「教育再生の行方」②~世界大学ランキングを上げる方法

 先日、世界大学ランキングで日本のトップである東大ですら20位以下だ、と書きました。

 2012年版について、代表的ランキングを調べると、「世界大学学術ランキング」では20位(50位以内に京都大学《26位》が入っています)。「タイムズTHE-TR世界大学ランキング」では30位(京都大学は52位)。「QS世界大学ランキング」でも30位(35位に京都大学、50位に大阪大学)となっています。

 では東京大学より上位にどんな大学が入っているかと言うと、例えば「THE-TR」では1位のマサチューセッツ工科大学をはじめとしてアメリカの大学が21、イギリスの大学が4、カナダが3、スイスが1の29大学です。圧倒的英語圏の大学優位なのです。スイスのチューリッヒ工科大はドイツ語の大学ですが、学位論文・修士論文は英語で指導されますし教授陣と学生の半数以上が外国籍です。

 東大以下50位までを見ても、英語圏ではない大学はカロリンスカ研究所スウェーデン《32位》)、香港大学(34位)、シンガポール大学(40位)、ミュンヘン大学(45位)、ローザンヌ工科大学(スイス《46位》)、北京大学(49位)の7大学だけで、このうちカロリンスカ・香港・シンガポールは英語で講義を行う大学、ローザンヌ工科大はチューリッヒ工科大と姉妹校のような大学で、やはり教授陣と学生の半数以上が外国籍という国際色豊かな大学です。そこがポイントなのです。

 東大・ミュンヘン大学北京大学が上位に食い込めないのは国際化という部分で得点が低すぎるのです。
 THE-TRの六つの評価基準の5番目と6番目は「外国人教員比率(5%)」「 外国人学生比率(5%)」です。それだけでも移民国家のアメリカに有利です。「世界大学学術ランキング」の評価基準の中には『ネイチャー誌』『サイエンス誌』への論文掲載数がありますが、これも英語圏の大学に有利に働いています。

 したがって、逆に言えば日本の大学のランクを高めるのはそう難しいことではありません。教授陣や学生の外国人比率を高め、英語で行う講義を大幅に増やすだけでいいのです。―そこから9月入学と高校学習指導要領における「英語で行う英語の授業」の話が出てきます。9月入学によって留学しやすくするといった言い方がありますが逆です。留学生を入れやすくするのです。そうすればもともともと研究や教育に底力があって基礎得点の高い日本の大学の、国際的な地位は飛躍的に上昇します。

 ただし自民党は、大学の世界ランキングなどというつまらないものを上げるために、そんな思い切ったことをしようとしているわけではありません。東大や京大が国際化すれば、例えば現在アメリカのIT産業を支えていると言われるインド人研究者の一部を日本に引き寄せることができます。あるいはアメリカ人研究者も日本の大学で研究をしてくれるかもしれない。その研究の成果を産業に生かし、21世紀も世界経済の一翼を担い続ける―つまり今のアメリカがやっているのと同じことをしたいのです。

 日本の大学が続々と世界ランキングの上位に食い込み、研究のレベルもさらに高まる。そしてその研究成果と経済的恩恵は、財界と日本国民が享受するという夢のプロジェクト―ただしそうなったとき、日本の子どもの多くが東大や京大を諦めざるをえません。もちろん私の子どもや孫たちはその「諦める一群」にも入っていませんから、一向に構わないのですが。

(この稿、続く)