カイト・カフェ

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「我が家のネザーランド・ドワーフと理解できない『ピーター・ラビット』の話」

 事情があって、今月からウサギが家にいます。
 ネザーランド・ドワーフというオランダに由来するカイウサギ。ドワーフというのは白雪姫や指輪物語に出てくる小人のことで、鉱山労働が主な仕事です。ネザーランド・ドアーフはアナウサギですし、ずんぐりむっくりした体型が似ているところからこの名があるのでしょう。

 ウサギですから鳴き声を上げませんし比較的匂いも少ないですから、家の中で飼うのに向いています。ただし頭が悪く、躾という点ではさっぱりうまく行きません。トイレットトレーニングがせいぜいで、他のことはさっぱり覚えられないのです。
 アナウサギですから狭いところを好みます。ものを噛む癖もあります。ということはテレビやコンピュータのラックの後ろに入り、コードを噛み千切ろうとしたがるということで危険極まりないのです。もう百万遍も叱ったのですが、30分と覚えていられません。
 特にウチのネザーランド・ドワーフがそうなのかもしれませんが、臆病で好奇心に欠けるところがあり、したがって散歩は嫌がります。狭いゲージの中にいてもさっぱり嫌がりません。

 このネザーランド・ドワーフを特に有名なウサギに仕立てたのはイギリスの作家ビアトリクス・ポターです。そう言っても誰なのか分からない人も多いでしょう。しかし「ピーターラビットのおはなし」シリーズの作者だと言えば誰でも分かります。ピーターラビットの一族がネザーランド・ドワーフなのです。

 私はピーターラビットには特別の思いがあります。それはまったく理解できないからです。
 二人の子どもが、それぞれ一歳半のころから小学校3年生を終わるくらいまで毎晩読み聞かせをしたのですが、このピーターラビットだけはさっぱり面白くなかった。なぜ子どもが夢中になるのかまったく分からないのです。それにもかかわらず、しかし二人ともこの本を繰り返し持ってきました。
 だからポターは世界的な作家なのでしょう。大人になっても子どもの感性でものを見たり感じたりでき、しかもそれを表現できたのですから。

 そしてこの「子どもにしかわからない」という部分で、私は読書や読み聞かせの重要性を説明します。だって「子ども時代にしかわからない」のですから。
 世の中には後回しにできないことがたくさんあるのです。
(しかしこんなことを言うと、「私、ピーターラビット、分かります」といった人がたくさん手を上げるかもしれません。そうです。子どものようにピュアな感性を持った人は、私が思うよりずっと大勢いるのかもしれません)

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