一昨日の夜と昨日の朝、一晩のうちに立て続けに2件の交通事故を見ました。
正確に言えば現場を通りかかっただけなのですが、場所が信じがたい。
畑のど真ん中の交差点です。
しかも周囲に民家も施設もない、東西少なくとも1km四方に渡って何もない、冬なので作物もない、だだっ広い畑地です。
その交差点で一昨晩は普通自動車と軽乗用車が、すぐ近くの別の交差点で昨日の朝、軽乗用車同士がぶつかっていたのです。
両事故とも一方の車は破損したまま車道に残っていたのですが、夜の事故では交差するもう一本の道路の真ん中で軽自動車が完全に裏返しになっていて、朝の事故では畑に飛び込んでいます。
分かります?
後者の、「畑に飛び込んだ車」は同じ風景を何度も見ているのですが、二台とも交差するそれぞれの道路上にあり、一台が完全にひっくり返っているという図は初めてです。いったいどんなふうにぶつかってどういう具合に跳ね飛ばされたのか。全く想像がつきません。
二件ともすでに警察が来ていて、私は誘導されてしまったのでじっくり見たわけではないのですが不思議な事故です。
【コリジョン・コース現象と視野】
広々とした交差点で起きる事故については、以前、
kite-cafe.hatenablog.comで紹介しましたが、 昨年9月1日の『所さん!大変ですよ「なぜか事故が頻発 “魔の交差点”!?」』でも別の視点からの考察がありました。
だだっ広い場所を走るとき、人間の注意力は正面から左右5度ずつ、合わせて10度の範囲でしか働かないというのです。
人間の視野は視野は通常200度くらいですが、きちんと物が見えているのはその中で中央10度程度の狭い範囲。その中心視野と言われる部分の外側、周辺視野では物はぼーっと見えているだけで、その部分を走る車には気づきにくいのだそうです。
だだっ広い農地、つまりさまざまなものに注意を向ける必要のない場所では、ひとは自然と前だけを見て運転してしまう――別の言い方をすると10度程度の狭い風景だけを見ながら運転しているので、横から出て来る車に気づかないのです。それが広い農地のど真ん中で交通事故の起こる原因です。
確かに、そんな広い場所でキョロキョロしながら運転している人はいません。
【道路はそこにある】
さらに言えば、普通、私たちは自分の走る道に対して、交差する道路を建物や並木の切れ目、歩道の端として意識します。道路を見ているのではなく、周辺の風景が切れているから交差する道路があると認識できます。
同じ農地でも夏ですと、密生したトウモロコシの切れ目や長芋のネットの端の先に交差する道路がありそうだと自然に理解できますが、冬の何もない畑では、横切る道が全く見えないのです。
だから広くて見通しの良い道ほど危険ということも実際にはあるのです。
私は一日に2回以上、そうしただだっ広い畑の真ん中を走っていますが、昨年9月の「所さん大変ですよ」以来、変なおじさんと思われるのを覚悟で毎日キョロキョロとあたりをうかがうような感じで運転をしています。
そんなふうに、お互い気をつけていきましょう。
(なお、番組の中ではだだっ広い畑とは正反対の「ものすごく混雑する道路で、突然目の前に現れる歩行者」というのも説明していました。これは情報量が多すぎて見落とすケースです。その場合は注意を拡散し、一点に集中しない工夫が必要みたいです)