衣替え

「台風一過というのはこういうことなんだよ」って、空の色、空気の爽やかさも合わせて確認しておきましょう。

 私が台風一過で思いだすのは枕草子の「野分けのまたの日」(第二百段)です。

『野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。立蔀、透垣などの乱れたるに、前栽どもいと心苦しげなり。大きなる木どもも倒れ、枝など吹き折られたるが、萩、女郎花などの上によころばひ伏せる、いと思はずなり』

(台風の翌日は非常にしみじみとした趣があり面白い。立蔀や透垣などが乱れていて、庭の植え込みなどもとても気の毒な様子だ。大きな木なども倒れ、枝なども吹き折られたのが、萩や女郎花などの上に横倒しになっている様子など、とても意外だ)

 懐かしいでしょ?

「衣替え」

 10月1日、衣替えの日です。日本では年に2回、6月1日と10月1日を「衣替え」の日と定め、学校や企業は制服を替えたりします。最近はこの日をもってクールビズに切り替えたり戻したりといったことも行われるようになりました。日本は「読み」の国ですから、こんなふうに日を決めてやらないと、服装の交換ひとつをとっても難しいことになります。今でも、学校関係の仕事でも時折クールビズでない場合もあり、知識や経験がないととんだ恥を書くことがあります。実際は大した問題ではないとわかっていても、周囲が全員ネクタイ・スーツの中で、一人クールビズでいるのは肩身の狭いことです。そういった意味でも、衣替えが決められていないとかなり不便だったろうと思ったりします。

 平安時代は旧暦の5月1日と10月1日が衣替えだったそうで、中国から伝わった風習です。新暦で言えば6月第2週から11月第2週くらいまでですから、夏物の期間がうしろに長すぎる気もしますが、これは「11月第2週まで寒い思いをして頑張った」というより、とんでもなく暑い盛夏をそこそこの厚着で頑張っていたといった感じだったようです。着物だけではなく扇等も替えましたが、鎌倉時代以降はこの日に合わせて調度品の一部も替えたようです。

 江戸時代になると庶民の間にも「衣替え」の風習は入ってきます。ただしこの時代になると着物も3種類になり、袷(あわせ:裏地の着いたもの)、単(ひとえ:裏地のない着物)、綿入れの三つで四季を過ごしました。旧暦の4月1日〜5月4日が「袷」、5月5日〜8月末日が「単」、9月1日〜9月8日がふたたび「袷」、9月9日〜翌年の3月末日までが綿入れとなります。

 ただし現代の和服の衣替えは、新暦の10月1日〜翌年5月31日が袷、6月1日〜30日が短、7月1日〜8月31日が薄物(薄物)、9月1日〜30日が単衣となっているようです。

 今日から年度の後半、気分を変えるためにも部屋の雰囲気や車の内部など、少し変えてみるのも良いかもしれません。