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「義務教育を4・3・2年に」~品川区の取り組みに注目!

 義務教育を4・3・2年に 来春から東京・品川区  [共同通信 7月13日]
 東京都品川区教育委員会は13日までに、すべての区立小中学校計58校で2006年度から、義務教育を4年間(小1−小4)、3年間(小5−中1)、2年間(中2−中3)に分けた教育カリキュラムを導入することを決めた。
 中学進学で学習内容や生活指導が変わり、子供たちが戸惑うケースが目立つためで、区教委は「特に小5−中1への指導を工夫したい。市区町村単位でこうした取り組みをするのは珍しいのではないか」としている。
 区教委によると、最初の4年間は基礎教育期間とし、国語と算数の授業を増やす。英語教育も小1から行う。次の3年間は、中学校のように教科担任制を導入、子供たちの個性や能力に応じた教育を進める。

「発達がどう進んでいくか」を捉えることについては、2つの見方があります。1つは発達は連続的に進んでいくものだとする見方で、もう1つは発達は段階的に進んでいくものだとする見方です。

 発達が連続的に進んでいくものと主張した代表的な人は条件づけの研究で有名なスキナーですが、彼は条件づけられた行動が蓄積されることの積み重ねが発達だと考えました。
 それとは違って、発達段階説を唱えたS.フロイトとE.H.エリクソン、J.ピアジェらは、発達は人間の内部に自然に生じる成熟によって、ある時期に飛躍的にその質的な変化が起こるのだとし、段階的に変化するものだと捉えています。 つまり、発達段階説とは「発達はある力を獲得すると飛躍的に変容する階段状の傾斜を上るようなものだ」とする考え方なのです

 私自身は経験的に発達段階説に立ちます。そして小学校3・4年生のころを特に異質な時期として他と切り離して考える立場に賛成します。

 さて、義務教育9年間を6−3とは異なった分け方をしようという考えはいくつかありましたが、その多くは5−4の二分割で、4−3−2という三分割はあまり例がないと思います。しかし小5〜小6年生はどう見ても中学校のくくりの中に入れるのがふさわしく、あれほど身体の大きな子たちが小学校1年生と同じ場所にいること自体が不自然なのです。ですから義務教育9年は4−5にすべきだといつも思っていたのですが、4−3−2ならばさらに良いのかもしれません。4年生までは「子どもの学校」、小5・小6・中1が「基礎学習の学校」、中2・中3が「受験生の学校」と言えばなんとなくピンとくるでしょう。

 残る問題はキャパだけです。5−4制にしても4−5制にしても、中学校の教室を増やして1学年分(あるいは2学年分)の生徒を小学校から中学校に送ることを考えています(4−5よりも5−4の考え方の方が一般的なのは、「2学年分も中学校に上げられない」という純粋に物理的な問題があるからでしょう)。
 それが三分割となると校舎の配分はどのようにするのか。 
 まさかカリキュラムの変更だけで小5・小6は小学校に残り、中1も中学校に通う、ということではないと思いますが・・・。
 品川区には品川区の特殊な事情があるのかもしれません。注目して見ていきたいところです。