カイト・カフェ

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「コリジョンコース現象」~見通しの良すぎる交差点で、魅入られたように衝突する

 先週木曜日の「アンビリーバボー」で興味深い話をしていたので紹介しておきます。それは「コリジョンコース現象」と呼ばれる目の錯覚に関わる話です。

 田園地帯のようなまったく見通しの良い場所の交差点に、2台の車が同時に侵入して大きな事故になるということがあります。私の住む○○地区の畑でもしばしば起こる事故です。しかも衝突した車の双方とも、まったくためらいなく交差点に侵入しています。このとき起こっているのが「コリジョンコース現象」なのだそうです。

 人間の目には「動くものには注意が向くが、動かないものには向きにくい」という性質があります。この性質のおかげで、目に映るすべての事物に注意を奪われることなく、安全な運転ができるのです。ところがこの安全のための性質がときに盲点となるのです。

 先にお話したような非常に見通しの良い場所に、直角に交わる交差点があるとしましょう。そこに2台の車が、1台は南から、もう1台は西から侵入しようとしているとします。南から北へ向かう車から見ると、もう1台は左から右へ向かって走ることになります。このとき交差点から同じ距離をスタート地点として同じ速度で交差点に向かうとします。つまり衝突地点にまっしぐらの状況です。

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 するとこちらから見た場合、相手の車はどんなに進んでも常に視線の左45度の位置に見え続けることになります。車はどんどん近付き、車体は多少大きく見えるようになっていますが、フロントガラスの中では、相手の車は「ずっと停まって見える」のです。そして人間の目は「動かないもの注意が向きにくい」という性質が発動するのです。テレビでは映像で紹介していましたが、実験と分かっていても見逃しそうな感じでした。

 それで思い出したのが、昨年末、前任校の先生が起こしてしまったミニ・バイクとの衝突事故です。ニュースにもなったので覚えておいでの先生も多いかと思いますが、あのときこちらは直角カーブからの立ち上がりで十分な速度は出ておらず、左から来たのはミニ・バイクとはいえゆるい下り坂でスピードは高めだったに違いありません。

 もちろん一旦停止の見逃しですから弁解の余地は全くないのですが、ぶつかってボンネット上を人が滑って落ちるまで完全に気付かなかったという証言は、これによって説明できます。

 私たちは見通しの良い道路では衝突の危険などないと思いがちです。しかし見通しがよいからこそ危険な場合もあるのです。
コリジョンコース現象」、覚えておいて損はないと思いました。
 参考URL「アンビリバボー」→BACKNUMBER→2010年8月26日「実録交通事故ミステリー」