カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「画竜点睛を欠く」~どんなすばらしい指導も一点のミスで霧消する

 かつてA高校の野球部にSという偉大な監督がおられました。県教委からも、学校・保護者・地域からも絶大な支持を受けた人でしたが、たった一人の選手の指導を誤ったばかりに、ついに学校を追われ、その手腕は今も眠ったままです。

 子どもを殺されそうになった親として追及の手を緩めるなど到底できないその心情も分かりますが、S監督およびわがX県が失ったものも、また尋常でないものでした。

 私たちの仕事は児童生徒を追い詰め、そこからの飛躍を図ることです。しかし子どもを追い詰めるということは、常に体罰や精神罰のギリギリのところにいるということで、子どももろとも転落してしまうこともあります。

 そのとき教師は教師生命を失い、私たちは大切な同僚を失うことになります。そしてそれは県全体の損失であるとともに、その素晴らしい教育を受けられたはずの、何百人もの児童生徒・保護者の損失です。

 画竜点睛を欠くというのは本来、最後の詰めを怠ることですが、どんなすばらしい教育実践も、重要な一箇所を欠くとそれをもってすべてを失うことになりかねません。世の中は、その欠けた一点のみを問題とすることができるのです。
 どうか無茶をしないで下さい。

【参考】
 体罰の定義は驚くほど浅く、

  1. 用便に行かせなかったり、食事時間を過ぎても教室に留め置くことは肉体的苦痛を伴うから、体罰となり、学校教育法に違反する。
  2. 遅刻した生徒を教室に入れず、授業を受けさせないことは、たとえ短時間でも、義務教育では許されない。
  3. 授業時間中怠けたり、騒いだからといって生徒を教室外に出すことは許されない。
  4. 人の物を盗んだり、こわしたりした場合など、こらしめる意味で、体罰にならない程度に、放課後残しても差し支えない。
  5. 盗みの場合などその生徒や証人を放課後訊問することはよいが、自白や供述を強制してはならない。
  6. 遅刻や怠けたことによって、掃除当番などの回数を多くするのは差し支えないが、不当な差別や、酷使はいけない。
  7. 遅刻防止のための合同登校は構わないが、軍事教練的色彩を帯びないように注意すること。

  (法務府「生徒に対する体罰禁止に関する教師の心得:1949年)

  •  簡単に言ってしまうと、
  •  肉体的苦痛を与えてはいけない、
  •  教室外に出してはいけない(学習権の侵害)、
  •  犯罪について聞いてもいいが無理にしゃべらせてはいけない、

 ということです。どんな方法が残っているのか、考え直さなくてはなりません。