「銃の値段」

 

 先週の金曜日にケニアの大学で150名近い学生が銃撃のために殺害されました。犯人グループはアルシャバーブというイスラム過激組織ですが、これは一昨年、ナイロビのショッピングモールで250人近の死傷者を出したグループと同じ組織です。

 マスコミは盛んに、こうした残虐行為はイスラム教本来のものではないと言いますが、アルカイダやIS、ボボハラムといったイスラム原理主義を標榜する戦闘組織がこぞって残虐な行為を重ねていく以上、その教義に「目的のためには手段を択ばない」とか「異教徒の民族浄化」といった考え方があるのではないかと疑いたくもなります。

 私はイスラム教のことをほとんど勉強せずにきましたから、どこかで本腰を入れて学ばなければならないと思っています。

 さて、突然イスラムのことを書いたのは、最近プチ・オタクの息子との会話の中で、「武器の値段」という話が出たことを思い出したからです。例えばISが中心的に使っているあの機関銃、一丁いくらかということです。

 昨年の暮れ、英国に拠点をおく民間組織・紛争兵器研究所がISの使用している武器の調査をしました。戦闘員が撤退するに際に残してった武器を詳しく調査したのです。それによるとほとんどは米国製や中国製、ロシア製。フセイン政権が崩壊したあと米国占領下のイラクで米軍が提供した銃や、サウジアラビアがシリアの反体制派「自由シリア軍」に供与した対戦車砲など、出所のはっきりしているものもかなり見つかったそうです。またそれ以外には、占領した地域の武器庫から略奪したもの、闇市場で購入したもの、腐敗したイラク・シリア両政府軍の軍人が横流ししたものなどが使用されているようです。 

 ISの戦闘員の持つ銃でもっともありふれているのがAK47というロシア製の機関銃ですが、実は模造品が非常に多い。とても優秀な銃で多少精度の低い部品で組み立てても十分に動くのだそうです。

 だからさまざまな国で大量の模造品が作られ、必然的に値が下がる。ロシアの純正品でも1丁100ドルから150ドルと言いますから日本円で12000円から18000円ほど、模造品だと5000円を切るものもあると言います。

AK47の値段はAKB48のプラチナチケットよりも安い」というのは悪い冗談ですが、実際にそうなのです。

 

 息子の話によるとAK47は殺傷力にも優れ一発で人を殺すことも可能ですが、銃弾のサイズの小さな米軍のM16ライフルだと一発で仕留めたと思った敵兵がやおら立ち上がって打ち返してきたりすることもあるといいます。殺すのが目的ではなく、負傷させるのが目的の銃なのです。

 しかしだから米軍の銃の方が人間的だということにはなりません。一発で相手を仕留めた場合、敵の損失は1名です。ところが負傷して生き残っているとなると、誰かが負傷兵を引きずって移動しなくてはならなくなります。つまり戦闘能力としては2〜3人が同時にいなくなったのと同じなのです(そんな場面は映画「プレデター」の中にも確かあった)。

 イスラムの教義がどうなっているかという問題もありますが、同時に紛争地に流入する銃器をどうするかという問題もあります。テロ組織が繰り返し人間を集められる現状というものにも目を向けて行かなくてはなりません。いずれにしろ日本からもISに参加しようとする学生が出てきた以上、無関心でいられる問題ではなくなってきています。