「最近、テレビを見すぎている話」

 ずっといじめや暴力のことを考えていたらすっかり気が重くなってしまったので、しばらく、目先を変えて書きます。

 さて、
 妻のかつての教え子で年単位の長期入院をしている女の子がいます。女の子と言ってもも二十歳を過ぎていて、病院生活も4年目になります。その子の妹が、かつて私の勤務していた学校に在籍していたこともあって、私にとってもまったくの無関係というわけではありません。

 寝たきりなのでテレビと本くらいしか楽しみがないのですが、そのテレビも院内では遠慮があって9時以降は見ることができません。そこでこの1年余り、彼女の好きな番組を私が録画して、DVDに焼き直して届けるという仕事をしています。届けるのは週に一度ですが録画の方は毎日2〜3本。けっこう時間がかかります。相手がブルーレイではなくDVDなので1倍速でしか書き込みができないのと、より良い画質をと考えていちいちコマーシャルをカットしているからです。

 それにただ単純に仕事をすればよいものを、途中、コマーシャル部分を確認しながら作業をしているとついつい中身を見てしまう。そのうち気になるものは最初から最後まで見てしまう、そんなこんなでかなりの時間を番組視聴で費やして、それが私の時間をさらに奪っていきます。現職時代はニュース以外ほとんどテレビを見なかった私が、テレビ漬け(というほどでもないか)なのです。

 それにしても昔も今も、テレビの世界は相変わらず玉石混交です。昔もくだらない番組は多かったのですが、今も相当にひどいものです。喫煙場面と性表現が減ったという意味では現代の方がマシですが。
 例えばNHKテレビの「デザイナーベビー」。はじめは結構期待していたのに、一人の赤ちゃんを誘拐犯から別の人間が誘拐し、誘拐犯から誘拐犯へと計4人もにリレーされるのはやはりマズイでしょ、と私などは思います。新生児の誘拐なんて現実には10年に一遍だって起きたりしないのですから。
 予算も時間も潤沢なはずのNHKでさえこうなのですから、民放はさらに雑で「サイレーン」などという刑事ドラマでは、主人公が恋人の友人(女友だち)を、超危険人物として追っているのに一切そのことを彼女に知らせない。恋人が一般人で守秘義務があるというならまだしも、同じ事件を追っている警察官なのです。普通の職務としての情報交換も必要なはずなのに、ひとりで(すぐにばれる変装を繰り返して)女の尾行を続けているという体たらくなのです。
 こんな間抜けが敏腕刑事として描かれるようでは、本物の警察がバカにされても仕方ないなとふと同情したくもなります。
 ただしそれが「掟上今日子の備忘録」くらいに荒唐無稽となるとむしろ安心です。ここまで現実感がなくなると、警察が混同され誤解される危険もないからです。

 それはちょうど、「ごくせん」「GTO」が荒唐無稽で学校に無害だったのに対し、「3年B組金八先生」が中途半端にリアルで、現実の教師が迷惑したのに似ています。なにしろ私などは、「金八先生にできることが、なぜアンタにできないのだ」と怒鳴られたことさえあったのですから(正確に言うと、「武田鉄矢さんでもできることが〜」でしたが)。

 そういえば先日、「しくじり先生」という番組で、元子役の内山信二が生意気時代の話をしていて、
「担任の先生にボーナスいくらだった?と聞いたら『200万』だって。あ、それってオレの消費税分じゃないかって――」
などと言っていました。自らの生意気ぶりを誇張していったものでしょうが、それにしても教員のボーナスまで誇張することはないでしょう。

 話半分として100万円。年間の総額だってこんなものです。ましてや1回のボーナスで200万円となれば私立の理事長の娘が裏金でもらえるボーナスとしか思えません。内山君の例がそういうレアケースでであることを祈るばかりです。