2014年の木曽御岳噴火から10年たった。早いものだ。
この噴火で多くの命が犠牲となったが、
犠牲者の年齢は実に多岐に渡っていた。
それが現在の登山の状況だからだ、
という話。(写真:フォトAC)
【木曽御岳噴火から10年】
死者58名、行方不明者5名、負傷者61名という大変な被害をもたらした木曽御岳火山噴火から今日でちょうど10年だそうです。あの日、たまたま紅葉を撮影に来ていたNHKクルーの残酷なほど美しく鮮明な画像と、夕方、山を下りて来た火山灰で真っ白な人たちが、重い口調で「たくさんの人が死んでいる」と呟く様子は、いまも瞼の裏に焼き付いている感じです。しかしまさか60名を越す人々が亡くなったり行方不明になるほどの大災害だとは、まったく想像できませんでした。
木曽御岳山というのは私の両親も60歳代で登った山で、日本には21座しかない3000m級の山(木曽御岳は3067m)のひとつであるにも関わらず、最短の大滝口ルートだと約5.7km(標高差約760m)、片道2時間20分という非常に登り易い山なのです。危険な崖などはほとんどありません。しかも10年前の9月27日は紅葉のシーズン真っ盛りの晴天の土曜日で、老若男女、かなりの数の登山客が入山していたのです。
興味深いのはその年齢層で、1990年代半ばから始まった「日本百名山」ブームの流れで来ていた中高年とともに、20代の、かなり若い世代も登っていたのです。「山ガール」が流行語大賞に選ばれたのが2010年ですから、ふたつのブームも重なっての2014年の木曽御岳噴火災害だったわけです。ですから被害に遭われた方も、老若男女さまざま、ということになりました。
【登山ブームの話】
この2009年~2010年に始まった「山ガール」ブームに、当時大学生だった私の娘のシーナもどっぷりハマっていて、のちに夫となるエージュとともにあちこちの山に出かけていたようです。結婚・出産と続いてしばらくは遠ざかっていたのですが、昨年はエージュの妹夫婦も誘って北アルプスへ。今年はその4人にさらにシーナの実弟(つまり私の息子)のアキュラ夫婦も連れての6人の集団登山となりました。
2週間前まで新型コロナで臥せっていたアキュラはすでに登りで意識が飛ぶほどに疲れたみたいですが、来年のリベンジを誓ったと言いますから何か山の魅力に気づいたのでしょう。そう言えば昨年もエージュの妹がボロボロになって帰って来て、シーナに言わせれば「こりゃ、来年はつき合ってくれないな」と思ったらしいのですが、今年はみっちりトレーニングを積んで間に合わせて来たみたいです。大したものです。
私にとっては“登山”は難行苦行以外の何ものでもありません。第一に高いところがダメなのです。歩くのも好きではありません。さらに言えば“登山”には最初からストイックな印象しかないので行く気にならないのです。もしかしたらそれは、私が子どものころ知っていたアルピニストたち――といっても本やテレビの中の人たちですが、皆、重苦しい雰囲気を漂わせていたからなのかもしれません。
【井上靖「氷壁」】
太平洋戦争後、登山ブームは三回あったと言われています。先ほど言った中高年の「日本百名山」ブームが二回目、山ガールが三回目です。第一回はずっと遡って1956年のマナスル(8163m)初登頂に始まると言われていますが、翌年(1957年)発表された井上靖の小説「氷壁」がベストセラーとなり、それに惹かれた若い男たちが、次々と山に挑戦し始めたのです。
絶対に切れないと言われたナイロンザイルが登山中に切れるという実際に起こった事件を題材とした山岳小説なのですが、主人公の生き方が実に禁欲的で、登山というのはそういうものだという思い込みを植えついけるに、十分な力のあるものでした。
《すばらしいことだが、俺にはできないナ》
まさか自分の両親や子どもたちが、嬉々として山登りをすることになろうとは、夢にも思いませんでした。ただしだからと言って私もやろうという気にはまったくなりません。私はストイックといっていいくらい思いつめた「頑固な根性なし」なのです。
【付録:自民党総裁選で投票してみる?】
本日、新たな自民党総裁(次の総理大臣)が決まります。子どもに聞かれて困らないように簡単に話せるようにしておきましょう。
国会の最大会派(政党同士や無所属議員でつくる国会内のグループ)のトップが総理大臣になるという仕組みは、案外、知られていないのかもしれません。
「総理大臣は国会議員の中から国会が選ぶ」→「多数決で決めるから、国会の中でもっとも人数の多いグループ(会派)の代表者が立候補すれば、それで決まる」→「だから現在の国会で一番大きな会派の長である自民党総裁を決めることが、内閣総理大臣を決めることと同じになる」→「その意味で今日は大切な日だから、注意深くニュースを見て居よう」
――子どもにはそんなふうに言っておきます。
すると「一部の人(自民党の人)の投票で総理大臣が決められてしまうのはおかしい」と言い出す子どもは必ず出てきます。そうした子には「自民党の総裁が総理大臣になる」ことが嫌なら、「大人になって選挙権を持ったら自民党以外に投票する」「他の政党が勝つように積極的に応援する」といった方法があると教えます。しかし自分で直接投票したいということなら話は別で、自民党の党員となって、自民党総裁を決める選挙で投票するしかありません。
いやそもそも首長を間接選挙で選ぶことが我慢ならんという話なら、11月に向けてアメリカ大統領選挙に注目させましょう。あんなお祭り騒ぎで首長が決められることに我慢ができるか、だれが大統領になるかで生活が一変するような制度は気持ちのいいものかどうか、一緒に考えるのも面白いかもしれません。もちろん大統領制度がいいという結論になっても一向にかまわないのですから。
ちなみに自民党員になるためには次のような条件があるそうです。
(以下、自由民主党サイトより)
A.入党資格
・ 自民党の綱領、主義、政策等に賛同される方
・ 満18歳以上で日本国籍を有する方
・ 他の政党の党籍を持たない方
B.入党手続き
1. 入党申込書に氏名、住所、電話番号などを記入します。
2. 党費を添えて、最寄りの支部に提出します。
党費:
・ 一般党員: 年額4,000円
・ 家族党員: 年額2,000円
・ 特別党員: 年額20,000円以上
3. 紹介党員が必要です。お知り合いに党員がいない場合は、地元の支部にご相談ください。
C.特典
・ 入党すると、自民党総裁選で投票することができます(総裁選挙の前2年継続して党費を納めた党員の方が対象)
・ 詳しくは、自民党の公式サイトをご覧ください。
4000円を2回、計8000円払えば総裁選に参加できるという、そのくらいは知っていても損はないでしょう。
(留意:私は消極的自民党支持者ですが、党員勧誘のつもりは全くないので、ご了承ください)