教師による児童盗撮画像共有事件、
実際にはそこまで大きな話ではなかった気もする。
しかしだからと言って許されていいものでもない。
許しがたいに違いないが、打つ手もない。
という話。
(写真:フォトAC)
【事件は過大評価されていないか】
世の中にありえないと考えられるようなことは、たいていはありません、存在しません。ありえないことがあるように見えるのは、情報が少なすぎるか混乱しているか、あるいは錯覚だったり、もしくは詐欺だったりする場合です。万が一の例外を除けば・・・。
「教師による児童盗撮画像共有事件」と言われる今回の事件も、巷間いわれるような、
「共通の性的指向をもつ現職の教員たちが、秘匿性の高いSNSを使って、その場に手持ちの児童ポルノあるいは盗撮画像を提供しあい、評価しあい、時には交換していた」
というようなおどろおどろした形では、おそらく存在しないだろうと私は考えています。そうであってほしいという願望も交えて・・・。
【本来はちっぽけで真面目な人たち】
小心で、馬鹿正直で、児童生徒のためならあらゆるものを犠牲にできるあの人たち(=教師)が――もちろん数百人にひとり、千人にひとりといった割合でとんでもない人間を含んでいるとしても、10人も集まってそんなおぞましい組織を作り上げていたとは、到底考えられないのです。
確かに名古屋で最初に逮捕されたS教諭の罪状は忌まわしいもので、横浜で逮捕されたF教諭も異常な性向を持った人には違いないでしょう。しかし現在主犯格とされている名古屋のY教諭の逮捕理由は、「女子児童のショートパンツの中の下着をデジタルカメラで盗撮してSNSに載せた」という、何ともピンと来ないものでした。これから起訴・追起訴となるにしたがって新たな事実が次々と出てくる可能性もなくはないのですが、Y教諭個人の盗撮画像共有事件は、現時点ではその程度のものでしょう。
もちろん被害児童およびその保護者にとっては「その程度」では済まされない事件かもしれませんが、その被害者感情を慮って一律に重罪ということにはできないと思います。
10人もメンバーがいながら今日までに3人しか逮捕されていないのも、ほかの7人が盗撮に関してはほとんど無関係で、SNSのグループが画像鑑賞・画像交換を目的とした集団ではなかったからなのかもしれません。
開設から9か月、10人も参加していながら動画・静止画が70枚しかないというのも、逮捕された3人が積極的にアップロードしていただけで、あとの人々は困惑しながらも放置した(もちろんそれだって悪いことですが)、そう考えた方が筋の通るように思えるのです。もちろん、そんな甘い話じゃない、本格的な犯罪グループだったという可能性もないわけではありませんが。
捜査もまだ途中のようです。この先に出てくる情報に注意していましょう。
【さて、どう対処するか】
教師によるわいせつ事件が校内で在校生に対して行われたらしいという今回の事案に対して、SNSではさまざまな対応策が提案されています。例えば以下のようなものです。
- 校内・教育現場での監視体制の充実(監視カメラの設置、警察官の常駐もしくは定期パトロール、保護者によるパトロール、外部の相談窓口や通報制度の整備)。
- デジタル機器の管理(教職員の私物スマホ等の持ち込み禁止、ICT機器の利用ログ監視、教職員のSNS利用禁止等)、
- 教員の性犯罪の厳罰化と法制度の整備(児童生徒対象とした盗撮は性加害と同等にあつかう、完全な実名報道、有罪判決を受けた者の教職からの永久追放等)
- 教員採用あるいは資格制度の見直し(採用時のより厳格な人物調査・審査、教員免許更新制度の復活・徹底、犯罪歴のある人の教職への再就職禁止)
しかし監視カメラの設置や警察官の常駐は金のかかる問題ですし、教師からスマホを取り上げれば代わりとなる公用スマホを渡さざるを得ません。“携帯を持っていれば助けられたかもしれない子どもの命を、禁止したばかりに助けられなかった”といった事件がひとつ起こっただけでも、政府や地方公共団体はメチャクチャ叩かれるでしょうからそうせざるを得ないのですが、財源はそう簡単に出てくるものではありません。教師の私物に頼る体制は、おいそれとは変えられないのです。
【人物調査にも厳罰化にも限度がある】
日本版DBS(子どもに接する仕事に就く人が過去に性犯罪歴を持っていないか確認したり排除したりする仕組)は必要ですが、採用面接で怪しい人物を拾い出して排除することはできないでしょう。今回逮捕された教諭たちも皆、ご多分に漏れず「明るく、子どもたちに人気のある、いい先生だった」のです。おそらくその点に間違いはないでしょう。私が同僚として見てきた先生たちも、基本的に子ども思いの“いい人たち”ばかりでしたが、それでも長い年月の間には事件を起こす先生もそのために教職を全うできなかった人もいたのです。
悪い人が教師になっていて犯罪を行うのではなく、いい人が何かのきっかけでタガが外れて犯罪を行うのです。だから見つけ出すのは容易ではないのです。
厳罰化にも限度があるでしょう。昨日は今回の事件にかかわったS教諭が懲戒免職になりましたが、「職を失い」「教員免許を失い」「本名や経歴をさらされ」「性向を明らかにされ」「犯罪者の刻印を押され」「家族を含む人間関係のほとんどを失い」「デジタル・タトゥーを刻まれて」「未来を閉ざされる」、これだけの罰を受けると分かっていながらやめなかったのですから、さらに重い罰を課しても、結果は同じような気がします。
そうなるともう打つ手はないのか――。
(この稿、続く)