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「演技・歌唱力ハラスメント」~水曜日のカンパネラの詩羽をどう扱うか①

 いまや中途半端な容姿・演技力・歌唱力では、芸能界に生きる場がない。
 圧倒的な外見でアイドルを目指すか、並外れた実力をもって切り込むだけだ。
 「水曜日のカンパネラ」の詩羽、
 私はこの子に興味がある。
 という話。(写真:フォトAC

【演技・歌唱力ハラスメント】

 将棋の世界で、対局終了後、すべての局面あるいは一部の局面を再現して着手の善し悪しや最善手を検討し合うことを「感想戦」と言います。私はよく知らないのですが、この感想戦でも藤井聡太竜王・名人は抜群で、すべての読みで圧倒して対局相手の心を折ってしまうことがあるのだそうです。佐藤天彦九段は尊敬を込めてこのことを「感想戦ハラスメント」と表現しました。藤井竜王・名人は意識していないと思いますが、感想戦でも圧倒しておくことが、次の対局で自分に有利に働きます。

 さてその話を前提として、私は「演技・歌唱力ハラスメント」というものも世の中にはあると、最近、思うようになっています。圧倒的な演技力や歌唱力で中途半端な役者や歌手、あるいは素人の志望者の意欲を最初から挫いてしまうといった例です。

 私が子どものころは様子が違っていました。
 ちょうどグループ・サウンズが下火になってフォーク・ソングが流行り始めたころです。エレキ・ギターは使いこなせなくてもアコースティック・ギターなら何とかなりそうだ。顔だちもその辺の兄ちゃん程度で可、歌は――こちらの方は浅田美代子さんや天地真理さんに代表されるように、まったく下手でも誰も苦にしない、だからオレでも何とかなりそうだと、みんなが勘違いした時代です。
 
 ところが1990年あたりからずいぶん感じが変わってきて、平成10年(1998年)前後のいわゆる「就職超氷河期」まで進むと、運と容姿に恵まれてアイドルとしての既定路線に乗るか、そうでなければ圧倒的な歌唱力や演技力で芸能界に切り込んでいくしかないという時代になってきたのです。ひと昔前ならサラリーマンを選んだ人たちが、就職できずに敢えて芸能界に挑戦し始めた、そういうこともあったのかもしれません。
 
 学校の進路指導の場でも、昭和の間じゅうは勘違いした子どもたちが、「歌手になるためにギター専門学校に行きたい(やったことはないけれど)」とか言い出して担任を困惑させることもありましたが、平成中半以降はそうした勘違いも少なくなりました。
 
「その顔でジャニーズ事務所に売り込みに行くわけ?」
板野友美と勝負するんだア」
安室奈美恵宇多田ヒカル、MISIAと勝負するってこと?」
久保田利伸玉置浩二小田和正、そしてオマエ・・・エッ?」
と、わざわざ教師が傷つけるまでもなく、子どもたちは無謀な夢を持たなくなりました。私たちのような勘違い世代とは違うのです。
 《歌がダメなら俳優》と魔のさす子どもがいても、5歳であの演技をしていた芦田愛菜ちゃんや鈴木福君たちがライバルだと言えば黙って引き下がります。

【「水曜日のカンパネラ」の詩羽】

 演技や歌唱の天才たちは、今や巷にひしめいています。
 しばらく前に紹介した今年の夏ドラマ、日本テレビ「最高の教師~1年後、私は生徒に■された」は、学園ものですから高校生を演じられる若手俳優が何十人も出てきます。その一人ひとりに、将来のスーパースターの可能性があります。
 学園ドラマは基本的に敬して遠ざける私ですが、4年前の「3年A組-今から皆さんは、人質です―」に有望な若手が大量に投入されていたことを考えると、ひとまず見ておかなければならない気になります。ドラマとしてもなかなか面白い作品でもあります。
 
 さて、そんなスーパースター候補の一人が、先週の回(第5回「拝啓、変わり者と呼ばれる貴方へ」)で中心的役割を演じていました。詩羽(うたは)という名の女優さんで、Wikipediaによると「アーティスト、ファッションモデル、歌手。音楽ユニット・水曜日のカンパネラのボーカルメンバー」という肩書を持っているようです。
 その見かけによらぬ演技力にも舌を巻きますが、Youtubeで拾った歌の面白さにも魅かれます。
 
 そう言えば以前、「新しい学校のリーダーズ」ついて調べていた時、「新しい学校~」が「2023年上半期、ブレイクしそうなアーティスト」の6位に入っていたのに対し、「水曜日のカンパネラ」が1位か2位に入っていて、気にはしていたのです。
 今はかなり気に入っています。
(この稿、続く)