名古屋市を中心とした教師による児童盗撮画像共有事件、
注目されたのは事件の飛び抜けておぞましい部分ではなく、
学校の教師が犯罪集団を組織していたという点だ。
しかしそんなこと、ありえるのだろうか?
という話。
(写真:フォトAC)
【教師による児童盗撮画像共有事件】
名古屋を中心とする教員グループによって大変おぞましい事件が引き起こされ、世情を騒がせています。10人もの現職教員が盗撮を繰り返し、秘匿性の高いSNSを介して児童ポルノを共有、評価しあっていたというのですから言葉がありません。ネットニュースも、
- 橋下徹氏 教師による児童盗撮画像共有事件に「もはや教師性善説は成り立たない。教室カメラの設置も…」
- 膳場貴子あきれる「言葉がないんですけれども、これ」小中学教員の女児画像共有 サンモニで憤り
- 性的ディープフェイクも共有…“教師だけの盗撮コミュニティ”に専門家も衝撃「初めて見聞きした」対策には限界が
- 教員の女子児童盗撮 横浜市長が謝罪 “極めて重大な不祥事”
- 盗撮疑いで教員逮捕、文科相「断じて許せない」 教委に規律徹底要請
と、官も民も大変な衝撃を受け、怒りに震え、対策を急ごうとしています。
中でも悪質なのは20代後半のS教諭*1で、報道*2によると、駅のホームで15歳の少女のリュックに体液をかけ(中略)勤務先の学校で体液を児童の所持品に付着させたり、給食に混入させたりした
と、おぞましい限り。内容が内容だけに、
体液が入った給食を児童が口にすることはありませんでした、
と言われてもおいそれと信じるわけにはいきません。子どもたちも今は理解できなくても、将来、事実を知って時限爆弾的に大きな傷を心に負うことになるかもしれません。そう考えると絶対に許すことのできない犯罪で、私がS教諭の勤務校の保護者だったら地の果てまで追及していくことになります。
ただ、一歩引いてみた時に、この事件、まだまだ分からないことが多すぎるような気もするのです。
【事件のおぞましい部分とは別の、世間に注目された部分】
とりあえず、同じSNSグループに属していて横浜で逮捕されたF教諭。神奈川県内の施設で女児の下着を盗撮したとされていますが、どういう状況かわかりません。許しがたい行為には違いありませんがこうした事件は過去にもあり、粛々と対処すべき内容で、今回、取り立てて問題とするような話でもない気もします。
グループの中心となっていたとされる名古屋市のY教諭についても、この人が主幹教諭という校長・教頭に次ぐナンバー3であったことも事件の衝撃性の一因になっていますが、“盗撮行為”自体に関する情報はあまりにも少ないままです。
そう思ってみると、今回の事件の衝撃性は必ずしも現職教員が盗撮をしたという部分にはなく、それが秘匿性の高いSNSで共有されていたということ、その中で盗撮画像の評価が行われていたということ、そのおぞましい“評価会”の参加者は10名にもおよび、その全員が教員だったこと。そして彼らの勤務校が名古屋市と横浜市にまたがっている以上、全国的な組織だったのかもしれないという点、今回摘発されたのは1グループだけだが、これまで想像されることすらなかった犯罪だから見つからなかっただけで、もしかしたら相当数の教員組織が同じことをしているのかもしれない、そんなふうに受け取られたからだと考えられます。
しかし実際のところはどうなのでしょう?
【逮捕理由がお粗末すぎないか?】
話を名古屋のY教諭に戻しますが、この人の罪状について、メディアは次の2点を挙げています。
校外学習中に女子児童を盗撮した
女子児童のショートパンツの中の下着をデジタルカメラで盗撮
しかしこの記述だけでは状況がまったく浮かんできません。
修学旅行に付き添いとしてついて行って、入浴の時間に脱衣場で着替える女児の姿を撮影した、といった話なら分かるのですが、今回はそういうものではなさそうです。
主幹という立場のY教諭は、学級担任を持たない代わりに校外学習の引率や学校便りの作成などを担当しており、日常的に児童の活動をカメラに収めていたといいます。そうなると本人の断りなしに写真を撮影したこと自体は“盗撮”には当たりません。職務ですから。
“盗撮”はあくまでも「女子児童のショートパンツの中の下着をデジタルカメラで盗撮」たという部分に関しての判断で、しかしそれが分からないのです。
“ショートパンツの中の下着”を、どうやって“盗撮”できたのでしょう?
無理やり下着姿にして撮影したのなら“強制わいせつ”だし、ショートパンツの上から透かして撮ったのなら(そんなことが可能なら)“透撮”でしょう。それ以外となると、体育館座りのような姿勢の女児の、ショートパンツの隙間から見えた下着を一部撮影した、ということなのかもしれません。そうなると“盗撮”というよりは「たまたま映っていたものに注目した」という程度の話にもなりかねません。
わざわざ狙って撮影するほどの場面とも思えないのですが、その世界の人々にとっては、貴重な奇跡の一枚ということになるのでしょうか?
【このグループは本当に盗撮画像の共有で繋がっていたのだろうか?】
また、女子児童の盗撮画像をSNSで共有したとされる10人あまりのグループについても、何かピンときません。
広く全国に呼び掛けて児童ポルノ愛好家を集めたというような話ではないのです。教員仲間という極めて狭い範囲で、明らかに違法行為であるこの種の同好の士を10人も集めることがどうして可能になったのか、私にはまったく理解できないのです。
確かに、愛知県と言えば学校教育の世界を圧倒的な数の愛知教育大学出身者で占めている愛教大王国です。校長の9割以上、教頭の8割以上が同学の出身で、最近はずいぶん減ったとはいえ、50歳代の5割弱、20代でも4人にひとりが愛教大出身者だと言われています*3。
Y教諭を含む40代の愛教大出身者も34%ほどいますから、彼自身が愛教大出身ならば他の大学の出身者よりも多く仲間を集められそうです。しかしそれにしても、理解の進んできた性的少数派とは異なり、盗撮や小児性愛といった犯罪性を伴う嗜好の持ち主を見つけ出すのは、容易ではありません。一歩間違えば芋ずる式に挙げられかねない人たちを、どうやって10人も集めることができたのか、そしてなぜ誰も「顔見知り同士でやるのは危険だ、それぞれ別のところで匿名でやろう」とか、「そもそも犯罪だからこれ以上はやめよう」とか、あるいは「私は手を引く」とか言わなかったのか? すべてが謎です。私だったら匿名で2~3人の友だちを持つだけで精いっぱいで、それ以上は怖くてできません。
海外秘匿性の高いアプリを使ったということですが、参加者のひとりが口を割ればダダ洩れになるのはわかりきったことですし、教師としてはプロでも犯罪者として素人同然。地の果てまで秘密を抱えて行ってくれる仲間とも思えません。
そう言えば教諭は「女子児童のショートパンツの中の下着をデジタルカメラで盗撮」といった程度の盗撮疑惑で逮捕されたというのに、S教諭・F教諭を含めて3人しか逮捕されていない――それも謎です。
(この稿、続く)