カイト・カフェ

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「真田 de GO!」〜ポケモンGO!②

  結局やってみて分かったことは「ポケモンGO」も多くの人にとっては他のブーム同様、一過性で終わるだろうということです。

 50代、60代、70代でも皆夢中になってポケモンを追いかけているといったアメリカ発のニュースも、最初の2週間について語られたものであってあと一か月もすれば跡形もないのかもしれません(ということは「私たち老人も『ポケモンGO』のおかげでみんな元気になって国の医療費問題もなくなるのではないか」といった私の予想も外れることになりますが)。
 とりあえずポケモンを見つけて「ゲット!」するのは面白いのですが、私のような初心者には発展性がないのです。
 この世界に慣れた息子たちならポケモンの(格というかレベルというか要するに)希少性が理解できますから何かすごいヤツが出てきたら夢中になって追いかけそうなものですが、私などはネズミとカメとヒトデの区別もつかない。やっているうちにどうやら「ネズミはやたらあちこちにいる価値の低いヤツらしい」ということになってくるのですが、ピカチュウは別として、絶滅危惧種並みの希少ポケモンに出会っても分かりません。だから本気で追いかけることもない。夢中になるツボがない。
 そしておそらくポケモンなら何でもよかった幸せな季節は終わり、しかし何を捕まえたら幸せなのか分からないからやがて飽きます。

 しかしさりとて図鑑を全部埋めようというモチベーションもない。図鑑を完成させることの意味や価値が分からない。
 だったら男子に生まれた者として“闘争心”を活用し、「ジム」で敵と対戦して名乗りを上げ、そこに喜びを見つければいいようなものですがルールがわからない。
 だからすぐに負ける。言わばマーシャル・アーツだとかサンボだとか、名前しか聞いたことのない格闘技のリングに上げられ、「どうするの?」「蹴ってもいいの?」「ねじ伏せるのは?」と質問しているうちに殴り倒されているようなものです。さっぱり面白くない。だからと言ってルールを調べるほどのモチベーションもない。

 というわけで私のような老人初心者ポケモン・トレーナー(ゲームのプレイヤーはそう呼ばれるのだそうです)は、おそらく2〜3週間死ぬほど歩き回ってそれでやめます。田舎ではポケモンの出る場所も少なく、したがってすぐに飽きてしまうのです。
 若いトレーナーだって10年20年と続ける人はいないでしょう。

 ただしGPSスマホの撮影機能を利用した屋外ゲームというのは新しい展開ですから、この分野のゲームは今後もつくられ続けます。昨日も申し上げた通り「ポケモンGO」は大都市ほど有利ですから、これにヒントを得た後続ゲームもすべて大都市有利に傾きかねません。このままだと田舎人はいつまでたっても同じです。
 そこで今評判の「真田丸」からヒントを得た「真田 de GO」。地方は地方にしかないもので勝負をするしかないのです

 テレビを見て信州上田に遊びに来た観光客は市の入り口で上田市のホームページから「真田 de GO」をダウンロードして登録します。
 初めて来た人は道路不案内ですので基本的に「徳川軍」を、リピーターや上田市民は現地をよく知っている「真田軍」を選択します(もちろん別の選択をしてもかまいません)。
 対戦ゲームの得手不得手を自己申告します。
「とにかく電子ゲームなどしたことはない」という人はジャンケン・モードを、それ以外に人は5級から1級までを選択し、レベルに応じた兵力を与えられます。5級なら5千人、1級なら千人というわけです。
 一通り登録が済んだら徳川軍の観光客は上田城に攻めあがり、「真田軍」は防衛に回ります。

 市内全域が戦場ですからそれぞれの辻や広場などあちこちで対戦が行われます。真田軍は徳川軍のいそうなところへ走り、徳川軍はそれをやり過ごそうとしたりします。街角でばったり出会い、双方リアルな参加者なら互いに申し込んで対戦ゲームを行います。週日や悪天候で観光客などが少ない場合はコンピュータが“敵”を自動発生してくれるのでそれと戦います。
 ところどころにある「サナストップ」では槍や刀、弓矢などを無料で手に入れることができます。
 各戦闘で勝てば先に進みます(徳川軍は上田城に向かって。真田軍は新たな敵を求めて)。負ければその時点その人にとってのゲームは中断です。
 そのままゲームをやめてあとは普通の観光に切り替えてもかまいません。ただし30分待てば同じ場所から同じ条件でゲームを再開することもできます。その30分間は土産物屋に入ったり喫茶店で休んだりするしかありません(そして地元に金が落ちる)。子どもの戦争ごっこで殺されたら十数えて生き返るのと同じ要領で、30分経ったら再び「真田 de GO」です。

 上田は小さな町ですから「真田 de GO」は初心者向きと言えます。これが「長篠GO」だったり「関ケ原GO」だったりすると歩く距離が半端ではありませんからかなりの上級者(歩くのが)でないと参加できません。「大阪GO」などは夏冬1年がかりですから気合も入ります。それぞれ豊臣軍に入ってうっかり勝ってしまうと2年がかり3年がかりということも考えなくてはなりません。
 もっとも大阪は大都市ですから「ポケモンGO」をやっている人を火縄銃で攻撃したり、逆に相手からモンスターボールで攻撃されたりしないよう気をつけることも重要です。「サナストップ」と「ポケストップ」を間違えて変なものをもらわないように。
・・・・・・・と書きながら、しかし私も、案外自分で思っているよりは暇なのかもしれないと考えたりもしています。

 しかしそれにしてもだれか、「ポケモンGO」に代わる、地方でしかできない屋外型スマホゲームを開発し、それで地方再生をしてくれないものか――これだけは本気で思います。