありません」(前掲の記事)
 なんとなくPTAのノリです。だから女性が多くなるのかもしれません。もちろん他にさまざまな要因はあるかと思いますが、議員だけでは食っていけない、本業もがんばらねばということになれば一部の男性議員は辞めざるを得なくなります。そこで女性の助けが必要になる、ということはありそうです。

 日本の国会では議員定数を減らす話ばかりで、実際に平成の間に43人もの削減が行われています(衆議院-32、参議院-10)。しかし私のような田舎人からするとあまり減らされるのも困りものです。いっそ定数を減らす代わりに議員報酬を大幅に減らし、議員報酬だけでは生活できないようにしたらどうか、というのも一つの発想でしょう。
 議員の報酬が主婦のパート並みになれば、真に国政を思う人だけが立候補し、その中にかなりの数の女性が含まれることでしょう。おまけに歳出も抑えられるわけで、こんないいことはない。
 収入を減らせば汚職がはびこると言ったことは、別に考えればいいことです。