カイト・カフェ

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「段取り八分、仕事二分、備えがないから憂いばかり」~うまくいかなかった(だからこそ勉強になった)大阪物語②

 大阪三日目は、歴史博物館と大阪城の見学
 それも泥縄な計画でバタバタしどおし。
 乗るべき路線を間違える、地下鉄出口で引っかかる、
 予約がないので城にも入れない、しかし秘策があった、
という話。(写真:SuperT)

【さて、どこへ行こうか?】

 大阪三日目、万博見物の翌日、シーナの一家は夫エージュの弟夫婦のマンションを訪ね、私の妻は西明石に古い友だちを訪問。残された私は――これといった目的はなかったのですが、しばらく前から岡本太郎の「太陽の塔」の、内部も見られたらな、などと漠然と思っていました。そこで8月の末にサイトで調べると、なんと太陽の塔の内部見学には予約が必要で、週日はまだしも、土日はすでに満杯になっていたのです(ふべほど=不勉強にもほどがある)。

 では他には、となると、ハルカス300や梅田スカイビルのような高いところに興味はなく、道頓堀や通天閣は経験済み。住吉大社四天王寺には興味はあるものの、暑さを考えるとやはり大阪城大阪歴史博物館(以下“歴博”)かなと、そんなふうに思いました。大阪城は鉄筋コンクリート歴博に歴史的遺物・文化財は少なく模型が中心だと分かっていましたが、灼熱の本物と冷涼の偽物を比べて後者が勝ったという感じです。大阪城天守閣で、秀吉の見た風景を自分も眺めてみたいという気持ちもありました。
 見学箇所は歴博大阪城の二か所のみ。ホテル出発は9時。新大阪駅集合が14時(ゆるい約束)。ですから昼食を含めてもまったくの余裕です――ところが、それがそうならないのが私の旅です。

【ずるずると遅れる時間】

 私以外は9時半の出発を予定していて、それに私も流される。いざ出発してもベビーカーの関係でエレベーターを探して遠回りをするシーナたちに付き合い、地下まで下りたらそこから私の使う路線には行けないことが分かってまた地上へ。重いスーツケースを引きずりながら10分かけて行った場所から10分かけて戻り、地下に降りてコインロッカーを探すも空きはなし。

 午前8時を過ぎるとまず空いていないというのは調査済みなので敢えてそれ以上は探さず、ネット情報にあったクロネコヤマト臨時手荷物預かり所を探してその列につきます。待つこと十数分。その段階でもう予定より1時間近く遅れています。

 ようやく呼ばれて係員のところまで行き、1,000円払ってスーツケースを預け、だいぶ時間が過ぎたので焦って歩くのですが御堂筋線のホームは遠く、ようやく着くとホームの両側に電車がいるので、近くの駅員に、
大阪城に行くにはどちらに乗るの?」
と訊ねると、
大阪城はここじゃなくて中央線。ここをまっすぐ行ったところにホームがあって、1番線から乗って2駅だよ」
と、いま私が歩いてきた方向を指さします。
 あれ?
 経路はスマホのメモに書いてあるので歩きながら見ると、確かに向かうべきは中央線。歴博大阪城を見学したあとで戻ってスーツケースを回収し、それから新大阪駅に向かう路線が御堂筋線でした。どうして間違えたのだろう? ここでにまた15分ロス。
 自分のミスに苛々しながらも、しかし頭の隅では別のことも考えています。
「今、電車が見えたけど、オレ、いつ改札を抜けたんだ?」

【改札を抜けた記憶がない以上、記録もない】

 答えはすぐにわかります。歴博のある谷町四丁目駅の出札で引っかかったのです。聞けばSuicaに入場記録がないとのこと。確かに入った記憶もない。仕方ないので乗車駅を申告して入場記録をつけてもらい、なんとか場外へ出ることができました。
 それにしても、オレ、どうやって構内に入ったのだろう?
 そこから地上に出ようとしてチラッと目に入ってきたのがコインロッカー。そうだ、ここまで持ってくれば400円で済んだじゃないか。さらに地上に出て目の前にあった歴博の一階にもロッカールームの表示。おそらくここは無料(100円を入れて、あとで100円を回収できるヤツ)。ちょっと頭を使って考え、ちょっと力を絞ってスーツケースを運んで来ればよかっただけなのにと、なにかひどくがっかりしました。
(もっとも帰り道で調べたら、歴博のロッカーは小さすぎてスーツケースは入らず、谷町4丁目駅のロッカーは大型がすべて埋まっていましたから、結果的に初めの選択は誤っていなかったことになります)

歴博から大阪城へ:予約はその場でしろ】

 入場料600円の歴博は思った通りのレベル。悪くはないがよくもない。意外だったのは大河ドラマなどを通じて、私自身が大阪についてけっこう詳しかったこと。知識を確認するだけの場面もかなりありました。視覚優位の展示で模型も多く、30秒ほどのビデオ十数本で、明治・大正・昭和期の動く姿を見ることができたのはけっこう楽しい体験でした。

 軽く45分ほど見学して次は大阪城。さすが天下の名城、堀をひとつ渡ってからも天守閣までが遠いこと、遠いこと。最も暑い時間帯をかなり歩いて天守閣下に辿り着くと、そこには長い人の列。表示は「現在45分待ち」。おいおい、ふべほど(=不勉強にもほどがある)。太陽の塔が予約制だと知ったとき、なぜ大阪城を怪しまなかったのか? 担当のオッちゃんたちはこんなふうに言っています。
「ただいま45分待ち。入場券を買われる方はこちら。QRコードを持っている方はこっちへ」

 長い列の横を、スマホQRコードを示して入る人たちはどんどん先へ行ってしまう。時刻はすでに12時近く。昼食と移動に1時間をかけるとして、使える時間は1時間あまり。とても45分の待ち時間には耐えられません。
 木陰を探してベンチに座り、ほかに見物できる場所を探し始めて15分ほど、スマホでネットを探索するうちに、オッちゃんの気になる声が聞こえてきます。
「待ち時間は45分。急ぐ人はスマホ大阪城にアクセスして、そこで支払いをしてQRコードを取れば早いよ」
――をい!
 直接声をかけて、もう一度内容を確認して大阪城のサイト*1にアクセスし、クレジットカード番号を入れるのに手間取ったものの5分ほどでQRコードを手に入れ、それを示すと大阪城内への道のりはあっという間でした。ここでムダにした計20分ほどは何だったのだろう。

【さてフィニッシュ】

 エレベータで5階まで一気に上がり、そこからは階段を上って展望階へ。廻縁(まわりえん)をバシャバシャと写真を撮りながら速足で一周すると、そのまま下り階段を一気に駆け下ります。各階に展示物もありますが、ざっと見ただけでも目新しいものはないようです。そのまま1階まで下りて天守脱出。
 一気呵成に谷町四丁目駅まで歩いて地下鉄で元の駅に戻り、昼食は「迷ったら豚バラ丼」の看板を見たので豚バラ丼。
 旅行のゴールは目の前です。
 (この稿、続く)

*1:*webチケットは大阪城サイト・ホームページの下の方