自民党総裁選が終わり、石破氏が新総裁に決まった。
私は初の女性首相の出現を望んだが叶わなかった。
まあいい、汚れた自民党の後始末、汚れ仕事は、
男たちにやらせるがいい、
という話。
(写真:フォトAC)
【自民党総裁選、終わる】
自民党総裁選挙が終わって石破茂さんが当選し、第28代自民党総裁となるとともに10月1日に召集される臨時国会で第102代内閣総理大臣に指名される見通しです。
私は政治に関心があってなおかつ消極的自民党支持者なのに、具体的で細かな政治状況には疎く、個々の政治家の業績などが覚えきれないので、いつも何となくボーっと見て、直感でものごとを判断しているふうがあります。
「この人、顔がいいから好き」
といった程度の感じです。
石破茂さんに関しても、毎回総裁選が近づくとやたらマスコミに取り上げられるものの、普段は何をしている人なのか分からず、一般党員、特に地方での支持率が高いと聞かされても、何のことか想像もできません。そこで生成AI(Copilot)に聞いてみたら、次のような回答をくれました。
石破茂氏の人気の理由はいくつかあります。
地方への関心: 石破氏は地方を頻繁に訪れ、地方創生に力を入れているため、地方での支持が高いです。
誠実な姿勢: 石破氏は自らの至らぬ点を認め、謝罪する姿勢が評価されています。
政策の透明性: 石破氏は「勇気と真心をもって真実を語る」政治を目指しており、有権者からの信頼を得ています。
石破氏の人気は、彼の誠実さと地方への関心が大きな要因となっています。
なるほど。実際に触れあった人たちが支持者なっている感じなのですね。
これとは別に、非常な勉強家、舌鋒鋭い論客で、人と群れるのを好まず、宴会に行くなら家に帰って読書する方を選ぶ人で、正しいと思えば自民党中枢に対しても平気で物申す清廉潔白な人、そんな話も漏れ伝わってきます。
立派な人なのでしょう。ただし私は何となく気に入らない。安易に期待したり、喜んだりしてはいられない、そんなふうに警告する自分が、私の頭の隅にいるのです。それが何に由来するのかというと、あの“目”です。真剣に話をしようとする時に顎が引かれて、上目遣いに三白眼みたいになって見るあの目が怖いのです。
【様々な怖い“目”の話】
政治家の怖い目というのはこれまでも幾度となく見てきています。
ナチスの宣伝相ヨーゼフ・ゲッペルスがユダヤ人カメラマンに向けた「憎しみの目」は特に有名ですが、私が覚えているのは1980年、当時の中国の首相、華国鋒が成田空港に降り立った時に見せた”目”が実に印象的でした。――大柄でふくよかで「華国鋒おじさん」という感じの首相だったのですが、ある瞬間、歩きながら見せた目の表情が、ものすごく怖かったのです。
「なるほど中国で権力争いを勝ち抜く人はこんな目を持つんだ」
と怯えながらつくづく思いました。
怖いと言えば鳩山由紀夫さんの、テレビカメラに向けられた視線がどうもレンズのはるか後ろの方で焦点を結んでいるような虚ろな目も怖かったですし、菅直人さんの、怒っているとき以外は焦点が怯えたように揺れまくる感じの“目”も怖いものでした。
しかし石破さんの怖さはまた違います。
強いて言えば、インタビュアーや視聴者に向かって話しているのに、焦点が対象者のちょっと手前で結ばれている感じ、鳩山さんとは逆でこちらに届いてこない感じが何となく怖いのです。視線を真剣に向けているのに、頭が別のことを考えているので気持ちが届いてこない、そういうことなのかもしれません。気を抜いてしゃべっているときはそうはならないので、きちんとしゃべろうとするときのこの人の特性なのでしょう。
【政治の世界できれいすぎる人は信用ならない】
政治家は正義を語る必要がありますが、自らが縛られていいほどの正義を振りかざしてはいけません。それが許されるのは野党、もしくは党内野党の立場にある時だけで、権力を手にするつもりならほどほどのところで止めておかないと、あとで身動きが取れなくなります。
かつての民主党政権が苦しかったのは、与党になってもなお「最低でも県外」とか「官僚政治打破」とか言い続けたためでした。
今回の総裁選で、私は最初、上川さんが日本のメルケルさんみたいになってくれればいいなと思っていたのです。しかし公示のずっと前に「20人をはるかに越える国会議員の皆さま賛同を得て――」とか口にしてしまい、これはダメだな、と思いました。素直すぎてはいけないのです。ひとの腹の中なんて分かりません。案の定あわや立候補断念の瀬戸際まで立たされ、すでに月刊文芸春秋に出馬宣言みたいな記事を出稿してありましたから、とんでもない赤恥を書くところでした。
今回はそこまでは行きませんでしたが、政治家としての見通しの甘さを露呈してしまったわけです。現在は外務大臣ですがかなり不安になります。総理大臣として習近平やプーチンとサシで勝負するのは難しいかもしれません。少なくともそんな気にはさせられました。
同じことは石破さんにも言えて、総裁選こそベテランの知恵(今回で5回目)で乗り切りましたが、さて、宴会の席で人とつるみ、清濁あわせのむような人間関係を築いてこなかった人に、どんな腹芸ができるのか、それも不安です。清廉潔白な人ですが、泥沼に足を踏み入れなければ汚れることもありません。
【後始末、汚れ仕事は男にやってもらうのがいい】
さて正直いうと、私は「石破茂総裁誕生」をまったく予期しておらず、こころの準備が全くできていなかったのです。何やかや言っても、自民党議員はかつての裏切り者、常に主流派の背後から槍でつついていたような人を、絶対に許さないと思っていたのです。
また、私はできれば今回の選挙で上川さんか高市さんが選ばれて、日米首脳会議がカマラ・ハリスさとの間で行われたらどんなに素晴らしいことかと、そんなふうにも考えていました。女性が直接選挙で選ばれて大統領になるのはかなり難しそうですが、議院内閣制で首相になるのは少しハードルが低そうです。実際にドイツではアンゲラ・メルケルが長期政権を誇り、イギリスではこの間に3人もの女性首相を出しています(サッチャー、メイ、トラス)。日本の女性だって負けてはいられませんし、日本という国もそろそろ懐の深さを世界に示してもいいころだと思っていたのです。
ですから石破さんの悪口を書くのも8割以上は八つ当たりで、もしかしたら石破さんも本当に「日本や国民を守り、安心と安全を実感できる国家」にしてくれるのかもしれません。しばらく様子を見ましょう。
考えようによっては裏金問題等で自民党の内外が厳しい状況で、日本初の女性総理が出なかったのは良いことだったのかもしれません。誰がやってもうまくいきそうにない現在、女性が首相の重責を担って失敗したら「やっぱり女はダメだ」と言われかねません。後始末、汚れ仕事は、とりあえずこの件に責任のある男たちにやってもらうのがいいのかもしれないのです。