「天才はいかにしてつくられたか」〜そもそもつくれるのか?

 このブログ記事を書いている今の時点(7月2日夕)ではまだ終わっていないのですが、藤井聡太四段、果たして連勝記録を伸ばしたのでしょうか?

【振り返って】

 プロデビュー戦で、藤井四段が加藤一二三九段を破った時、
“ああ、落日と言うのはこういうものなのか”
といった一種の悲哀がありました。

 それはフォン・ノイマンーー世界初のコンピュータ(ENIAC)との計算勝負に勝ち「俺の次に頭の良い奴ができた」と喜んだ天才が、最期は脳腫瘍ため「小学校の計算もできない」と泣きながら死んだという逸話を思い出させるものでした。
 あの天才加藤一二三が14歳に負ける――!!

 しかし今を思えば、それは加藤九段に対しても藤井四段に対しても失礼なことでした。
「加藤九段が子どもに負けるほど弱くなった」のではなく、「とんでもない神童(なぜ今回はこの言葉が使われないのでしょう?)が現れて、『落日の王者』にとどめを刺した」だけの話なのです。

【天才の育ち方】

 さて藤井四段のすごさはメディアで繰り返されていますし、将棋は私の守備範囲ではありませんので直接的に話すことは何もないのですが、ニュースの端に出てきた、
 白星を重ねる快進撃の要因は、並外れた集中力だ。3歳で入園した地元の幼稚園が取り入れていたのは子どもの自主性を重んじる「モンテッソーリ教育」だった。米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏ら世界的な著名人も学んだことで知られる幼児教育に、「100年に1人」といわれる天才中学生の原点がある。
とか 、
 藤井が3歳から夢中になったのは画用紙を編んで作る「ハートバッグ」という袋。母裕子さん(47)は「毎日、何個も作ってくるんですよ。『聡ちゃん、きょうもこれだけ作ってきました!』。すごくうれしそうでした。100個くらいは持って帰ってきたと思います」と振り返る。
とか、
 4歳のときには立体迷路のスイスの木製おもちゃ「キュボロ」、5歳の夏からは将棋に夢中になった。
とか(記事はいずれも藤井四段の集中力育てた「モンテッソーリ教育」 - 社会 : 日刊スポーツ2017年6月27日から) には少し首を傾げます。

【ネットの喧騒】

 こういう話が出てきてネット上は、私たちが教員採用試験のころに必死になって覚えた「モンテッソーリ教育とは何ぞや」といった話から、「ハートバッグの作り方」とか、「キュボロ」に関する話とかが、百花繚乱といった感じになります。

「キュボロ」なんて基本セットが34,560円もするのに売り切れ状態で、今注文しても最短で2018年7月6日〜9日の間に届くというのです(2017年の間違いではなく2018年7月です。念のため)。

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 下の入門セット(25,920円)は少し早くて、それでも来年4月3日〜6日。

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*と書いて3日もたたないというのに、基本セットは一か月、入門セットは二か月遅れになっています(すごい!)

 もうそこまで待てない人のために、いっそ自作してみたら?という人まで出てきて(「知育おもちゃキュボロ(CUBORO)は手作りできるのか?藤井聡太四段の知育玩具」)、たいへんです。

【天才は幼児教育の成果か?】

 ところで振り返ってさしあたり問題になるのは、日刊スポーツの記事、
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏ら世界的な著名人も学んだことで知られる幼児教育に、「100年に1人」といわれる天才中学生の原点がある
です。
 ホントか?

 ビル・ゲイツマーク・ザッカーバーグがやったのはほんとうだとしても、それが天才中学生の原点かどうかなんて、分からないじゃないでしょ。

 もしかしたら
ビル・ゲイツや藤井四段のような天才はモンテッソーリ教育があっていて、『ハートバッグ』や『キュボロ』が大好き」
というそれだけのことなのかもしれません。
――というより(書きながら思ったのですが)論理と集中力のお化けみたいな天才たちの前に、「お砂場セット」と「キュボロ」の両方を置いたら、絶対に後者を取ると思うのですが、そう思いません?

 ハートバッグやキュボロのおかげで論理性や集中力がついたのではなく、生まれつき高い論理性や集中力があったから夢中になって取り組んだ、それだけのこと、その方がよほど分かりやすい気がするのです。こういう子たちには自主性を重んじる「モンテッソーリ教育」もあっているのです(普通の子はそうでもないけど)。

 ちなみに私の孫のハーブは最近2歳の誕生日を迎えました。
 まだ先のことですが、今から注文しておかなければ間に合わないかもしれないので、「来年の誕生日、今からキュボロ注文しとくか?」と娘のシーナに訊くと、速攻返事が返ってきました。
「キュボロより、ストラーダーがクリスマスに欲しい」

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 それでいいと私も思います。

 

※藤井四段、負けてしまいました。(3日朝、追記)

 連勝記録は素晴らしいが、大人の社会が子どもに滅多斬りされ続けるのはやはりまずい、そんなふうにも思っていたので、29連勝での停止は程よいところという印象を持っています(32連勝くらいでもよかったかな?)。
 ただし今まで一度も言及しなかった私が、初めて扱った日に負けることはないじゃないか、と思ったりもします。
 文章がすっかりつまらなくなってしまいましたし、「キュボロ」の検索で偶然ここに来てくれるひとも減るじゃないかーーと。
 どうでもいいことですが。
(ハハ)