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「理解できないことにも理由はある・・・のかもしれない」~宮崎県教頭偽札使用事件

 職員室でも話題にしましたが、宮崎県で50歳の教頭が風俗でニセ札を使ったという事件がありました

風俗店の支払いに偽一万円札=小学校教頭逮捕
         ―宮崎県警時事通信 4月3日《火》)

 風俗店への支払いに偽一万円札を使用したとして、宮崎県警捜査2課と都城署は3日、偽造通貨行使容疑で、鹿児島県鹿屋市立西原小学校教頭肝付八生容疑者(50)=同市西原=を逮捕した。容疑を認めているという。
 同課などは、偽造紙幣の入手方法などを調べている。
 逮捕容疑は3月25日、宮崎県都城市のホテルで、派遣型風俗店の20代の女性店員に料金を支払う際、偽造一万円札2枚を渡した疑い。

 理解できない記事です。

 教頭になるくらいですから、少なくともこれまでの教員生活に大きな汚点はなかったはずです。そんな人が50歳にもなってなぜこれほど浅はかなことをしたのか、なぜ30年近くも問題を起こさずに教員としてやってこられたのか。それがどうにも分からないのです。

 人間はそんなに大きく変われるものではありません。50年間まじめに生きてきた人はいきなり通貨偽造といった大犯罪に手を染めることはありません。そして常習的な犯罪者が30年近くも、まじめを装って教員生活を続けることもほとんど不可能です。なのに肝付容疑者は逮捕され、別の報道では「ニセ札と知っていて使った」と証言しているのです。

 可能性は以下の三つです。
 まず、
「病気だった。正常な(というか普通の)判断ができないほど、心身がこう弱していた」―まったく可能性のないことではないでしょう。

 第二に、
「不運にも発覚しなかった小さな犯罪をこれまでも繰り返してきた。そしてエスカレートしてついに今回ハードルを越えてしまった」―それもありそうなことです。

 しかし一番可能性があるのは、
「事実の大部分が記事になっていないため、事件全体が歪んでしまい、理解できないものになってしまった」
ということです。

『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』 福田ますみ (2007/1/17)という本があります。これは2003年6月に起こった教師によるいじめ事件(問題の小学校教師は担任児童を自殺強要や暴力でPTSDによる長期入院に追い込んだとされ、「殺人教師」とまで報じられた)が、まったくの「でっちあげ」だったことを証明した本です。もっともこの本の方が「でっちあげだ」と告発する人もいますからことはそう簡単ではありませんが、しかし新聞等で報道されるのは事実のほんとうに一角であって、書かれなかったことにこそ核心がある場合も少ない、そういうことを理解するには十分です。

 宮崎の教頭の偽造通貨行使が「でっちあげ」だと言うつもりはまったくありません。しかしこれほど理解しずらい事件の裏には必ず表には出ない事実があり、その事実は今後も表面に出ることはなく、したがって「教員などという者にロクな者はいない」という印象だけを残してやがてマスコミの世界から消えていく、それだけはほぼ間違いのないことのように思われます。