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「検査を受ける能力の低下」~人間ドックに行ってきました2023

 人間ドックに行って、ひとこと言われてきた。再検査もある。
 しかし今回いちばん動揺したのは、
 人には検査をきちんと受けるための能力というもがあり、
 それがずいぶん衰えてきたということだ。
 という話。(写真:フォトAC)

【人間ドックに行ってきた】 

 古い知り合いが病気で亡くなった話をした翌日に人間ドックに行ってきた話をするは、結果が良かったにしろ悪かったにしろ、あまりいい方向に進まないような気がして腰が引けます。しかし今日書かないと“今日のこと”が残せなくなることもあるので記しておきましょう。この先、状況が変わるということもありますので。

 さて結論から言いますと、即日のデータから判断できる状況は昨年までの「問題は山ほどありますが心配はないでしょう」から「問題は山ほどあって二つほど心配な点がありますから詳しく調べましょう」へと1階級特進でした。
 問題のひとつは胃で、内視鏡検査の結果、幽門部(胃の出口付近)に昔からあった「たこいぼびらん」(周辺が盛り上がってタコの吸盤のような形になった炎症)が急に大きくなったので組織検査をしてみましょうという話。
「良性の顔をしたがんというのも稀にありますから念のために調べておきましょう」

 もうひとつは2日分採取した便に二回とも潜血があったということです。1回だけだと半陽性、2回ともだと陽性と言われるのだそうで、ですから私の場合は陽性。考えられる病気は「大腸がん」「潰瘍性大腸炎」「胃がん」「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」と穏やかではありませんが添え書きのように「稀に痔または排便時の裂傷」とかもあったりしますので深刻になりにくい部分もあります。

 実は便潜血は4年前にもあって、そのときは大腸内視鏡で検査の上、
「ポリープがいくつかありますが“がん”になりにくいものですからしばらく様子を見ましょう。2年経ったら再検査」
と言われ、2年後に調べると大きくなっていて「やはり取っておきましょう」ということで手術。その際に、
「ポリープのできやすい体質かもしれませんから3年後、改めて予約をとってきてください」ということになりました。しかしそれからまだ2年です。
 なにもしないと選択肢もなさそうですので、1年前倒しで予約を取ってきました。

【検査を受ける能力が落ちている】

 30代~40代のころは人間ドックといっても自らの身体の好調を確認して人生に勢いをつける壮行会行事のようなものでしたが、50代以降は行くたびにどこかの不調を指摘され反省を促される総後悔行事みたいになってしまいました。ですから行く前から気が重い。

 昔は腕だけ年がら年じゅう怒っているみたいに血管が浮き上がって採血もしやすかったのに、最近は採れる部位を探して看護師があちこち見回す始末。聴力検査では「左の聞こえが悪い」と予め言っておかないとあまりにも聞こえないので機械の故障と勘違いされてしまいそうなほどになっています。
 胃の内視鏡検査では食道の下、胃の噴門部あたりにヘルニア(臓器のずれ)があるとかでカメラが進みにくいと同時にゲップが我慢しにくく、機器の進歩にも関わらず毎回泣きの涙なのですが、今回は組織を採取しなくてはならないということでさらに大量の空気を注入してほぼ全量をゲップに変換してしまう情けなさ。一部は腸に送られて後におならのロングトーンなってしまいました。

 総じて検査を受ける能力が大いに低下しています。
 近い将来、
「レントゲンを撮ります。口はそんなに大きく開ける必要はありません」
とか、
「視力を測ります。あ、ここでパンツは脱がないでください」
とかいったことになるかもしれません。

【ヨボヨボになってもドック】

 ところで今回初めて気づいたのですが、人間ドックにはヨボヨボのお爺さん・お婆さんは来ていません(なぜ今まで気づかなかったのだろう?)。腰の曲がった人たちの健康管理はどうなっているのか?
 そこで、腰は曲がっていませんが84歳で健康オタクの義兄に電話で聞くと、こともなげに、
「オレ、毎年ドックに行ってるよ」
 とのことでした。
「ヨボヨボのお爺さんやお婆さんはいませんよね」
と訊くと、
「そう言えば、いないよな」
とは答えるもののどうなっているのか見当もつかないようです。
 調べると市の助成の中にも、「後期高齢者人間ドック補助」といった制度もありまから、いつまでも通ってよさそうです。
 私がヨボヨボになって先鞭をつければいいだけのことなのかもしれません。