カイト・カフェ

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「ショートスリーパー、ナポレオンと私」~あまり眠らない人たちの話

 極端に睡眠時間の少なくて済む人たちがいる。
 私も短くて済むが、そのおかげで何かを成し遂げたわけでもない。
 ナポレオンは有名なショートスリーパーだが細かく寝ていた。
 私もいまでも、しばしば気絶するように短時間眠っている。
という話。(写真:フォトAC)

ショートスリーパーロングスリーパー

 ショートスリーパーロングスリーパーという言葉を覚えました。新しい言葉なのか《いまさら》といったレベルの話なのかは分かりません。日常的に6時間以下の睡眠で何の問題もなく過ごせる人と、10時間以上眠らないとなにかと不都合のある人たちのことを言うようです。
 その差は4時間。毎日の活動時間がロングスリーパーは4時間も短いわけで、人生80年で計算すると116,800時間、およそ13年も違います。
 そこでロングスリーパーは67歳で死んだも同じ、ショートスリーパーは残る13年間でもうひと仕事なしとげているのかもしれない、そんなふうに考えると由々しき問題だということになってきます。ショートスリーパーが羨ましがられる所以です。
 
 ただしうららかな春の日、もうずいぶん高くなった太陽に邪魔されながら、いつまでもうとうととしているロングスリーパーの表情を見ると、もしかしたら幸せはこちらの方にあるのかもしれないと思ったりもします。私自身は睡眠時間の少ない人間ですから、そんな幸せからはずいぶん遠いのです。

【私の場合】

 子どものころは人並みに睡眠をとり、しかも寝坊でした。早起きを始めたのは教員になってからで、一日疲れ果てて仕事にもならず、とりあえず眠って午前3時~4時に起きて何とか間に合わせるということが続き、結婚して子どもができてからは、持ち帰り仕事はほったらかしで子どもを寝かせつけ、そのまま一緒に眠って午前3時ごろ目を覚まし、そこから仕事をするという日々が続きました。そのあたりから目覚めがよくなって睡眠時間が減ったままでよくなりました。

 今は夜10時20分に寝て、朝は4時20分に起きるというのが私の基本的な形です。6時間は眠ろうという計算です。それぞれ正時にプラス20分という切りの悪さは、火曜日から土曜日まで、午前4時20分から始まるNHK「国際報道2023」の再放送を見たいからです。しかし前の晩に夜10時から始まるテレビ番組を最後まで見ていたりすると睡眠時間は40分も減ってしまいますし、もっと頻度の多いのは予定時刻よりさらに早起きしてしまい、睡眠時間を減らすという場合です。おそらく週に3日は午前2時、午前3時といった時刻に目を覚まし、布団の中で悶々としています。
 2度寝できることもあり、その方が調子のいいような気もして寝ようと頑張るのですが、30分あまりかけて無理なら仕方ないので起き出します。それでも心配したほどの不都合はありませんから本当は睡眠時間4~5時間でもやっていけるのかもしれません。
 
 ただしその程度のショートスリーパーなら世の中にはいくらでもいそうですし、私のように、眠りもせず、大した業績も残せなかった者としては、羨ましがられても困惑するだけです。ほんとうにショートスリーパーって、そんなに価値あるものなのでしょうか?

【ナポレオンの場合は】

 そう思ってさらに調べていくと、べつなところに、
ショートスリーパーというのは睡眠時間が3~4時間で過ごして健康上何の問題もない人たちで、日本人では1%ほど存在する」
とあり、これだと私も外れますし、《ちょっと凄いな》という気もしてきます。
 さらに(日本人では1%と書きながら外国人の名前が出てくるのは納得できませんが)ナポレオンは3時間、エジソンの睡眠時間は4時間と聞くと羨ましくもなくなり、アインシュタインは10時間以上眠らなくてはダメだったなどと訊くと「やっぱり眠った方が幸せだよな」などと激しく揺さぶられたりもします。
 
 そのナポレオンの3時間睡眠も少々マユツバで、まとまった睡眠は3時間しかとらなかったものの短時間の睡眠は繰り返し数多くとっており、馬車の中はもちろん、馬上にあってもウタタ寝していたといいますから才能はむしろ「いつでも、どこでも、すぐに寝て、すぐに起きられる」という方にあったのかもしれません。
 ナポレオンについては、こんな逸話も残っています。
 ある時、必要があって起こさざるをえなくなり、肩を叩くのはもちろん声をかけるのもはばかられて、部下は皇帝の鼻先にチーズを近づけることで起こそうとします。その強烈な匂いで目を覚ますと思ったのです。するとナポレオンは眠りながら顔の前で手を振って、こう言います。
「ジョセフィーヌ、いまはダメじゃ」
――有名な艶笑小話です。

【繰り返し、水泳選手に襲われて・・・】

 私も睡眠時間の少ない分、一日に何回も気絶したりしています。
 現職の学級担任として子どもたちの前にいるときは良かったのですが、管理職となって午後の時間を静かになった職員室で過ごしていると、突然の睡魔に襲われて、机に額を激しく激突させたりします。
 するとあまりの大きな音に事務の先生が駆けつけてきて、
「どうしました! 大丈夫ですか!?」
 私はボーッとしたまま、
「あ、水泳選手に襲われていたようで(水泳選手=スイマー=睡魔の意味)・・・」
とごまかしますが、本当はずいぶん恥ずかしい思いをしているのです。

 私もナポレオンと同じように細かに睡眠をとっている、という話をしようとしました。しかし考えてみればショートスリーパーに限らず、たらふく食べた後では眠くなるのは当然ですよね。