「交通違反には理由がある」~違反を防ぐための三つの留意点

 もう30年近く以前のことですが、高速道の80km/h制限の区間を、92km/hで走って検挙されたことがあります。臨時の取り調べ所(と言ってもテント)で書類にいろいろ書き込んでいる警察官から「職業は?」と問われ、「教員です」と答えるとペンを持つその手が止まり、私の顔を覗き込むように見てニヤリと笑います。「(先生・・・やっちゃいましたね)」とそんな感じです(こんなことなら「公務員」とでも答えておけばよかった・・・)。

 それが悔しくて以後絶対に交通違反はしまいと思い、定速巡航装置のついた分不相応な車に乗り、何とか20年以上無違反できたのですがそれが5年前、思わぬところで捕まってしまったのです。

 時刻は夜の10時半ごろ、御在所原の農道を走っていると後ろにいつの間にかパトカーが張り付いていて、それがいつまでも離れない。ついに私の方が焦れ、車を停めると歩いてパトカーまで行き「何かありました」と聞くと「信号無視です。赤の点滅無視」・・・私は唖然としました。確かに、信号を見た記憶がありません。

 場所は南北2km東西1kmに渡って何もないキャベツ畑のど真ん中です。パトカーはおろか他の車もバイクも一切見えない暗闇の中で、赤の点滅信号を見落としたのです。
 後部座席に押し込まれての事情聴取では、「真っ暗だからといって、無灯火の自転車が走っていることもあるのですから」に思わず心の中で舌打ちをしました(いっそのこと「無灯火のパトカーが待ち伏せしていることもあるんですから」と言えばいいのに・・・)。
 しかしそれにしても、どうして見落としたのか・・・。

 翌日、そのことでボヤいていると通りかかった若い先生が、
「あ、御在所原の段丘の降りたところでしょ、ボクもやりました。全く同じ状況です。あそこ、夜の10時になると赤の点滅に変わるんですよ。それに信号の向こうに変電所があって、いくつもある鉄塔にいちいち赤い点滅がついているんですよ。あれに紛れちゃう」
 私は「あ」と思いました。それしか考えようがない。

 私のミスは何だったか。
 その第一は「過労」です。午前6時から夜の10時まで根を詰めた仕事をしていたのですから、疲れていないわけがありません。しかしそれ以上に「疲れているから運転に気をつけよう」という意識がなかったことが問題です。

 第二に、午後10時になると信号が赤の点滅に変わることを知らなかった点。毎日とおっている信号ですから、頭のどこかに「赤じゃない、黄色でもない、(だから行け!)」といった思い込みがあったのかもしれません。

 第三に、「信号の背景にたくさんの『赤の点滅』がたくさんあって見落としやすい」というロケーションに知識も意識もなかった点です。警察が張り込みたくなるような場所です。それだけミスを犯しやすい場所なのです。

 では、どうしたら予防できるのか。
 まずは疲れないこと。しかしそれは無理なので、特に疲れた日は事故や違反に繋がりやすいと肝に銘じておくこと。

 第二に情報を共有しておくこと、事故や違反のことは聞きにくい内容ですが、ついついスピードが出てしまう坂道とか錯覚を起こしやすい交差点や信号、しょっちゅう子どもの飛び出してくるような場所だとか警察が張っていそうなところ(そこが違反や事故を起こしやすい場所なので)、そうした情報を常に交換して、頭の中ハザードマップを作っておくこと。

 そして最後はたがいに声をかけあうこと。本人が自分に言うべきことも、忘れることがあります。そんな時のために、誰かが声をかけてあげなくてはなりません。
 そのくらいでしょうか。