「人間ドックに行ってきました」〜自分の体に新発見!

 

 先週土曜日に人間ドックに行ってきました。

 毎日が日曜日みたいなものですから別に土曜日に行く必要もなかったのですが、現職の時の癖でなんとなく学校の休みの日に予約を入れ、半日、検査を受けて帰ってくるのです。

 

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【人間ドック】

 人間ドックといっても若い人にはなじみがなさそうですので簡単に説明すると、身長や体重、視力・聴力・肺活量といった身体測定と、血液・尿・便、およびレントゲン・超音波・胃カメラといった検査を組み合わせたもので、最終的に検査結果を見て、医師の診断を受けるのが一般的です。

 その上で案外知られていないのが“豪華な昼食が組み合わされているのが普通”ということで、これは胃の内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)が終わってから1時間は飲食してはいけない、その時間を確保するためと思われます。

 

 何しろ前の晩の9時以降、朝の一杯の水以外いっさい飲食禁止ですので、検査の後すぐに病院を出すとその足で食事に行ってしまう人がいる(大人は言うことをききません)、その結果事故が起きても病院は責任を取れないからです。

 私がいつも行っているドックで渡される食事券はフランス料理で、あんな面倒くさいものは少しも好きではありませんし、元を質せば料金も検診費用に含まれているわけですからもっと安い料理を、自由に食べさせてくれたらいいのに、そうもいかないようです。

 

 

【年々悪くなる】

 健康のためとはいえ、人間ドックは楽しいところではありません。何しろこの年になるとロクなことを言われないからです。

「あ、右の耳も少し高い音が聞こえなくなっていますね」

とか、

「身長、少し落ちていますがこの数値でよろしいですか?」

とか、

「(お腹周りを測って)ハイ、メタボです!」

とか――。

 

 10年前には医師が、

「Tさん(私のこと)のこの心電図の異常、発見できるのは私くらいかもしれません」

と自慢されたのが、今では研修医でもすぐに分かる明らかな異常となってしまいましたし、

 ドックではありませんが胸部CTを撮ったら心臓の冠動脈が石灰化(*)してるとかで、「石灰化って何ですか?」と訊ねたら「血管が骨になることです」といった恐ろしい説明を受けたりとか、とにかく気分の良いことがない、誉められることがないのです。

 

*石灰化については以前にも書きました。 

kite-cafe.hatenablog.com

 

【ドックを受ける能力】

 さらに、「能力」というのは人間ドックを“受ける”場合にもあるらしくて、私は胃カメラが全く苦手なのです。

 食道にヘルニア(臓器があるべき部位から逸脱している状態)があって、まずカメラが入りにくい、さらに胃に到達したあと、胃壁を広げて襞の間を見るために空気を送り込むのですが、その空気が食道から逆流してくるのを抑えられない、つまりゲップが我慢できない。

「ゲップ、我慢できませんかぁ?」

とか言われるのですが、そもそも胃カメラの管が食道内にある状況でゲップを我慢するという動作のしかたが分からない。どこに力を入れていいのか分からない。

 

 結局なにをやっても空気は逆流し、オエ、オエ、とゲップするたびに大量の唾液と涙が出て、顔の横に置いた紙の上にだらだらと流れ出ます(内視鏡検査はベッドの上で横向きに寝て、唾液等は紙の上に流すように指示されます)。

 胃の中の空気はゲップとして口から出るほかに腸の方にも送り込まれますから、通常より大量の空気を入れられている私の腹は、パンパンに膨れ上がってそちらも苦しい――結局検査室を出る時は身も心もボロボロといった感じで、まるで本物の病人みたいになっていました。

 

 

【新発見】

 半日の検査を経て、今回も「問題はあるけど問題ない(問題はあるが今さら問題にしてもしかたない)」といったいつもの結果に終わったのですが、実は今まで気づかなかったとんでもない発見があったのです。それはドックの最後に受ける医師の指導の場面でのことでした。

 感じの良い中年の女医の説明を受けていると、

「20年前に肺がんの手術をされたのですね」

といって胸部レントゲンの写真を見ながら、

「あ、ここですね」

 これまで何回もその話は出てきましたが、「ここですね」と指さされたのは初めてです。

「ホラ、何かいろいろ入ってる」

 20年間、似たような場面は何回もあったはずなのに全く気づきませんでした。レントゲン写真の心臓に近い部分に1cm×0.5cmほどの白い物体がいくつも散らばっているのです。

「あちこち留めた後でしょうね、私は外科じゃないから分からないけど、ほら、ここはメッシュ」

 見ると確かに長さ3cmほどの網状のものが何かに絡まっているような様子も見られます。

 私はいわゆる「解ける糸」(昔「刑事コロンボ」で見た)みたいなもので縫ったとばかり思っていたので、こんなものが胸に残っているなんて想像だにしなかったのです。。

「自分のことは自分が一番わかってる」

 なんて言えませんよね。

 

 

【もうひとつの事件!】

 昔と比べて、人間ドックに行く緊張とか気の重さというものはすっかりなくなりました。かつては、何か病気があったら仕事を休まなければいけない、たくさん迷惑をかける、入院までの間にしなければならない仕事も大変だ、といった事情もあったのですが、今はただ入院すればいい、自分の身に何かあっても迷惑のかかる人は少ない、子どもも大きくなっている、そういう安心感があります。

 安心感はありますが、何か寂しいような気もします。

 

 最後に、ひとつ書き洩らしたことがありますので、それについて記しておきます。

 

 先ほど言ったように胃カメラが苦手で、オエオエやってすっかり泣きはらしたような目で、しかも空気でパンパンに膨れ上がった腹を抱えて待合室に戻った私に、ほどなく看護師から声がかかります。

 

 メジャーを手にして、

「お腹周り、測ります」

 

(ちょっと待て! それはない、今はダメだろ!)

 

 それだけの話です。